2020年1月中旬より45日間の工期で、日本籍クルーズ船としては初めてシンガポールのドック「センブコープマリン(Sembcorp Marine)」にてリニューアル工事を実施します。
世界的な環境規制に対応すべく排ガス脱硫装置(SOxスクラバー装置)搭載に加え、露天風呂の設置、レストランやラウンジの改装、エントランスへのLEDディスプレイ設置等により、更に快適で進化したクルーズライフを提供してまいります。

飛鳥クルーズ お知らせ 「飛鳥Ⅱは次のステージへ!(2019年5月15日)」 より引用
飛鳥Ⅱの環境対応を端緒とした大型改装のニュースが流れたのは2019年の5月のことでした。翌年1月にニューイヤー・グアム・サイパンクルーズから戻ったらすぐにシンガポールのドックに入渠し、ファンネルの部分にスクラバー(重油が燃焼して排出されるSOxを除去する装置)を付けて、かつ様々な施設のレベルアップを図るという内容です。2か月間の改修を終えた後は3月11日から2泊3日の「アスカクラブクルーズNEXT」でお披露目というスケジュールだったのが、コロナ禍でクルーズ自体が中止になり日本に戻って来たのは4月1日の朝でした。

客室内(9F Dバルコニー)

改装後の写真は今回(2020年11月)に乗船した9056号室です。

客室のドアを開けるとまず40V型テレビが目に飛び込んで来ました。ここは長期クルーズで各種用紙を張り付ける(結果雑然としてしまう要因の)場所だったので、真ん中にテレビがあるのは良いことかもしれません。
以前はデスク脇にテレビ設置スペースがあって、小型(19型?)のテレビが入っていました。その設置台の脇部分にDVDプレーヤーが備え付けてあったのですが、本船のサービス改定により撤去されました。【画像は改装前の様子】
テレビにはHDMI IN端子の他、旧来のアナログ(L、R、V)ケーブルの両方が刺さっていて、外部入力が出来るようになっていました。
【2020年12月乗船後追記】
1か月後に別の部屋(9057号室)に泊まったのですが、そのテレビにはケーブルが付いていませんでした。利用する予定なのであれば、部屋番号が決まった時に事前に確認した方が良いかもしれません。
2011年はアナログ入力のみだったので、デジタルミュージックプレイヤーのヘッドフォン端子からLRケーブルに変換して差し込み、テレビの音声で音楽を聴くことが出来ました。【画像は改装前アナログ時代の様子】
2015年に乗った時にはHDMI(デジタル)入力のみに変わっていて、外部スピーカーとしては使えなくなりました。両方の方式で行けるのは汎用性があります。【画像は改装前HDMI IN時代の様子】
机の引き出しの一番上の部分には、ちょっとした小物を入れられるスペースが出来ました。
以前ここには何もなかったので、あったら便利ということで生まれたのでしょうか、よくわかりません。
冷蔵庫やセーフティーボックスの上のスペースが一体化され、扉で閉まるようになりました。
従前はこの上のスペースだけ独立した開口棚になっていて、部屋の窓側からも物を出し入れが出来ました。この造りはおそらくここにブラウン管の小さいテレビがあったころの名残だったと思われます。【画像は改装前の様子】
2018年の7月以降Dバルコニーに乗船していなかったので、今回の改装で付いたのかはわかりませんが、シャワー用カーテンを止める三角の素敵な装置がありました。ちゃんと閉じたつもりでもこの下のスミっこからお湯が飛び散りがちだったので、ビシっと塞がれてとてもイイ感じです。

9F洗濯場

改装とは直接関係ないかもしれませんが、洗剤が個包装からボトルに変更されていました。粉個包装→液体個包装と変遷しています。

5Fアスカプラザ

エントランスにどーんとLEDディスプレイが設置されました。完成予想CGでは社交ダンスの像がなくなっていたのですが、温存されたようで嬉しいです。映像は世界一周クルーズの寄港地だったり、ピアノバーの前でラグーナトリオが演奏するライブ映像だったりします。
インフォーマルの夜には記念撮影用に大海原を疾走するカッコいい本船の姿(静止画像)が映しだされました。
以前は円柱状の装飾があって、後ろのイルミネーションの色が切り替わっていました。また社交ダンスの像はもう少し中心寄りにありました。端に寄ったとはいえ、とにかく残って良かったと思います。【画像は改装前の様子】

6Fスモーキングラウンジ(元シガーバー)

【2021年3月追記】
古き良き客船の雰囲気を彷彿とさせる贅沢な造りのバーでしたが、嫌煙の波に抗えずただの喫煙所となってしまいました。
【2021年3月追記】
マホガニー材(風)を多用した内装は重厚で、絵画も客船が華やかなりし頃のイメージでした。この内装は陸に持って行って再利用しないと勿体ないと思います。

7Fプロムナードデッキ

【2020年12月乗船後追記】
一番オモテ寄りにあった出入口の脇にあった、乾湿計が撤去されてしまいました。ジョギングする前や、パナマ運河通航時にちょくちょくチェックしていたので残念です。この写真のちょうど中央部にありました。
【2020年12月乗船後追記】
変わりではないですが、温度計が入っていた箱と似たようなものがデッキの主に前方に複数取り付けられていました。「VENTILATION SPANNER」と書いてあったものの、実は温度計かもと期待して開けたらやはりスパナーでした。
この右の湿球が刺さってい白い箱に常に水を入れておくのが面倒になったのでしょうか…。【画像は撤去前】

11Fパームコート

白っぽかったカーペットが茶色混じりに張り変わり、椅子もコンパクトになりました。全体的な印象はそれ程変わらない様に思いますが、汚れは目立たなそうなのでメンテンナンスは楽そうです。
パームコートに元々あった椅子は時々眠り込んだりする位ふかっとした座り心地だったのですが、新しい椅子は全体的に固めだと思いました。【画像は改装前の様子】
シャープ製の80V型4Kテレビが設置されました。流石8K、この大きさの液晶でも映像が綺麗です。環境映像が流れていました。
夜の方がちょっとイメージが変わったかもしれません。全体的に茶色いせいか、全体的に茶色いです。
と、改装前の夜の様子を見たら同じような雰囲気でした。新しい方はテーブルの脚部分が濃い色のアクセントになっています。【画像は改装前の様子】

11F e-Square(イー・スクエア)

パームコートと一体化してオシャレな空間になりました。最近はほとんどの人がスマホを持っているためか、備え付けマシンは3台と大幅減でした。
暗くなって照明が灯るとまた雰囲気が変わります。各席には電源コンセントとUSB-A口が備わっています。
コンピュータールーム時代は、仕切りがあって完全に別の部屋でした。仕切り部分は白い壁で、航跡図が表示されていました。【画像は改装前の様子】
このコンピュータールームは夫のブログや私のツイッターの投稿作業場でした。特にネットがWi-Fi化する前(の2011年の世界一周で)はネット接続専用マシンでブログ1本投稿するだけでも10分もかかっていたので、夜遅く一人で60分5,000円の接続料金の残り時間と戦うのが恒例でした。【画像は改装前の様子】

11Fプールデッキ(シーホース・プール)

露天風呂を新設した関係で、オモテの方から見たファンネルの方の景色が一番変わり、角度によってはファンネルが見え辛くなりました。
デッキチェアーやテーブル類、日よけ傘などが新しくなって、ラグジュアリー船感が増しました。
ウィンブルドン・コートでは、ラバウル停泊時(2015年12月17日)に蜂が網に群れを作ってしまったため、ビー・バスターズが決死の駆除をしていたのが思い出に残りました。【画像は改装前の様子】

11Fリドガーデン

混雑緩和ほかのため、アイランド型ビュッフェカウンターが新設されました(左舷)。
【2020年12月乗船後追記】
コロナ感染症対策下の食事サービス形態では、すべてクルーが持って来てくれるため、そのメリットを体感することは出来ませんでした(中央部を左舷から見たところ)。
【2020年12月乗船後追記】
右舷はプールの方から入って行くと以前はビュッフェカウンターがあったのですが、その機能は中央部に移動したため座席に置き換わっていました(右舷)。
以前のリドガーデンは「ガーデン」だけあって全体的にウッディ感があったのが、残念ながらすっかりなくなってしまいました。【画像は改装前の様子】

11Fリドカフェ

リドカフェの方は、机や椅子が新しくなったものの、大まかな構造は変わっていませんでした。ビュッフェカウンターの後ろにあった仕切りはなくなり、開放的になりました。
リドカフェの後方の仕切りもなくなり、広く使えるようになりました。本来は外のデッキでも飲食出来る筈で、家具も新しくなったのだろうと思いますが、今は感染症対策で取り払われていました。
外国船にあるような以前の造りも良かったのですが、モダンな感じに変わるのは時代の流れなのでしょう。【画像は改装前の様子】

11Fザ・ヴェール(旧プレゴ)

11Fの一番後ろのエレベーターホールの右舷部分から10FのA-スイート以上専用のダイニングを覗くことが出来ます。CGの完成予想図通りの光景が広がっていました。

その分「海彦」が狭くなったのですが、わかりにくくなった入口のドアは閉まっていたので様子はわかりませんでした。

11F海彦

【2020年12月乗船後追記】
入口のドアは営業時間外で固く閉ざされていましたが、たまたま中を見せてもらうことが出来ました。
【2020年12月乗船後追記】
ザ・ヴェールに窓を取られてしまた海彦は、窓なし部屋になってしまいました。カウンターだけになったのかと思いましたが、椅子席も残ったようです。でもかなりの閉塞感です。
海彦は以前は海に面したテーブル席があってしゃぶしゃぶを食べたものですが、改装後は カウンターだけになったそうなので、 メニューに記載されていないため、どうなったか心配です。【画像は改装前の海彦の様子】

【2020年12月乗船後追記】
最新のメニューにはやはりしゃぶしゃぶが載っていませんでしたが、これはコロナ対策の一環なので、状況に応じて今後順次見直しが入るとのことでした。

12Fグランドスパの露天風呂

実は乗船前にはさほど期待していなかった露天風呂施設ですが、あまりに素晴らしかったので次ページ「グランドスパと露天風呂」に詳細を記しました。
ウィンブルドンコートでは本来のパドレステニスはほとんどしたことがなく、もっぱらキャッチボール場として利用していました。写真左側が女湯の露天風呂になり、ファンネルの真下にある丸窓の扉が内湯からの出入口になりました。【画像は改装前の様子】

ファンネルの中身

この中に排ガス規制に対応するためのスクラバーが搭載された筈です。スクラバーとは(ざっくり)、SOx(硫黄酸化物)を含んだ排ガスに海水を噴射して硫酸(H2SO4)にし、それが噴射された海水に溶けて亜硫酸(H2SO3)となり、この亜硫酸イオン(SO32-)を海に排出すると、長期的には酸化され、もともと海水に大量に存在している硫酸イオン(SO42-)になって海に帰るという仕組みです。

【画像はクリックで拡大】
比較のためにスクラバー搭載前の画像を探して来ましたが、大きな違いはないように見えました。【画像は改装前の様子】

【画像はクリックで拡大】