船内生活全般

食事について

食事については乗船記本文何度かで触れているのですが、残念ながら私たちには

・和食の回数が多くて物足りない
・量が少なくて足りない

と感じられました(乗船当時アラカンと40代後半)。

このクルーズの乗船客の平均年齢が70歳だということはそれよりも高齢の人もいるということで、色々なノウハウを積み重ねた結果の(和食、フレンチ、中華、その他等の)比率だとは思うのですが、和食で揚げ物や肉類等が出ない「力が入らない」日は「リド・グリル」のハンバーガーやラーメンを夕食代わりにする日が多かったです。

量に関してはクルーズ中の中間アンケートで「量が少なくて不満。お代わりもしづらい」と記したところ、即座に対応がなされたのは乗船記に記載した通りです。

「何でも言ってみるものだ(2011年5月31日)」

この「スペシャル・フードカード」は裏に「ご夕食に限り特別食のご用意を致します。」と書いてあり、量が多過ぎるので½にして欲しい場合や、生魚(刺身)が食べられない(ので替わりのものを等の)場合のバリエーションを見たことがあります。量が足りないので1.5倍にして欲しいというのは珍しかったかもしれません。

好奇心から夕食の回数102回の内訳を表にしてみました。
種別出た回数食べた回数回避回避先回避率
フレンチ19181リド・グリル(1)5%
洋食761リド・グリル(1)14%
イタリアン2200%
中華7700%
多国籍550(すべてデッキディナー)0%
和食623824リド・グリル(13)、海彦(2)、外食(6)、アマデア(3)39%
合計102762625%

多いと感じた和食の比率は61%で、思ったほど(体感的には75%)ではありませんでした。毎晩新しく配られる船内紙「アスカデイリー」で翌日のディナー欄をチェックして「また和食…」、それでもひょっとしたらご馳走(すなわち力の入る揚げ物や牛肉)かもしれないという淡い期待を抱き、当日午後ダイニング前に掲示されるメニューをチェックしに行くと「ダメだ…、白身魚の煮物なんて病人食みたいで…」、と4回に1回は可能であれば陸上で外食または「リド・グリル」でディナーを済ませていたのでした。

そう言う訳で「たん白質補給」の名目で有料の「海彦」には2回(5月5日と6月6日)行きました。「海彦」は寿司オンリーだと思っていたのですが、長いクルーズの時にはしゃぶしゃぶやすき煮のサービスをしているみたいです。黒毛和牛のしゃぶしゃぶはとにかく絶品で、このクオリティーの肉を大西洋上で食べられたのはとても贅沢なことでした。お通し300円、しゃぶしゃぶ3,200円、ご飯とお新香セット300円という価格設定でした。 「ワールドクルーズの食事(2011年7月20日)」

ドレスコード

生来装うことに関してあまり興味もこだわりもなかった(と言うよりスカートとストッキングとハイヒールが嫌いな)ため、2泊3日で初めてクルーズ客船に乗った折(にっぽん丸春の伊勢志摩クルーズ、2004年4月)のドレスコードは大変気が重い存在でした。日常生活では「インフォーマル」という単語は聞きませんし、どのぐらいのレベルなのか見当もつきません。とりあえず船会社からもらった「乗船の手引き」のような小冊子にあった「少しお洒落してレストランに行くような…」を頼りにわざわざ白いスーツを買ったのは今思うと緊張し過ぎでした。でも11年前に購入したそのスーツはその後何度も客船で着用し、未だ現役なので十分役割は果たしてくれています。

場数を踏むうちにそれぞれのドレスコードの最低ラインが何となくわかるようになったので、ここ数年はあまり気を遣わなくなりました。そうは言っても世界一周クルーズで忘れ物をして後悔したくありません。フォーマルとインフォーマル用に最低限何を持って行けば良いのかそれなりに考えることにしました。

フォーマル(備忘録)
夫:タキシード。オーソドックスなタキシード一式(ブラックタイ、ピンボタン、サスペンダー、ブラックのカマーベルト、オペラパンプス)をベースにネクタイとポケットチーフでバリエーションを付ける。蝶ネクタイおよびアスコットタイ数本
妻:割とシンプルな黒のドレス×2、ネットで見つけたカクテルドレス(赤)、黒いエナメルハイヒール

インフォーマル(備忘録)
夫:ダークスーツ、紺ブレザー、水色のコットンジャケット、チャーコルグレーのウールのズボン、コットンパンツ、ネクタイ数本
妻:上述の白いスーツ、ちょっとお洒落なジャケット、ひざ下丈のスカート×3、カットソー数枚

普段着はジーパン、通勤は何色かのコットンのボタンダウンシャツにスーツの上下数着を順番に着ていたので、インフォーマルの服装は相変わらず苦労しますが、船に乗る時は普通の女性的な装いをするようになったので夫は喜んでいます。

私が現在着用しているフォーマルのドレスはノースリーブで、今はまだしも段々歳をとるとどういう感じになるのか不安なので、将来的には和装も視野に入れています。船内の美容室で着付けのサービスをしてくれますが、フォーマルの日に和装が集中すると丁度良い時間に予約が取れない場合があるようです。この世界一周クルーズではストックホルム市庁舎での晩さん会の日に特に混雑し、出発は17時過ぎだと言うのに昼にはもう着物姿の人がいたそうでした。自分で着付けらるのが一番良いのですが、フォーマルのフル装備の着物(訪問着とか袋帯とか)はなかなかハードルが高いです。

ちなみに何かと話題になる「飛鳥U」の高いタキシード率ですが、2011年は半分ぐらいの男性がタキシードを着ていたように思います。「これから何度も客船に乗れるよう」願掛けの意で、2007年末本船「飛鳥U」に初乗船した折にタキシードを買いました(当時私は働いていたので気前良くプレゼント)が、クルーズ後に着る予定がないのであれば買う必要はないと思います。ダークスーツでビシっと決めていれば着慣れないタキシードよりも恰好良いと思います。いずれにせよ靴の方が重要だ、と言うのは夫の持論です。

「クルーズ船男性のドレス・コード(2011年8月9日)」
「クルーズ船、フォーマルの日の足元は?(2012年11月12日)」

気候と服装全般

頭では理解はしていたつもりなのですが、赤道直下から欧州最北端までいつどこで自分が何を着ているのかを具体的に事前にイメージすることは出来ませんでした。4月3日の出発日直前の日本は花冷えで寒く、半袖や短パンなどの薄着を想像し辛い感じだったのですが、実際は最初のうちシンガポールから赤道を越えてかなり暑い地域を航行したので、冬物を持ってきすぎたかと思ったぐらいでした。

ヨーロッパではイギリスのドーバーや、北欧各国が寒かったです。一番警戒していた最北端(北緯71度)のノールカップは風こそ少々強かったものの天気が良く10°Cぐらいはあったので、持って行ったダウンの上着は使わずに済みました。「ここはそれ程寒くならないです、ガルフ・ストリーム(メキシコ湾流)がありますから」と現地ガイドが言っていたのに納得しました。

海流の関係で言うと南極の寒流の影響を受けるケープタウンやウォルビスベイは日差しが強いのにひんやりしていた印象でした。ということで、服装については過不足なかったと思います。ちなみに一番寒かった寄港地は、体調が悪かったこともありますがアイスランドのレイキャビク(日中6°C)で、半袖の現地人にはびっくりでした。

この後ニューヨーク、カリブ海、メキシコと暑かったのが、サンフランシスコは寒流の影響で14°Cと肌寒くなりました。当たり前ですが地球は広く、海流が天候を支配していることを実感しました。写真の30度は6月22日(アカプルコ直前の北緯15度)、-1.5度は5月31日(ホニングスボーグ−レイキャビク間の北緯69度)です。

洗濯事情

ジョギングが日課になっているため、特に暑い海域に入ると汗をかいて一発でウェアがビショビショになります。このため走った日の夜は必ず洗濯機をかけていたのですが、寄港日と重なると洗濯が夕方以降に集中するため、ランドリーに行ってもすべての洗濯機が使用中ということが何回かありました。

使用中とは言っても中には洗濯が終了しているものもあり、そういう場合はフロントに電話をしてクルーに洗濯物を回収してもらいます。クルーが来るまでに少々待たなければならないですが、それは仕方ありません。よって自分も洗濯機を回したまま放置しないよう極力気をつけてはいたのですが、たまにスカーンと忘れてしまうこともあり、そう言う場合は回収された洗濯物が乾燥機の横のフックにかけてありました(右上の写真)。

ランドリーが混雑するのはキャビン数に対して洗濯機や乾燥機の数が少なめだからですが、それでも好きな時に無料で洗濯を出来るのは大変便利です。ほぼ毎日洗濯機を回したので一度も部屋で手洗いをしませんでしたが、小物は部屋で洗う人もいるみたいです。ランドリーには洗剤、漂白剤、柔軟剤が完備していて、洗濯(通常コース)で40分、乾燥は90分程かかります。乾いた後はアイロンが2台あって、スプレーのりもかけられました。洗濯した小物は乾燥機にかけずに持って帰って部屋で干すと、加湿器の代わりになるそうです。船内は全般的に乾いています。

大浴場(グランド・スパ)

日本船の良いところは当たり前の様に大浴場があるところです。普段はあまり湯船に入らずにシャワーで済ますことが多くても、フネに乗ると俄然張り切って大浴場に通っています。

足を伸ばして湯船につかれる気持ち良さはもちろんですが、部屋のシャワーよりも大浴場の方が勢いが強いのも理由の一つでした。大浴場にはハウスキーピング部門のクルーの女性が一人常駐(又は定期的に見回り)しているので、タオルがなくなることもないですし、一日3回(夜間、ランチタイム、ディナータイム)掃除をしているので綺麗でした。また浴室にはシャンプー、リンス、ボディーソープと洗顔料があり、脱衣所にはクレンジング、化粧水、乳液、ボディーローションとドライヤーが完備しています。

部屋は一番前のエレベーターの近くだったので、大浴場のフロアに直結する一番後ろのエレベーターまではちょっと距離がありましたが、風呂上りに寄港地プレートを眺めつつ「ウィンブルドン・コート」の所に出て、そのまま右舷の景色を見ながら11Fに降りて部屋に戻るのは毎日のリズムの一つでした。

カットと散髪

100日間を超えるクルーズとなると、髪の毛を切ってもらう必要があります。短いクルーズでは美容院(2011年当時は資生堂サロン)のサービスしかありませんが、長い場合は理容師さんが乗っていて床屋のサービスもあります。

本当は1ヶ月に1度は行きたいところですが、行きつけの所ではないと仕上がりのイメージが違ったりするので、2回に留まりました。料金は女性のシャンプーカットが6,000円、男性はバックシャンプー+カットで4,000円、髭剃つきのいわゆる総合調髪は6,000円でした。

男女とも陸で行くいつもの所より高いのは仕方ありませんが、次回は私も床屋さんに切ってもらって4,000円で済ますのもアリかもと思いました。

教室

世界一周クルーズ中、私達二人で熱心に取り組んだのは社交ダンス教室のみで、私が一応最後までフォローしたのはコントラクトブリッジ教室でした。教室もイベントも基本的には終日航海日に開催されますが、ダンス教室はほぼ毎日午前と午後の2回開催され(合計1時間半)、ブリッジ教室は毎日ではないものの午後の真ん中あたりにたっぷり1時間半と時間が長く、真面目に出席するのは大変でした。

アクティブ系の教室としては太極拳、ヨガ、気功、ウォーキングがありましたが、朝早いものは基本的に参加する根性がなくて断念、ほかもバッティングしているため行くことは出来ませんでした。

ゲーム関係では囲碁、将棋教室もありました。興味がゼロではないもののこれもじっくりと時間がかかるため、参加しませんでした。写真教室も人気があったのですが、大したカメラも持ってないし、習う程ではないかもということでパス。

この他木工教室(有料)グラスアート教室(有料)、水彩画教室(有料)、水墨画教室(有料)、ハーモニカ、短歌教室や詩の朗読教室がありました。

アクティビティ

世界一周クルーズは終日航海日の比率が高いため、皆が退屈しないようエンターテインメントスタッフ(クルーズスタッフ)が連日知恵を絞っています。日本船では定番のホースレース、輪投げ、ペタンク、ディスコン、デッキゴルフのほか、飛鳥名物イカ飛ばし大会、や〇×クイズ、ジェスチャーゲームなど多種多様でした。

これらのアクティビティーは成績に応じて船内通貨「アスカドル」を貰え、その金額に応じてオリジナルグッズと交換してもらえるのはモチベーションが上がって良いのですが、レクリエーションというよりアスカドルを少しでも多く貰うことが目的になってしまっている人達がいるのには閉口しました。気持ちがわからないでもないですが、もっと鷹揚に構えていましょうよ、と言いたいです。判定に文句を付けクルーズスタッフにネチネチと絡むおじいさんは美しくありません。

文科系の教室では安全ピンとビーズで寄港地の国旗を作る「国旗ピンバッジ教室」の人気が高かったみたいです。私は他との兼ね合いで参加しなかったのですが、知り合いがキャビンの入口に飾ってあったものを撮影しました。飛鳥のロゴ、日の丸、フランス、ドイツ、アイスランド、ノルウェー、セネガル(大)等を作ったみたいです。

このほかにも数ある教室の中で私が参加したのは
「へちまで作るブローチ教室」
「大作手芸 ASUKAグラスデコ作り教室」
の2つで、下がその作品です。

ハワイからの最後の区間では寄港時に飾る「横断幕作成教室」も人気でした。

講演会

講演者には実績もトークも申し分ない人もいましたし、そうでもない人もいたように思うので、取捨選択が肝でした。夫は割と熱心に参加していましたが、その時の気分に任せていた私はあまり聴講に行きませんでした。朝10時からの開催が多く、11時からダンス教室が控えている身(特に夫)には大変でした。

個人的な「2011年飛鳥U世界一周クルーズ講演大賞」は遺伝子研究の村上和雄博士でした。内容はもちろんですが、ユーモアを交えつつ時にはつい自分も吹き出しそうになってしまう姿がチャーミングでした。講演後、夫は博士の著書を何冊かライブラリーで借りて読んだぐらいです。

ニュースやテレビで見た顔と気軽に話が出来るのはクルーズならでは経験でした。

エンターテインメント

ドレスコードがカジュアルとインフォーマルの日は通常19時から、6F「ギャラクシー・ラウンジ」ではショーやコンサートが行われました。私達は2回目19時45分からのの食事だったので、ショーを見てから夕飯という流れでしたが、1回目の人は夕食後にショーということになります。ただしフォーマルディナーの時だけはそれぞれ夕食後の19時半と22時からの2回開催されていました。このクルーズでは1回目の食事が約300名、2回目が約100名だったので、2回目のギャラクシー・ラウンジは空いていたのは良いのですが、開始時刻が22時と遅かったためか来ない人も多く、少ない時は50名もおらずガラガラで演者に申し訳なく思ってしまいました。

内容的にはコンサートが一番多く、半数近くを占めました。ピアノ、ヴァイオリン、クラリネットによるクラシックコンサートや、和楽器、声楽とバラエティーに富んでいて、退屈しないようになっています。ニューヨークに向かう区間ではジャズ、ハワイに向かう区間ではハワイアンのコンサートもあり、BGMも含め船内がハワイアン一色になりました。アフリカからヨーロッパに向かう区間の栗コーダーカルテットのコンサートが印象に残り、思わずCDを買ってその場でメンバー全員からサインをしてもらいました。

本船の有名なプロダクション・ショーは合計6回だけで、シンガポール(4月11日)からアカプルコ(6月23日)の間は一度もありませんでした。

寄港地ではローカルショーがあり、時間が合ったシンガポールとホノルルの2回だけ見に行くことが出来ました。このほか社交ダンスのショーもクラシックな方(スタンダード)とラテンが各1回ありました。乗客参加型はハーモニカ教室のコンサートと、かくし芸、それから私も参加したワールドフェスティバルがありました。ダンス練習、衣装貸し出し、リハーサル、本番と一連の流れを経験し、乗客参加型を運営するクルーの苦労を垣間見ることが出来ました。

クルーと言えば終盤の「2011ワールドクルーズクルーショー」が秀逸でした。クルーショーは外国船の1週間ぐらいのクルーズで、レストランクルーが歌ったり踊ったり、クルーズスタッフが舞台でチェロを弾いたりするのを見たことがありますが、飛鳥Uの凄いところはオフィサーまで参加するところです。しかもオフィサーともなると群舞ではなくソロで踊る…、とハードルが高いものを激務の合間に練習してスマートにこなしている姿に感動しました。右の写真は浅井キャプテンのキューバン・ルンバです。

ちなみにほとんどのショーは著作権の関係で撮影禁止になっているため、開始前か後の空の舞台の写真しか撮影出来ません。趣旨はわかりますが、どういう人がどういうことをやったのか記録に留める意味で出来れば写しておきたい気もします。