87日目 6月28日(木) サンフランシスコ 入港7時30分 出港19時 日出5:51 日没20:38
寄港地情報 入国審査 言語 英語 通貨 港の位置 ツアー発時 シャトルバス
対面審査 英語 - 米ドル フィッシャーマンズワーフ付近 10:40〜 運行なし
航海情報 天候 気温 正午位置 風向風速 船の揺れ ジョギング デッキ マシン 陸上 合計 デッキ累計 距離累計
雨 13.5℃ 37-48N 122-24W 東1m/s -
- - 8km 8km 692周 486km
船内情報 講演等 イベント メインショー ドレスコード 食事情報 ランチ(6F) ランチ(11F) ディナー 備考
- ボン・ヴォヤージ - カジュアル 三食そぼろ丼 洋食 和食 -
6時過ぎに「もう少ししたらゴールデンゲートブリッジをくぐります」という船長の放送で目を覚ましました。が毎度のことながらすぐは起きられず、寝起きのいい夫が先に11Fのオモテに行ってしまいました。やっと起き上がって外を見るとどんよりとした曇り空です。
晴天の下では赤く輝く筈のゴールデンゲートブリッジ(Golden Gate Bridge)も残念ながら灰色でした。それにしてもこの世界一周クルーズで、近付いてくる有名な橋をこうして見るのは何度目だろうと贅沢を噛みしめます。
この吊り橋は戦前の1937年に完成し、1964年ニューヨークににベラザノ・ナローズ・ブリッジが建造されるまで世界最長を誇りました。中央支間は1,280mあり、主塔の高さは約230mもあります。多くの乗船客が11Fと12Fのオモテで見守る中、6時45分頃くぐりました。
向こうから川崎汽船のコンテナ「BREVIK BRIDGE」がやってくるのが見えました。4,526個積みの新造船でした。
右舷の遠くにサンフランシスコのダウンタウンが見え、左には脱獄出来ないことで有名なアルカトラズ島が(Alcatraz Island)見えています。興味がない訳ではありませんが、フェリーで渡って見に行く程でもありません。
サンフランシスコは坂の街であることが実感出来る、海から登る凄い坂が良く見えました。
フォートメーソン(Fort Mason Center)と書いてある、倉庫のような建物を右に見ながらフネは更に進んでいきます。
7時過ぎ、坂を登って行く当市名物のケーブルカーが見えました。サンフランシスコのケーブルカーで3路線あるうちのパウエル−ハイド線(Powell-Hyde)です。
再開発され小奇麗なショピングアーケードに生まれ変わったピア39(Pier 39)など見ながら目的のピア35に進んで行きます。
気温は14度程度と低く、一番オモテでワッチするチョッサー(一等航海士)や、着岸作業のために右ウィングに出てきたキャプテン達は夏服で寒そうです。
ピア35には入船右舷着岸をするようですが、タグボートを2ハイで左舷を押さえつつ慎重に入っていきました。
倉庫然とした建物がある殺風景な岸壁に見えますが、他の客船の寄港ロゴ(ダイヤモンド・プリンセス、クリスタルクルーズなど)がいくつか描いてありました。
本船「飛鳥U」は昨年(2010年)にも当地を訪れたので、その時のマークがまだくっきりと残っていました。
フンだらけの屋根の樋の所に誰かがカモメの親子を見つけました。定刻の7時半に無事着岸しました。
8時過ぎに「リド・カフェ」に朝食に行きました。例によって牛乳やシリアルが箱詰め方式になっていました。珍しくあんパンを取って来ました。
メインマストをチェックすると、郵船クルーズの社旗、寄港地アメリカの国旗のほか、P旗(本船は当日出港する)、B旗(本船は給油中)、Q旗(本船は検疫中)の三旗が掲揚してありました。
本船はニューヨークでアメリカに入国した後、バハマやメキシコを訪れて再びアメリカに戻って来たため、対面の入国審査を受けなくてはなりません。9Fのキャビンは8時半過ぎにコールがかかったので、6Fの「クラブ2100」の審査会場に赴きました。
すぐに終わりましたが、全員の審査が終わるまでは下船出来ないので、その足で11F「パーム・コート」に行ってエスプレッソを注文しました。コーヒーも美味しいのですが、量が多くてチャプチャプになってしまいます。
5日ぶりの陸とあって、本日午前中はジョギングと早くから(夫が)決めていたのですが、9時半に下船可能となった頃、今にも泣きそうだった空から雨が降り出しました。
雨だからと言って夫がジョギングを休む訳もなく、「直に止むだろう」と10時過ぎに下船しました。ぽつりぽつりだった雨は港を出ると本降りに変わっていました。一瞬怯みましたが有無を言わさず夫がゴールデンゲートブリッジの方へ走り出しました。観光に出かける夫の学校の先輩一行が「おお〜(この雨の中バカじゃないだろうか)」と驚いて見送ってくれました。
我ながらちょっといたたまれない感じがしましたが、ちらほら目に入るローカルのジョガーは薄着のままズブ濡れで走っていたので、気持ちを切り替えてシスコ在住者気分で走ることにしました。
行く方向にはピア39やフィッシャーマンズワーフ(Fishermans Wharf)などがあり、午後の観光用に位置関係などをチェックしました。雨は止む気配がなく、久々の本降りだったためカメラが濡れないよう撮影もかなり控えめにしました。
先ほどフネから見えたフォート・メイソン(Fort Mason)の後ろは小高い丘になっていて、アルカトラズ島を見る事が出来ました。
フォートメーソンを抜けると再び海岸沿いの直線コースになり、橋も随分近くなりましたが30分近く来たのでそろそろ引き返すことにしました。 折角ここまで来たから橋と記念撮影をしたいのですが、タイマー撮影が出来ない位の雨が降っています。と、奇跡的にローカルの女性二人連れ(何故か傘をさしていない)が通りがかりました。撮影を頼むと「I'm kind of wet.(ビショビショだけどいいかしら)」等と言いつつ2枚撮影してくれました。
この段階でかなりずぶ濡れになっていたので、髪までぐっしょりの写真はいい記念になりました。帰りはヤケクソになって、小学生男子のごとくわざと水溜りに突っ込んだりして走り帰りました。11時過ぎに船に戻ると、久々の下着まで全部ズクズク状態でした。
このままでは間違いなく風邪をひいてしまう、と部屋に戻ってすぐに乾いたものに着替え、そのまま大浴場に向かいました。10分ぐらい湯船で温まった後出ようとしたのですが、一旦出たらまだ芯の方が寒かったのでもう5分延長しました。サンフランシスコでズクズクで冷え切っても、戻るとすぐ大浴場に入れるのは日本船のいい所です(ただし12時から1時間は清掃のため入れません)。
12時15分に再度下船しました。夫が朝「サンフランシスコでは一日中雨ということはないから、すぐに止むよ」と言っていた雨はまだ降っています。長い傘は日本から持って来ていないので、本船の傘を借りて行きました。夫は出張で何度もここに来ていて、案内してくれると言うので、全然下調べをしていません。
まず船から15分ぐらいの所にあるピア39でブラブラし、ここまでずっと集めていた寄港地マグネットを無事購入しました。それにしても雨のため入店するたびに傘を畳むのが面倒ですし、写真撮影をするのにも気を遣うため段々テンションが下がっていきました。
チョコ屋もそこそこ面白かったのですが、ここで買ってしまうとずっと邪魔になりそうなので断念しました。観光コースの順番が悪かったのですが、自分で下調べをしていないのでどうしようもありません。
ウィンドウショッピングそこそこに20分程の滞在を終えて、食事をするためその先のフィッシャーマンズワーフに向かうことにしました。ズブ濡れのジョガーがこちらに向かって走っています。
フィッシャーマンズワーフでは甲殻類を適当に屋台ででもつまめれば良いと思っていたのですが、夫が「窓際の席ありますよ!」と呼び込みのあったシーフードレストラン、タランティーノ(Tarantino's)に決めてしまいました。この雨で客足は鈍い模様です。
メニューを一通り眺め、料理一品にクラムチャウダーが付いてくるランチセットに決めました。そしてジョギング済みなので、地元のアンカースティーム(Anchor Steam $5.50)という生ビールを注文しました。
ランチセットとは別に、メニューに載っていれば必ず注文したくなる「海老のカクテル(Bay Shrimp Cocktail $9.25)」を追加しました。
セットのクラムチャウダーはボウルにたっぷり入っていて嬉しくなります。気温は朝からほとんど上がっていないため、冷えた身体に染み渡りました。
出てきたパンはサワードウ(サンフランシスコ名物の乳酸菌などで発酵させたちょっと酸っぱいパン)で、これがまたスープと良く合うのです。
メインに夫は例によって「クラブケーキ(にハズレなし)$15.95」、私は名物のダンジネスクラブ(Dungeness crab $13.95)の半身を選択しました。
久々に溶かしバターを付けて食べたカニは美味しかったですが、必死で身をほじったのでふと気が付くと親指に切り傷が出来ていました。ペリカンの次はカニかい!という感じです。夫がビールをもう一杯飲み税前合計が57.15ドル、これに税とチップ6.5ドルを加えて出来上がりはランチとしては贅沢な71ドル(1$ = 約80円)でした。13時半から1時間かけた優雅な食事でした。
海沿いの何軒かのマリンショップを覗いたりしたらもう15時になってしまい、最終帰船の18時まで3時間を切ってしまいました。あまり時間がなくなってきたので、ケーブルカー乗り場(パウウェル−ハイド線 Powell-Hyde)に向かいました。
雨は相変わらず本降りで止む気配は全くありません。この乗り場は終点なので切符売り場はあったのですが、売る気がないようなので乗車してから買うことにしました。
結構人が並んでいたため惜しいところで1台目には乗れず、結局30分待って2台目に乗ることが出来ました。前にいたのが数人だったので、運転士の両サイドにあるむき出しの特等席に座ることが出来ました。
15時40分頃出発し、すぐにハイド・ストリート(Hyde St)急坂を上り始めました。座っていてもバーに掴まっていないとコワいぐらいの傾きです。
2分少々でロシアン・ヒル(Russian Hill)という地区に入りました。有名なロンバード・ストリート(Lombard St)がここから8回のヘアピンカーブで1ブロックを下りていきます。ケーブルカーに乗ったままだとよく見えませんが、左に向かって入って行った車がすぐに右にカーブしているのはわかります。
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こうした風景を楽しみつつ、振り返っては運転士のレバー操作を熱心に見つめました。サンフランシスコのケーブルカーは、地面の下に張られて動いている4系統のケーブルを掴んだり離したりすることによって、動いたり止まったりしています。このケーブルを「掴む」ことから運転士はグリップマン(gripman)と呼ばれているのです。
このケーブルは市内の地下鉄博物館にある巨大な電気モーターによって、営業時間中休むことなく動いています。ハイド・ストリートを左に曲がってワシントン・ストリート(Washington St)に入ると、少しして左側に車庫のようなものが見えたのですが、これが地下鉄博物館でした(動画の22秒頃)。 VIDEO
次に右折してパウウェル・ストリート(Powell St)に入ったのですが、アメリカの名門大学の旗(イェールとかハーヴァードとか)が沢山並んだ洒落た建物がありました。あとで調べたら会員制のユニバーシティ・クラブだったようです。
それにしても、ケーブルカーがこんなに奥深い乗り物だとは知りませんでした。次回機会があれば博物館に行ってみたいと思います。 VIDEO
終点のユニオン・スクエア(Union Sq)には16時過ぎに到着したので、所要時間は25分ぐらいでした。
ここで夫の観光案内が終了し、ノープランのままユニオン・スクエアに放り出されたような状態になりました。が、ニューヨークあたりから夫はダンスシューズ兼フォーマル用の靴を買ってもいいと思うようになっているため、目についたデパート(macy's)を覗いてみることにしました。
飛び込んだ店はレディース専門店だったので、慌てて隣の男性店に移動しました。ここでダンスシューズが手に入れば、夫がもうちょっとダンスに熱心になるかもしれないという思惑もあったのですが、カルバンクライン製のつま先の尖った物しかなかったので、トラッド派の夫にこれを無理には履かせられないと諦めました。
帰りは桟橋まで市電(Fライン)かと思いきや、未経験の乗り物はには乗りたくないのか、どうやら歩いて帰るようです。かなり遠いのでバカみたいですが、ここで揉め事を起こすのは得策でないとぐっと堪えて従うことにします。
折角歩いているので何か雑誌と思ったのですが適当な店はなく、かわりにサプリメントストアがあったので、この間船内のNHKワールドでやっていた若さを保つと言う「レスベラトロール」(この当時日本未発売)というものがないかチェックすることにしました。「May I help you ?」と店員が近寄って来たのでそれらしく発音したら無事通じました。意外と高かった(セールで1瓶20ドル)ので自分達用に1つだけ購入しました。
店を出て15分ちょっと歩くと、左の方にブロードウェイ(Broadway)が見えました。ニューヨークのものが有名ですが、アメリカのそこそこの規模の都市にはありがちなネーミングなのでしょうか。写真では見辛いのですが東方面行きのI-80という道はここからはるばるニュージャージーまで大陸を横断する高速道路です。
そのうち海沿いの道に出たので、あとはひたすらピア35を目指して歩いて行きます。横を橋っている市電に乗れば数分で着くのに恨めしいものがあります。
今度は左手の丘の上になんだか古そうな塔が立っていました。水道塔…、ではなさそうなので後で調べたらコイトタワー(Coit Tower)でした。テレグラフヒル(Telegraph Hill)に1933年に建てられたアールデコ調の塔で、有料で展望台に上れるそうです。
今日のサンフランシスコは「霧の街(Fog City)」等というロマンチックなものではなく、「ずぶぬれの街(Soggy City)」でした。
ユニオン・スクエアを出てから40分、ようやく本船「飛鳥U」の姿を確認することが出来ました。ジョギングをするので距離感覚が鈍くなり、5kmぐらいまでの距離ならこうして歩いてしまうことはありますが、それなりに時間がかかってしまうのがネックです。
ピア29・31と書いてある建物を過ぎて、ピア33・35と書いてあるクルーズターミナルのある建物がゴールです。
セキュリティーゲートをくぐり、最終的に17時40分にフネに戻って来ました。乗船する時にコイトタワーが見えていました。晴れていれば展望台からの景色は素晴らしかったことでしょう。
漸く部屋に戻り、先ほどまでいたダウンタウンを眺めました。遠路はるばる歩いて帰って来ました。今回のクルーズで、まるごと一日こうして雨が降ったのはこのサンフランシスコが初めてでした。
そこからちょっと視線を左にずらすとベイブリッジの西部分(Bay Bridge)が見えています。中央支間700mの吊橋を二つ繋げた構造で、瀬戸大橋を構成する北備讃瀬戸大橋と南備讃瀬戸大橋のような感じです。
ビールを飲んだりしているうちに出港時刻の19時近くとなり、この時間になって漸く雨が上がりました。でももう面倒くさいのでボン・ヴォヤージには参加せず、部屋で出港を見守ることにしました。
オモテの景色はいつもモニターで写っているので、それをつけっ放しにしておきます。天気も悪いのだし、たまにはのんびりした出港も良しということにします。
夫は一日中ここまで降った雨は初めてだと言いますが、次回もし来ることがあれば是非晴れてほしいと思います。ゴールデンゲートブリッジをくぐるまではワッチを粘ろうと思っていたのですが、その中間点ぐらいで急に本船は行き足を止めてしまいました。コンテナ船でも先に行かすのかと思ったのですがよくわからず、食事の時間になってしまったので20時にダイニングに出向きました。
と、船長の放送があり下船して治療する必要があるかもしれなかった人がいたので、船内で検査し、その検査の結果問題なかったのでまた走りますということでした。「ホントは夫婦喧嘩で片方がもう降りる!というのを説得していたんじゃない」などと夫と憶測したりしましたが、霧が濃くなってきていたのでどっちみち橋はよく見えませんでした。
先附 鯛の子旨出しゼラ寄せ 空豆 造り代わり 胡麻豆腐 黒胡麻豆腐 盛り合わせ
揚げ物 たらば蟹 キスの天麩羅盛り合わせ 天露 灯台卸し 酢の物 わかさぎ南蛮漬け 糸唐辛子
煮物 筑前煮 牛蒡 里芋 鶏肉 蓮根 人参
汁物 白菜 ベーコン 和風豆乳仕立て 白御飯 香の物
甘味物 峰岡豆腐 苺ソース とうきびアイス
フィッシャーマンズ・ワーフで遅い昼ご飯をしっかりと食べたのですが、沢山歩いたこともあり夕食は少々物足りませんでした。本日の献立は家庭風と言えば家庭風ですが、豆やら豆腐成分が高くヘルシー過ぎです。「豚肉の生姜焼き」みたいな動物性たんぱく家庭メニューが恋しいです。
食事後はライブラリーに直行して、本船がサンフランシスコで仕入れた日本の雑誌類を1時間以上かけて読みふけりました。
次の寄港地ハワイ島のヒロまでは丸4日間走ります。その間に6月が終わり、クルーズの終わる7月になってしまいます。それにしても今日は雨にしてはよく走り、よく歩いたため疲れて足が痛いです。