1日目 5月17日(火) アムステルダム 出港18時
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14時過ぎに「飛鳥U」を下船して、数分歩くとアムステルダム旅客ターミナルと書いてある建物に到着しました。所々に「飛鳥U」のスタッフが立っていて誘導してくれています。
あまりに誘導が素晴らしく、また夫の目論み通りこの時間はほとんど乗船客がいなかったため、写真を撮る時間がほとんどありません。オプショナルツアーの引換券で、名刺入れのような黒いケースに入っている「アマデア」の乗船カードをもらいました。鍵は別カードで同じように入っていました。やはりヨーロッパは文化としてアメリカ資本船のように首からぶら下げないようです。

この後夫がいきなりターミナルの売店で地元のスモークチーズを購入しました。

14時15分過ぎいよいよ乗船です。ボーディング・ブリッジからは、本船の後方に「飛鳥U」が控えている、滅多に見られない縦列着岸が見えました。
案内された右舷の部屋「831」は奮発(一人€1380)してバルコニー付き(Dデラックスルーム)です。ドアを開けるとベッドのうち1つはプルマンベッドなのでスペースが沢山ある印象で、ウェルカムフルーツが置いてあるのが高級船らしい雰囲気です。
バルコニーに出るとすぐ下はプロムナードデッキです。バルコニーの床は流石のチーク張りでした。
机の上には本船が所属する「フェニックス・ライゼン」社のパンフレットが置いてありますが、すべてドイツ語でした。絵ハガキは今回用の特別バージョンで、本船が「飛鳥」だった時代のもの、現在の本船、それから「飛鳥U」の3枚がありました。
洗面所には歯磨きセット等は備え付けられておらず、またヨーロッパならではなのかはわかりませんが、シャンプーとボディーシャンプー兼用のボトルが付いているだけなので、事前案内があった通りこのクルーズには「飛鳥U」で用意してくれたショート・クルーズ用のアメニティキットが置いてありました。入っているバッグは表に「飛鳥U」、裏に「アマデア」のシルエットが入ったプレミアムものの特別製です。
コンセントは日本式のも入るもので、電圧は110Vと表示がありました。また、インターネット接続用のLAN端子があるのが素晴らしいです。
冷蔵庫にはソフトドリンク類が入っており、無料で飲むことが出来ます。先程夫が買ったチーズを一番上の冷たい場所に格納しました。
クローゼットには金庫と「アマデア」ロゴ入りの傘が入っていました。このロゴ入りの傘があるのは高級船風です。
ひとしきりキャビン内をチェックした後、船内探検に出かけました。2泊3日と短いクルーズなので、精力的にくまなくチェックしました。
「アマデア」船内の様子

船尾に行くと後ろに「飛鳥U」が控えています。14時45分現在バンカーバージが給油の最中です。
15時半からは集合場所で避難訓練がありました。説明は英語でしたが「飛鳥U」のスタッフが重要なことは通訳してくれていました。
本船の出港予定は16時半、16時15分から8F船尾のプール・デッキで「セイルアウェイ・パーティー」があると言うので張り切って出かけ、早速スパークリングワインをゲットしました。
バンドが賑やかに演奏し、出港の雰囲気は盛り上がっているのですが時間になっても出港する気配がありません。ほどなくセイルアウェイを演出している「飛鳥U」のエンターテインメントスタッフより「本船の出港は遅れて18時過ぎになる」由のアナウンスがありました。

「飛鳥U」の出港は17時なので、見送られるつもりが見送ることになりました。本船の方が前にいるので、「飛鳥U」が脇をすり抜けて行くワクワクするシチュエーションです。17時頃「飛鳥U」のすべての舫が解かれました。

その後秋に発行されたこのクルーズの写真集の最後に掲載されていた船長のログによると、これはバンカー(重油)の関係で、最初「アマデア」に付いたバンカーバージを航程の厳しい「飛鳥U」の方に一旦回してもらい、その給油が終わり次第出ることにしたようです。「アマデア」は給油がまだ途中だったため定刻に出られなくなりましたが、ゆったりした航程なので問題なかったようです(写真は13時頃給油中の「アマデア」)。
スラスターを使い「飛鳥U」は岸壁からするすると離れつつゆっくり前進しています。8F艏と11F「ビスタ・ラウンジ」の前のスペースに大勢人が出ているのがわかります。

ブリッジでは浅井船長が帽子を取って振っているのが見えました。 「飛鳥U」の舳先が本船の艉を越した頃、ここから先は客室のバルコニーからの方がもっと良く見えるし向こうからも目立つ筈!と閃き夫に声をかけて二人でダッシュしました。

幸い同じ8Fだったので、ロスもなく部屋に戻り、はやる気持ちを抑えてバルコニーに出ると「飛鳥U」がじわじわと近づい来ていました。
まず舳先スタンバイのチョッサー(一等航海士)が通り過ぎていきます。至近距離で真横からはなかなか見られない光景です。
そして「飛鳥U」の美しいクリッパー・バウがすべるようにやって来ました。クルー・オンリーの舳先のスペースにも沢山クルーが出ていて手を振っています。
つくづくとても綺麗なフネです11Fにいたクルーから声をかけられました私達のキャビンが行ってしまいます
ミッド・シップには「いってらっしゃい♪」のほか、「Bon Voyage !!(良い旅を)」とドイツ語で「Viel Spaß !!(楽しんで)」の横断幕がありました。嬉しい心遣いです。知り合いになった乗船客からも「行ってらっしゃ〜い」と声がかかるので「行って来ま〜す」と大声で応えます。20mぐらいの距離なのでハッキリ顔がわかります。
さすがに長い船体トモの方のキャビンにはダンスの先生が堂々とタグを従えて
最後に船首まで行き、後ろ姿を見送りました。たまたま出港の順番が入れ替わったのですが、そのおかげで感動的な出港シーンを味わうことが出来ました。お互いに声を掛け合えるのは客船ならではのゆったりとしたスピード感です。
「飛鳥U」が行ってしまった後しばし放心状態に陥りましたが、気を取り直して2度目の船内探検に出かけました。

そうしている間に18時になり、特に出港の案内もなく本船はいつの間にかするっと出港していました。出港用のテーマソングのようなものがスピーカーから流れてはいました。
食事は18時から20時までの1回制なので、あまりもたもたしていると食いっぱぐれてしまいます。が、オープン直後は例によって混雑するだろうと(夫が)考えたため、ずらして18時半にメインダイニングの「Vier Jahrzeiten(フォー・シーズンズ)」に出向きました。
ルームサービスのメニューにヴァイツェン(小麦)ビールが書いてあるのをチェック済だったので、迷わず注文すると「パウラーナー(Paulaner)」と「フランツィスカーナー(Franziskaner)のどちらが良いか聞かれたのは流石ドイツ船です。ケープタウンのV&Aウォーターフロントに直営のビアホールがあった「パウラーナー」にしました。この濁りこそ、ヴァイツェンです。
一方夫はオーソドックスにピルスナータイプのベックス(Beck's)生を注文しました。ドイツでは生ビールのグラスには目盛りがあって、そこまで液体部分を注がないと法律で罰せられるそうです。ドイツはグラス1杯が500mlあるので飲み応えがあります。
注文も終わってゆったりビールを味わっていると、日本郵船のウッドチップ船「HACHINOHE MARU」が停泊しているのが見えました。2002年の今造出来で幅35mはパナマ運河を通れないサイズです。

Appeteizer and Salads
  • Mixed luttuxce with onion, cheese, tomatoes with raspberry vinaigrette

  • Poultry Liver terrine with port wine aspic and sauce Cumberland
Soups
  • Cream of Lobster with cognac and créme fraiche★

  • Consommé of cepes with puff pastry pillow
Sherbet
  • Lemon sherbet with vodka

パンもドイツ船らしく写真手前は南ドイツで良く食べられるラウゲンブローチェン(Laugenbrötchen)です。
Main Dish
  • Whole roast beef tenderloin with sauce béanaise walnut broccoli and chateau patato

メニューはチャーターだけあって英語に和訳付きだったのですが「セップ(やまどりだけ)のコンソメ」は「ポルチーニ茸のコンソメ」と書いてあった方が有難味が増すと思いました。
Dessert
  • Fresh Fruits

  • Chocolate and Cinnamon Mousse Cake with Rum & Raisin Parfait served with fresh Strawberries★
ヨーロッパ船らしく料理の出て来るペースが「飛鳥U」よりかなりゆっくり目で、すっかり満腹になり食後のコーヒーを飲んだのは20時15分を過ぎていました。
夫が職業柄か気にしていたのですが、このメインダイニングでは本船のディーゼルエンジンの振動が周期的に共鳴し、食器類がビリビリと音を立てたり液体が震えているのがフネらしいと言えばフネらしかったです。
8時半頃部屋に戻るとプルマンベッドが引き出してありました。そう言えば夕食前にフロントに行き「このクルーズの船内紙でドイツ語版はないのか」尋ねていたところ、そこに他の乗船客から電話がかかり、その人が日本語しか話さなかったため通訳を頼まれたのですが「お電話かわりました」と言って普通に出たので「飛鳥U」のスタッフと思われたことでしょう。用件は「疲れたので早めに休みたいからベッドを引き出して下さい」ということでした。
この時間は20時から45分までの予定で、ダカールから「飛鳥U」に合流した幡野元船長のトークショー「クルーズよもやま話」というのがあったのですが、食事中に始まってしまったため見に行かずに、21時からのメインショーまでぶらぶらすることにしました。ちょうど本船はイムイデン(Ijmuiden、アイムイデン?)の北ロック(閘門)にいる所でした。
このロックを抜けて北海に出ると漸く本船はスピードを上げました。
6F「アトランティック・ラウンジ」(Show Lounge "Atlantik")でのショーは「Buddy Holly & Friends(バディー・ホリーと50's ロックンロール)」、夫の大好きなオールディーズだったので「さすが外国船はノリがいい」と大喜びです。
バディー・ホリーの歌を中心に、チャック・ベリーの「ジョニー・ビー・グッド」やロイ・オービソンの「プリティ・ウーマン」の曲が流れます。そして驚いたことに何と客がステージ前のダンススペースで踊れる趣向となっていて、盛んに歌い手が「Come on ! Let's Dance !」等と促すのですが誰も出ていきません。
こうなると江戸っ子気質の夫は「いっちょやってやるか」という気になってしまうから困ったものです。前の方の席ならまだ何となく出易いのに、ギリギリに行ったためかなり後ろの方の席からはるばる行かなくてはならないのがネックです。が「行くか」と言って夫がステージに向かってしまったため、妻としてサポートしない訳にはいきません。
格調高い「飛鳥U」の「クラブ2100」とは違い、ダンスそのものは適当に身体をゆすってノリノリしていれば良かったので、一旦出たからには楽しもうと、それ以降客が踊る曲の時には全部踊っていることになりました。
最初は律儀に自席まで戻っていましたが、そのうち面倒になりステージ脇でスタンバイしていると、顔見知りの乗船客数名が援護射撃に出て来てくれて、それなりに盛り上がったと思います。ショーはたっぷり75分、すっかり汗をかくと興奮が冷めやらず、援護射撃組と踊りの続きをしに同じフロアの「ハリーズ・バー」(Harry's Bar)になだれ込みました。
私達を合わせ3組のカップルだったのですが、全員ダンス教室の初心者仲間でもあったので、マンボやらジルバやらを適当に楽しく踊りました。

結局1時間程飲んで踊って23時過ぎにお開きになり、すっかり日が暮れて暗くなり、昼間に探検に来た時とはすっかり雰囲気が変わったバーを後にしました。

久々の外国船で楽しく夜遊びしてしまいましたが、明日はキール運河が控えているので寝なくてはいけません。がシャワーをしたり本船自慢のネット接続を通じてツイッターなどを書き込んでいると、あっと言う間に真夜中になってしまいました。