セレブリティ・マーキュリー アラスカクルーズ乗船記(2008年7月20日)

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8日目 バンクーバー 入港7時半
朝6時半頃、夫が早々に入港ワッチをしに部屋を出て行ったのを感じながら、眠くて目が開きません。とりあえず望遠の方のカメラを持って行って適宜絵になるシーンを撮影する様依頼しました。
7時を過ぎて、1週間前にくぐったライオンズゲートブリッジが見えてきたようです。
橋をくぐる瞬間は夫は室内にいたようで、ガラス越し望遠で橋を撮影していました。その頃ようやく私は起き上がり、コンパクトデジカメを持って12F「スカイデッキ」に上って行きました。

そして辛うじて撮影したライオンズゲーートブリッジの写真です。1週間はあっと言う間でした。

右舷側には、1週間前に12kmも走ったスタンレーパークの海岸線が見え、その後方にはバンクーバーのダウンタウンのビルが見えていました。アラスカの曇りがちな気候とは一転、輝くような素晴らしい朝でした。間もなく入港予定時刻の7時半ですが、着岸までもう少しかかりそうです。
左舷側にはバンクーバー・ワーブズで積み出しを待つ硫黄の山が見えました。硫黄は船の鉄板を錆びつかせるので、運搬する際には貨物艙に石灰を塗るそうです。
スタンレーパークの端を越えるとカナダ・プレイスの客船ターミナルが視界に入り、「ノーウェイジアン・サン」(奥)と、ジュノーで遭遇した南航の「ザーンダム」(手前)が先着していました。丁度本船の入港予定時刻である7時半頃通過しました。
「バン・ターム(バンクーバーのコンテナターミナルの略)」には川崎汽船の「George Washignton Bridge」が荷役をしていました。行きに見た「Chiswick Bridge」と同じ大きさ(全長285m、幅40m、5,600個積み)ですが、こちらは2006年出来と比較的新しいフネでした。25年前当時のこの航路は、太平洋航路最大級が1,600個〜1,800個だったのに対して、800個積みだったそうで、基幹航路ではなかったのが時代も変わったものだとこの後合流した夫。
朝食は、ビュッフェで平常どおり食べることが出来るのですが、入港ワッチで忙しかったため、昨夕から取っておいたアフタヌーン・ティー用の菓子類を部屋で食べました。

8時ちょっと前に本船はバランタイン・ピアに着岸しました。そろそろ下船待機場所である、6F「ランデブー・スクエア」に行かなければなりません。

居心地良かった部屋を出てエレベーターを待っていると、ちょうどハーマンとカルロスが通りかかり、ハーマンには「毎日緑茶をありがとう」と伝えることが出来ました。
6F「ランデブー・スクエア」ではかろうじて座る場所を確保出来ました。クルーズディレクターのジェフが入港時から本船の状況と下船の手順などを案内してくれていました。「美しいバンクーバーの港にようこそ(Once agein, Ladies and Gentlemen, welcome to the beautiful port of Vancouber.)」と繰り返していたのが印象的でした。

待機してから50分後の9時過ぎに、漸く私達の下船案内が流れました。前日にスーツケース用のタグが配られていたのですが、これが色分けされていて「○○色の方、下船口にお進み下さい」と放送されるのです。

荷物は整然と並べてあり、私達の「ベージュ色のタグ」をつけたスーツケース2つともすぐにみつかりました。
そのままタクシーをつかまえ、バランタイン・ピアーを後にしました。振り返り、1週間過ごした本船「セレブリティ・マーキュリー」に別れを告げました。
バンクーバーは空港までそれ程遠くないので、10時前には空港に到着しました。飛行機は12時45分なので夫も安心の3時間も前に空港着でした。

【まとめ】
(日本人客の割合 )
今回の乗船は個人手配のフライ&クルーズでしたが、もともとセレブリティは日本人客が少ないのか、本航海では私たち夫婦と(多分)もう少し年上の夫婦の二組だけの様でした。ソムリエが先週は20人程ツアー客がいたと教えてくれました。

(英語について)
本船は「スーパースター・ヴァーゴ」や「プライド・オブ・アメリカ」の様に日本人をターゲットとしていない様なので、日本語のサービスは皆無で、英語に抵抗があるとちょっと厳しいかもしれないと感じました。船内誌「Celebrity Today !」も、ツアーの場合には翻訳サービスがあるかもしれませんが、個人手配だと英語オンリーなので、気をつけていないと乗船日の避難訓練の様に全員参加が義務付けられているものを見落としてしまうかもしれません。メインダイニングのメニューも全て英語表記なので、魚なのか肉なのかの素材はわかっても、どういう料理なのかは想像がつかないかもしれないと思いました(もっとも夫に言わせれば、海外ではどこでも想像した通りの料理が出てこなくて当然、出てくれば万歳もの、だそうです)。この辺りはウェイターが心得ていて、「これは何?」と尋ねると、わかり易い言葉で説明してくれました。日本船だと船内アクティビティーやショーに、それなりに参加するので忙しいのですが、この船では英語オンリーなので自ずと足が遠のくものもありました。結果として、時間がゆったりと流れてくれたので、それはそれでゆっくり出来て良かったです。

また固定シーティングのメインダイニングで、毎日知らない外国人と「ヨコメシ」を食べるのは億劫だったので、私たちは乗船直後、バトラーに2人席を用意して貰う様交渉を依頼しました。通常はダイニングのメートルディに頼めば、そういう手配をしてくれると思いますので、ヨコメシが嫌ならトライすべきでしょう。

(料理について)
本船はメインの5F・6F「マンハッタン・レストラン」の他、11Fに「パームスプリングスカフェ&グリル」があって、ビュッフェの他ピザやパスタ類、ハンバーガー類を常時楽しむことが出来ます。また、ドレスコードを嫌う客のために「パームスプリングス ビストロ」があって、それなりの雰囲気で食事をすることが出来ます(別途チップが2ドル必要)。バターとソースに飽きたら夜は寿司コーナーに行くことも出来ます。私達は本船のディナーの日替わりメニューが楽しみで、思わず毎日メインダイニングに通ってしまったため(1週間以上のクルーズでメインダイニング皆勤賞は初)、夜にカジュアルに流れることはありませんでした。皆勤賞のもう1つの理由は固定制シーティングの採用で、ウェイターのスダルノが待ってるだろうから、みたいな感じもありました。周りのテーブルではフォーマルの晩だけ来ていたカップルもいたようです。

朝食は外国船らしく、焼きたてのパンケーキとワッフルのコーナーを楽しみました。もちろん卵料理もその場で作ってくれるコーナーがありましたし、シリアルも豊富、アジアンコーナーもあったので、醤油味を楽しむ事も可能です。昼食は残念ながら例によって、乗船日に少しだけ食べただけなのでよくわかりません。

(サービスについて)
セレブリティのクルーズは「プレミアム」にカテゴリーされ、クルーズ評論家のダグラス・ワードの四ツ星+にランクされているだけのことはあり、また乗客2人につき乗務員1人という比率の高さが示す通り素晴らしいサービスでした。特に今回は奮発してスイートにしたためバトラーサービスがついており、ティータイムのワゴンサービスとか、船内のちょっとした事を頼むとか出来てとても良かったです。案内によれば、依頼すれば荷物のパッキングまで手伝ってくれるそうでした。 部屋の掃除やベッドメイクもタイムリー(部屋を離れた時にさり気なくやっておいてくれる)で気持ちよかったです。これに関しては、最終日前日のクルーズディレクターによる下船案内時の面白いジョークがあって、「掃除も素早くやってるでしょ?いつも廊下で見張ってるんですヨ!あるお客さんなんか、夜中にトイレに起きて戻ったらベッドメイクされていた、と驚いてました。しかも彼の奥さんはベッドに眠ったままでネ!」

バトラー(インド人)や部屋係(メキシコ人)は頼んだ事を遅滞なくやってくれました。一度部屋のトイレが流れなくなったので、修理を依頼した際はすぐに対応しただけでなく、「今直したから流れる様になったか試してくれ」と折り返し確認の電話がありました。

(船内のデザインと設備について)
現代アメリカ風コンテンポラリー的デザインとでも言うべき、明るく軽めの色調で、照明も間接照明ながら全体に明るめでした。好みは分かれる処ですが、重厚な色調で伝統を感じさせる船のそれとは、一線を画すデザインでした。が決して奇をてらわず、またテーマパーク調にもならず居心地はよかったです。

ネット接続の設備は最新で早く、またスポーツジムは最新の機器が約50台ほど設置されていました。それでも航海中はトレーニングマシンの順番待ちの人がでるほど盛況で日本船との違いを感じました。

(乗客)
約6割が所謂白人。2割位がメキシコ人やプエルトリカンやアメリカの黒人、残りは中国人(多分バンクーバー在住)とインド人などでした。家族連れで小さい子供も多く、にぎやかな船内でした。プレミアム船のカテゴリーに入るこの船でも彼らには夏休みのファミリーバケーションの船という感じでした。ドレスコードは、フォーマル指定日でもタキシード着用率は2割以下でした。男性はほとんどが普通の背広かジャケット、中にはネクタイをしていない人さえちらほら。インフォーマル指定日では、ネクタイ着用が半分位、ジーンズにジャケットの人も見かけました。アメリカ人はカジュアル好きでクルーズの服装基準より1ランクほどラフな格好でも注意はされない様です。

(その他)
船内放送や案内は英語とスペイン語で日本語の放送がないのは想定の範囲ですが、避難口の案内版なども、英・スペイン・仏・独語などヨーロッパ言語のみでした。ある日キッズクラブ(シップメイツ・ファン・ファクトリー)の「船客はどこの国から来ているのか調べよう」みたいなイベントで子供たちが夫に「おじさん、どこから来たの?やっぱり中国?」と問題用紙を見ながら聞くので、その中を見せてもらったら、20カ国あまりの国名のリストが印刷されていたのですが、その中に日本はありませんでした。そのうちクルーズも中国人に席捲されてしまうのか、とちょっと寂しい気がしました。

乗船前、初のプレミアム船のクルーズ、それも日本人はあまり乗っていないだろうとの事で、実を言うと少し緊張していましたが、7泊8日の船旅は不自由をほとんど感じる事もなく、下船直後に夫とまたこの船に乗りたいね、と話し合っておりました。といっても欧米人並に船内のアクティビティにフルに躊躇なく飛び込んだわけでなく、その分外国船乗船は損している部分もある事でしょう。それでも日本船よりかなり安く本場の豪華なクルーズを楽しむことが出来、またアラスカの大自然を満喫することが出来ました。【2009年3月記】

ミッドシップの「グランド・フォイヤー」



「階段のデザイン」



インターネットの「アイ・カフェ」



エレベーターホール



第二の我家



「X」のファンネル

これはもともとセレブリティ・クルーズを所有していたギリシャの「チャンドリス(・グループ)」、ギリシャ文字で「ΧΑΝΔΡΗ」の頭文字なのだそうです。