セレブリティ・マーキュリー アラスカクルーズ乗船記(2008年7月16日)

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4日目 航海日(ハバード氷河) 12時半〜16時半
時差のせいか、夜あまり眠くならないためついつい夜更かししてしまい、朝はもうちょっと寝ていたい気持ちとの戦いです。が反対に飲み過ぎて部屋に戻るなり寝てしまう夫が8時前からゴソゴソし出すため、あまり粘ってもいられません。また、前の日にチェックしてあったスケジュールによれば昼過ぎからはハバード氷河近辺に到達して夕方まで氷河見物が続くことから、意外とスケジュールはタイトです。ということで意を決して8時半に起床しました。GPSによると北緯56度45分まで北上しており、どんよりとした曇り空でした。
連日のフルコースで胃腸が疲れていたのと、このままの勢いで食べ続けていたら大変なことになると思い、朝食は部屋に備え付けてあるフルーツで済ますことにしました。部屋は10Fの真ん中辺なので、11Fのカフェがすぐ近く、コーヒーを汲みにいくのに便利です。昨日ケチカンで唯一買った、セールで5ドルだった保温コーヒーマグが活躍しました。
10時45分からは、本船の厨房スタッフによる「厨房のすべて」みたいなデモンストレーションが予定されていたため、食べるなりすぐ走ることにしました。今日は朝食後に歩く人達が多くて走り辛かったのですが、体は軽かったため、本航海の新記録、トラックを55周(8kmちょっと)走破しました。今晩あたりそろそろ夫がメインダイニングはスキップしようと言いそうな予感がしますが、これだけ走っておけばとりあえずカロリー的にはプラスマイナスゼロになる筈です。
時間のちょっと前に11Fの船尾にある「パームスプリングス・プール」に行くと、すっかり「Food and Bevarage Showcase(厨房のすべて)」の準備が整っていました。
南アフリカ人の総料理長Steveがマイクを握り、奥でアイスカービングが始まり、まず魚セクションのシェフが紹介されました。立派なアラスカ・サーモンをあっと言う間に三枚におろしていましたが、外国のさばき方は切れないナイフでの力任せ感が漂います。


野菜セクションでは野菜担当のチーフが珍しい野菜を紹介したり、細かい細工を説明したりしていました。その向こうでは寿司職人が太巻きを作ってみせました。巻き簀で作るごく普通のものでしたが、西洋人達は感心していました。

次にチーフバーテンダーによるショーがありました。本船オリジナルのマーティーニをベースのカクテルを紹介した後、リカーボトルとシェイカーで見事なジャグリングを見せてくれました。技を決める度に大きな「オー」というどよめきと、拍手が起こりました。

その向こうでは、テーブルナプキンのフォールディングが始まりました。

肉は流石に何か技を、という訳にはいかず、どの位の肉がどの位消費されるか等が紹介されました。真ん中のNYカットも右のフィレも美味しそうです。そう言えばまだステーキを一度も食べていませんでした。

フルーツカービングもなかなかの出来栄えで、鶏がとても可愛らしく仕上がっていました。

家禽セクションは丸ごとの鶏をさばいていましたが、肉同様やはりちょっと地味でした。

最後はペイストリー部門で、パン生地で籠を作る所と飴細工が披露されました。

奥で開始と同時に始まったアイスカービングですが、約30分のショーが終わる頃には、見事な白鳥が出来上がりました。

一通りショーが終わった後、しばらく自由に見て回ることが出来ました。それにしても面白い催しでした。食に自信のあるセレブリティ・クルーズならではのイベントなのでしょうか。
部屋に戻って11時半頃GPS画面を見ると、本船はハバード氷河のあるヤクタット湾の入口まで来ているようでした。北緯59度29分は人生最高緯度です。
12時頃様子を見に13Fサンライズ・デッキに出ると、遠くの方にボヤっと氷河らしきものが見えています。再接近するまでにはここからまだ1時間以上あるでしょうが、オモテ側の見晴らしのいい場所を確保しなくては後悔しそうです。
ということで、一旦部屋に戻って防寒してから13Fデッキの一番前の右舷側に陣取ることにしました。が、案内放送によると体感は5〜6度とのこと、ゆっくりとは言え船が走っている分風が吹いて猛烈な寒さです。まずカメラを操作する手が冷たくなり、それから顔も冷たくなってしまいました。

30分程頑張ったあたりで夫が「寒い、もういい、帰ろう」とさっさと部屋に戻ってしまいました。仕方なく一人で粘ることにしました。作り物みたいな色の氷が近づいて来ました。これがグレイシャーブルーです。

頑張り始めて50分、氷河はまだまだ先です。手すりの下は風防の透明板がついているので、寒さに耐えられなくなったら座り込むことにしました。「Better?(いい感じ)?」と声をかけられたので「Mucn(かなり)」と答えました。それにしても周りの人々は完全防備の人がいるかと思えば半ズボンがいたりして、さまざまでしたが一様に震えていました。

1時間経った13時、これは体温が下がり始めてるな、と思い始めた頃夫がデッキで配られていた防寒用毛布と、振舞われていたクラムチャウダーをデリバリーしてくれました。

13時15分頃になると、大分浮いている氷が多くなってきました。本船には氷河ガイドが乗船していて、天候、潮流、潮汐、視程と氷の状態から総合的に判断して本船を嚮導しています。

とは言え貨物船の船長ならば行かないような、それなりに大きな塊のある氷の海を、微速前進ながら突き進むギリシャ人船長に驚いたと夫は後ほど関心していました。

それにしても寒いです。氷水の上に熱伝導率の高い鉄が浮いている訳で、底冷えの三倍増しの様な感じがします。近づくにつれ、ブルーの氷の塊が多くなり、あたり一面シャーベットのように氷が浮いています。そこから立ち上る冷気は思い出しても震えてしまいますが、徐々に近づいてくる氷河は圧倒的な迫力でした。

寒さは相変わらずですが、着実にフネは氷河に近づいて行っています。今頃夫は何をしているのだろう、ふと気になりました。13時40分頃の氷河の様子ですが、北米大陸最大の幅は6マイル(約9.6km)もあります。高さは90mです。

正午過ぎ位からゆっくりと氷河に近づいて行った本船は14時過ぎに再接近し、15時過ぎまでここにいます、とアナウンスがありました。望遠で撮影すると凄い迫力ですが、とにかく寒いです。ハバード氷河の左側には、ターナー氷河があったようですが、それとは知らずに撮影していました。

寒い中枢が刺激され続けていますが、初めて眺める船上からの氷河のブルーは幻想的で、引き込まれる様でした。曇り空だったのは残念ですが、このあたりは滅多に晴れないそうです。

14時15分頃、漸く夫が様子を見に来たので、頑張り続けた陣地から退去することにしました。このまま凍死…、する訳はありませんが芯まで冷えた氷河大接近でした。とにかく浮いている氷河のかけらから冷気が立ち昇ってきていました。
寒さが限界に達していたため、ここで部屋に戻ることにしました。最初は右舷にあった氷河が、フネの回転によって途中から私達の部屋のある左舷に移ったため、部屋に居ながらにして氷河を見物することが出来ました。「最初からこうしてれば良かったのに」と、夫は言いますが、寒さにうち震えながら氷河に接近するのをワクワク見守るのが、このクルーズのハイライトではないでしょうか。
バルコニーに出て撮影をしては暖かい部屋に戻る感じが何かに似ていると思ったら、スキーをしていてロッジに戻った時のホンワカ感でした。バルコニーに出ている時は、氷河のかけらが溶けながら入っていた太古の空気を放出していて、ポコポコシュワーッと水が流れるような音が聞こえていました。テンダーボートが下りて、氷河のかけらを採取していました。
予定通り15時過ぎに、本船は完全に向きを変えてハバード氷河をあとにしました。GPSは本航海の最北地点、北緯59度55分を示していました。あと10km足らずで北極圏、という地点でした。
氷河に向かって右側にあった山も、昔は氷河があって削り取られた地形のように見えます。いつまでも見ていたく、とても名残惜しかったのですが、体温を奪われていつも以上にお腹が空いたので、ダイニング入口に置いてあるメニューをチェックしにに行くことにしました。
乗船してから毎日ヘビーに食べていますが、美味しそうなメニューならまた是非食べたくなってしまうのが本船のダイニングの凄い所です。実は乗船前に日本食が恋しくなったらどうしよう、と心配したのですが全く無用で、醤油を一滴たらしたら良くなるのに…という場面が今の所ありません。メニューは前菜盛り合わせ、エスカルゴ、ニューオーリンズ名物ガンボ(スープ)、ニューヨークステーキ等があり、これは今晩も食べるしかないと思ったのは言うまでもありません。
この最中にハーマンがまたアフタヌーンティーセットを持って現れたようで、今回は夫がサンドイッチ類とクッキーがバランスよく選択してありました。そして私のいない間にウィスキーの小瓶を二本も空けていたのでした…。今日は休肝日にするかのような発言もあったのですが気が変わった様でした。

私がお風呂をためて温まっている間の、16時半のカナッペタイムには夫がウィスキーをもう1本空けて好き放題でした。

本日のドレスコードはインフォーマルでした。入口には最低限のドレスコードが書いてあるのに気づきましたが、インフォーマルであってもTシャツとジーンズはいたと思います。乗客の良識に任せ、あまりにひどい場合以外は注意しないのかもしれません。

Appetizers

  • Antipasto Platter: Cured Meats, Marinated Vegetables, Olives★


  • Escargot, Garlic-Parsley Butter
Soups

  • Louisiana Gumbo, Andouille Sausage and Okra★


  • Wild Mushroom Soup, Sherry Cream
Salads

  • Crisp Romaine Lettuce with Carrots, Roasted Peppers, Mushrooms, Daikon and Pumpkin Seeds★


  • Caprese Salad with Roma Tomatoes, Mozzarella, Basil, and Red Onion
Entreés

  • FLOUNDER WITH CRAB MEAT STUFFING
    Potato Fondant and Spiced Crayfish Sause


  • NEW YORK STEAK
    Roasted Potatoes, Green Beans and Blue Cheese Butter
Dessrt

  • No Sugar Added Strawberry Shortcake


  • Caramelized Apple on Puff Pastry, Calvados Cream, Caramel Sauce

本船の厨房は11Fのビュッフェのフロアにあって、ウェイターがそこまで取りに行っているそうです。6Fのメインダイニングにまとめて持って来た後、手際良く各テーブルに持って来てくれます。ウェイターのスダルノのプロ意識は高く、ミディアムレアで頼んだステーキが、ウェルダンに近い状態だったので「まぁでもアメリカだからこの位はしょうがないか」という風に思っていたところ、すかさず焼け具合を見に来て「これは焼け過ぎですね。取り替えましょうか?」と言って来たのでした。
21時からは本船のエンターテイナーによる「ブロードウェイをお少し」でした。画面は「オクラホマ!」ですが、夫はミュージカルにあまり興味がないため、結局賛同は得られず、始まった頃ちょっとだけ後ろから覗いて帰って来たのでした。