プライド・オブ・アメリカ ハワイ4島周遊クルーズ乗船記(2007年3月10日〜3月17日)

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1日目(土曜日) オアフ島ホノルル 出港20時

2005年の12月に「スーパースター・ヴァーゴ」に乗って以来、1年3ヶ月ぶりのクルーズは再び「フライ&クルーズ」になりました。日本船も捨て難いのですが、休める時期にちょうどいい日程のクルーズがなかったり、既に行ったことのある行き先だったり、はたまたドック入りしていたりと意外に選択範囲は狭くなります。その点、シンガポール起点の「スーパースター・ヴァーゴ」や、ホノルル起点のNCLアメリカの3船は、1週間単位で同じ航程のクルーズを繰り返しているため、時期を逃すことはありません。

2004年の7月に夏休みでハワイ島コナに滞在した際、1週間前にデビューしたばかりの「プライド・オブ・アロハ」がたまたまコナ沖に停泊していて、その美しい船体と外国船らしい雰囲気に一目ぼれし、いつかはハワイでクルーズを、と思っていたのが今回実現することになりました。「アメリカ入国のセキュリティーチェックは面倒だ」という夫の意見に変わりはありませんが、土曜日から1週間先の日曜日までの9日間(休むことの出来る最大値)で現地に行き、それなりのクルーズ(例えば5泊以上)をして、また飛行機で戻ってくるとなると実はあまり選択肢がありません。
コナ沖の「プライド・オブ・アロハ」

ホノルル発の7泊8日ハワイ島周遊クルーズは、NCLアメリカが毎週土曜日出発の「プライド・オブ・アメリカ」(2005年就航・81,000トン)、日曜日出発の「プライド・オブ・アロハ」(2004年就航・77,104トン)、月曜日出発の「プライド・オブ・ハワイ」(2006年就航・92,000トン)の3船を運航しています(2007年3月当時。このうちプライド・オブ・ハワイは2008年にハワイから撤退し、バハマ船籍となってヨーロッパに投入されることになっています)。ただし前述の休暇パターンだと、「プライド・オブ・アメリカ」号しか選択肢はありません。船型的には妙に重心が高く見えてあまり好きではありませんが、パンフレットによると、「アメリカ」を前面に出した「テーマパーク」みたいな雰囲気は楽しそうです。

土曜日の午後10時発、JO72便は日付変更線を越えて、定刻より40分速く、土曜日の8時50分にホノルル国際空港に到着しました。あいにくの曇り空ですが、ムっとする南国特有の空気が旅情を盛り立てます。そこから船が出るアロハタワー近くの10番埠頭(Pier10)は空港とワイキキを結ぶNimitz Highway沿いにあり、空港からタクシーでほんの10分程度の距離です。入国手続きも30分位で終わり、タクシーで「Cruise passenger Terminal」と船名が「Pride of America」であることを告げると「オーケイ」みたいな感じで連れて行ってくれ、10時前には到着してしまいました。タクシーの窓からこれから乗船するフネが一瞬見えました。
2003年11月に妹の結婚式でホノルルに来た時、たまたまここに「スター・プリンセス」(109,000トン)が停泊しており、その巨大さに感動して写真を撮りまくった思い出がありますが、今度はその同じ場所に私たちが乗船するフネがいるのです。ちなみにタクシー代はメーターで15ドル位でしたが、夫が気前良く「釣りはいらねえ」と20ドル払ったため、目が点になりました。
Pier10の「スター・プリンセス」
事前に代理店から送付された乗船用資料によると、チェックインは13時からと書いてありましたが、3時間も待つのは辛いとターミナルの入口とおぼしき場所で尋ねてみたら、11時半にゲートがオープンするとのことでした。それでも1時間半は待たなければならず、アロハタワー近くの広場に休憩用のテーブルと椅子があったので空いているのを見つけてとりあえず休むことにしました。ここからは前航の旅客を降ろして、次の出港の準備をする「プライド・オブ・アメリカ」の船尾の部分がすぐ近くです。この時間はタクシーでワイキキに行ったりすることも出来るでしょうが、いかんせんスーツケースが邪魔でした。夫は睡眠が足りず(日本を22時に出て、日本時間の朝の4時にホノルルに着いている)元気がないため、甲斐甲斐しく近くのカフェにコーヒーを買いに行って久々の英会話のウォームアップをします。
そうしていると、港から外に出て行くコンテナ船が目の前を通過しそうです。この角度で2,200個積みのコンテネ船を見られることはあまりないと、張り切って写真を撮りました。船名は「Albert Rickmers」、後日調べた所豪州とハワイ、アメリカ西海岸を結ぶ船でした。この時は次港サンフランシスコを目指して出港していたのでした。
今度は停泊中の「プライド・オブ・アメリカ」を撮影しようとぐるっと一回りしましたが、長さが280mもあるためオモテ(船首)の写真まで撮ろうとすると軽く500mは移動しなければなりません。ずい分と狭い岸壁にぎゅっと留っている印象でした。スターンライン(船尾側の係留索)も無理に隣の岸壁に直角に取っています。
ワイキキ寄りのもう1つの埠頭(ピア2)にはセレブリティ クルーズの「サミット」(91,000トン)がゆったりと停泊していました。
等と船舶チェックをしているうちに11時半になったため、再びピア10ターミナルの入口に行くと、今度は列が出来ていて受付を開始したようでした。建物の外に10人ぐらい、中にも列がありまずは手荷物検査がありました。周りにスーツケースの人がいないなぁ…、とまた「スーパースター・ヴァーゴ」の時と同じく預けそびれてしまったのかもと思いつつ、とりあえず通してくれたのでそのまま通過しました。その後日本のパスポートは別の列に分かれ、ツアー客らしい人たちの後ろにしばらく並んでいるとようやく私たちの番になりました。
出港までまだ間があるためか、また場所が広いせいか、無茶苦茶混んでいて混乱しているという感じはありませんでした。チェック・インのお姉さんによると、どうやら列に並ぶ前に違う入口で大きな荷物だけは預けなくてはいけなかったことがわかりました。「エ〜、どうしよう」と言うと「別に大丈夫、でも自分で持ってってね」とのことでした。後から考えると、運び込んだ荷物は5F「ハリウッド・シアター」に預けることが出来たので邪魔にはならず、部屋の準備が整い次第ピックアップしてすぐに荷ほどき出来たので、結果オーライだったのかもしれません。チェック・インした荷物がいつデリバリーされるのかヤキモキ待たないで済んだからです。
さて、乗船手続きを済ませ、ID兼部屋のカードキーを受け取って荷物をゴロゴロといよいよ乗船です。恒例の乗船口での記念撮影を済ませ、乗り込んだのは12時過ぎになりました。「スーパースター・ヴァーゴ」のような、日本人にはちょっと悪趣味にも思えるギンギラギンの装飾はなく、「アメリカ」を前面に強調したデザインは好感が持てます。
特に入ってすぐ、ロビーの床面にはアメリカの大きな紋章が書いてあります。このフネは船名どおり「アメリカ合衆国」を讃える装飾や造り、施設のネーミングになっているのです。

この船の建造由来とジョーンズ法について
1時過ぎに最上階の12階と11階の準備が整ったので入室出来ます、とアナウンスがあり、10階「10054」号室(右舷側)に入れたのはそれから更に30分位あとになりました。日本からの便は午前中の早い時間に着いてしまうので、この待ち時間が何とかなればいいのですが、これはしょうがないでしょう。本船は夜8時の出港で、その1時間前までに乗船すればいい訳で、まさしくここからNCLの「フリースタイル・クルージング」です。日本人客の様に空港から直行して少しだけ待って一番早くに乗船してもいいし、ホノルルで楽しんでギリギリに乗船してもいいのです。


バルコニー付オーシャンビュー

テレビには船内ニュースや船位の他、
最新の精算額を表示することも出来ます
テレビの上にはセーフティーボックス

右手前にシャワー

そして早く乗り込んだ乗客のために11F「アロハ・カフェ」がオープンしました。やっと空腹を覚えた夫が掃除の終わった部屋に入るなり「行こう」と言い出しましたが、折角部屋に着いたのだから、スーツケースから色々出してセットアップするまで待ってもらいました。毎度比べてもしょうがありませんが「スーパースター・ヴァーゴ」と比較すると、本船は収納スペースがふんだんにあります。二人分ならほぼ問題なくどこかに収納出来るのが有り難かったです。こちらは基本的に7泊8日以上のクルーズ船だからなのでしょう。ちなみにテレビの下に冷蔵庫もありますが、船外からアルコール類を一切持ち込めないため、水かソフトドリンク位しか冷す物はありません。
クローゼットクローゼット下部の物入れコーヒーメーカーと本棚
「アロハカフェ」はビュッフェスタイルで基本的に24時間オープンとなっています。私たち同様早めに乗船した乗客達がすでに来ていましたが、さすが人と距離感を持つ西洋人の船、「われ先に」の騒然とした雰囲気ではないのが良かったです。味は可もなく不可もなくです。

飲み物は、コーヒー紅茶類はサーバーが置いてあってタダなのですが、それ以外は炭酸飲料を含め有料になります。復活した夫がビールを所望したので付き合うことにしました。
その後はホノルル港にいた商船三井の自動車船「PARADISE ACE」(6,400台積み)の出港を見たりして、午後のひと時をのんびりしていました。自動車船の先には日本郵船のコンテナ船「伊豆」(1,600個積み)が停泊していました。
夕方になると、プールサイドでウェルカム・ハワイアンショーがあったので、皆が注文していたパイナップルの器に入ったカクテルを注文してハワイクルーズ出港前の雰囲気を盛り上げました。(このカクテルのお値段は大枚13ドル。思わず1つだけにしてシェア)

さて今日は、フライトの後何も運動していなかったので、6Fのプロムナードデッキを3周すると丁度1マイルと表示があったことから、とりあえず4周程歩く事に。ホノルルの夜風を肌に感じながら、デッキを散策するのはとても気持ち良いものです。

20時15分、定刻よりやや遅れて後進離岸となりました。このホノルル港は航路が狭く、後進して少し離れるとスラスターを使って船が自分で向きを変え、出港していきました。汽笛を鳴らし隣にいるセレブリティクルーズの「サミット」号に別れを告げました。
少々の時差ぼけと、遅い時間に昼を食べたのであまり食欲はなく、そろそろ食べようかとなった時間にはメインダイニングのサービス時間が終了しており、結局夕食は6F「キャディラック・ダイナー」で食べることにしました。50年代アメリカのダイナーの雰囲気でインテリアが統一されていて、乗船前からちょっと期待していた場所でした。
夫はほうれん草とアーティーチョークのディップナチョ、チキンヌードルスープ、フィッシュアンドチップス、私はガーリック風味のフレンチフライ、スープ、ミートローフにしました。味はスープに絶句…。夫も私もキャンベルのチキンヌードルスープをイメージしましたが、ヌードルというよりは大きめのリボン型パスタが入っており、それはまあいいのですがスープに味がついていませんでした。コンソメ風の味どころか、全く塩味がなく、食べ物に関して滅多に不平不満を言わない夫に「まずい」と言わしめる逸品でした。メインはスープ程ではありませんが、推して知るべし状態でした。

気を取り直してデザートはアイスクリームにチョコレートソースとピーカンナッツをかけた物にしました。ここのレストランの代金はクルーズ料金に含まれているので、食べ終わるとそのまま何も言わず出て来るスタイルでした。ちなみにチップは自動的に1人1日10ドルで無条件に引き落とされるため、個別に支払う必要はありません。