にっぽん丸 道東と平泉クルーズ乗船記(2005年9月1日)

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4日目 釧路港 入港8:00 出港17:00
霧の根室を出航したにっぽん丸は、直線距離わずか100キロ強(行程は93海里)、5時間位の航走距離をまる一晩かけ、早朝6時頃には釧路沖に到着。朝8時頃わずかに朝霧にかすむ釧路港中央埠頭に着岸しました。初寄港で歓迎行事のあった根室花咲港と違い、地元の港湾運輸倉庫が立ち並ぶ殺風景な港という印象を受けました。

釧路からのオプショナルツアーに「道東湖めぐり 阿寒湖、摩周湖、屈斜路湖」と言うのがあり、有名な湖を一気に巡る効率の良さに私はとても魅力を感じていましたが、夫は若い頃この3つともに行ったことがあるため、全く興味を示さず「釧路湿原でカヌーに乗りたい」などと言っています。湿原でカヌー、みたいな変化球を投げるより、誰もが知っている湖を巡る観光の王道を極めたいと思い、一時は「では本日は別行動に」と心が傾きましたが、1人で観光バスに乗るのもつまらないかと考え直し、我慢して夫に付き合うことにしたのでした。

どうしてもカヌーに乗りたい夫は、釧路駅9時5分発の釧網線快速「しれとこ」網走行きに乗って湿原の方に行けば良いということを珍しく事前に調べてありました。逆算して朝食を摂り、釧路駅から列車に乗るべく船を離れます。駅までは歩くと20分位だと聞いたので、朝食の腹ごなしに歩いて釧路駅まで行く事にしました。朝の通勤時間帯なのに、駅の周りのビジネス街風の場所でも人通りは少なくのんびりした雰囲気の町です。釧路駅の切符売り場で、釧路湿原でカヌーをするにはどの駅で降りれば良いか尋ねた所、塘路(とうろ)駅が適当とのことでした。
釧路駅を出たディーゼル車は、国道391号線に沿って北上。1両編成(?)単線のローカル線です。ガタンゴトンと短めにジョイントを刻む音が、いかにも最果ての鉄道という風情を演出しています。JR九州と同じ一発止めで、駅の所定停車位置に最後は「ガックン」と止まっても、「そんな事、関係ないもんね」という感じです。途中の釧路湿原駅では、展望台に行く人がかなり下車していました。それから間もなく、人口約19万人の釧路からたった30分で釧路川下りの起点、塘路駅に到着しました。
さっそく駅前で最初に目に入った「塘路メイチャーセンター」でガイド付き川下りを頼むと、予約が入っているので2時間位待って欲しいとの事。駅の周りには何もないので、その待つ間に国道を歩いて30分位(3kmくらい)のところにあるサルボ展望台に行って、360度広がる湿原を見ることにしました。
軽い気持ちで歩き始めた私たちですが、わずか先に展望台が見えていても、北海道の道は真っ直ぐで、景色も変わらずなかなか前に進んだ気持ちがしません。加えて霧の釧路からこの辺りは一転して快晴で、気温は30度近くになり汗が吹き出ます。自動販売機もなく、国道を乗用車やらトラックやらが走り抜けていく脇をトボトボ歩き若干心細くなりましたがついに到着。展望台からの景色はさすが北海道と言う雄大なものでした。あと北海道は蚊がいないイメージがありましたが、国道沿いにいなかった蚊が、展望台往復の山道にはそれなりに寄って来て、半スボンの足を容赦なく襲ってきました。夫と2人でいると必ず蚊は私を標的にします。

←真ん中の筋が延々歩いて来た国道で左が塘路湖、右はエオルト沼




展望台の反対側、コッタロ湿原の方面→

約2万年前から海水の進出と後退を繰り返した中でできた釧路湿原は、国道から中に入るとほとんど人に会うことはなく、カヌー乗り場への車の道も未舗装のデコボコ道です。塘路駅前から約10分、これから川を下るカヌーを屋根上にのせたバンに乗って、釧路川下りのカヌー乗り口に到着。ここでバンからカヌーを下ろし、カヌーの漕ぎ方や非常時の事など少し説明を受け、いよいよガイドさんとともに釧路川下りに出発です。
川を下る速度は時速8km位で、流れに任せていてもカヌーは下っていくのですが、浅瀬をよけたり、ゆっくり漕いだり早く進んだり。天気も良く、大自然の中、鳥の声を聞きながらカヌーで遊ぶのはそれなりに気持ちの良いものでした。何よりも川面は涼しく、また目線が通常より下にあるのでより大自然に抱かれている感じがします。

夫はもっと長くカヌーに乗っていたい様でしたが、客船の旅で心配なのは単独ツアーをして時間までに船に戻れなくなることです。乗り遅れたら置いて行かれるばかりでなく、多くの人に迷惑をかけてしまいます。ただし私は14時半の列車で釧路に15時過ぎ着、帰船時刻の16時には余裕だなと思っていたのですが、慎重な夫はそれより一本前の塘路駅を13時前に出る列車で帰ることを選択したため、肝心のカヌーツアーは30分くらいで切り上げなければなりませんでした。
夫はまたチャンスがあれば飛行機で釧路まで来て、ゆっくり1日かけてカヌーをしたいと残念がっていました。まぁでもその時こそ私は湖巡りをしようと思います。と言うわけで釧路湿原のネイチャーな半日も終わり、13時20分頃また釧路駅に戻って来ると、釧路市内はまた霧に包まれておりひんやりとしていました。最終帰船時間にはまだまだ余裕があるので、帰り道フィシャーマンズワーフMOOに立ち寄ることにしましたが、期待した程の成果はなく、職場用のお土産を買ったのみでした。
そこから10分位歩いてにっぽん丸に戻ると、もう4日も乗っているので何だか我が家に戻ってきたという気持ちになり、ほっとするのも客船の旅の醍醐味です。 となると、「プロムナード・デッキ」でビールでも飲んでのんびりするか、と言う夫の誘惑に負け部屋に着くなりビアガーデンモードに。デラックスルームの特権、「冷蔵庫の冷えたビールは飲み放題」というのをフル活用し、缶ビールを持ち出してプロムナードデッキで霧にむせぶ釧路港の風情を17時の出港まで眺めておりました。丁度大湊自衛隊の護衛艦2隻が防波堤を超えて港内に入って来ていて、放水訓練の様なことをやっていましたが、缶ビールを片手に普段見られないものを見られてラッキーでした。
根室からオアーバーランドツアーツアーをしていた船客も帰ってきて、定刻の17時、にっぽん丸は釧路港を出港しました。しかしその頃には先刻来の海霧がますますひどくなり、船の舳先から数10メートルがやっと見える程度です。タグボートがにっぽん丸の先を行き、霧笛をならしながら本船を航路へ導きますが、そのタグの姿は霧の中で全く視認できません。ブリッジのレーダーと、本船おもての一等航海士はじめ、見張りのクルーのトランシーバーの連絡を頼りに、にっぽん丸はそろそろと釧路港の防波堤をかわして外洋に出たようでした。

本日のディナーは「ビュッフェ・ディナー」で、18時半から20時の間に供されます。ちょっと出遅れてギリギリの18:45に「瑞穂」に行った所、皆出足が早く、ちょっと楽しみにしていた「鮭のちゃんちゃん焼き」はほとんど骨しか残っていませんでした。なめこと豆腐の赤出汁
シュリンプ・カクテル
カナッペ盛り合わせ
スモーク・サーモン飾り盛り
蟹三味
刺身盛り合わせ
鮭のちゃんちゃん焼き
牛肉煮込み 赤ワイン風味
大根と蒟蒻の田楽
肉まん、あんまん
細巻き寿司
椀子茶そば

イタリアン・サラダ
クラブハウス・サンドイッチ
チーズ・コーナー
カット・フルーツ・コーナー
ケーキ・アラカルト
アイスクリーム各種
連日のご馳走を目一杯食べるためそろそろ胃腸が疲れてきた感じです。メインショーの琵琶コンサートはスキップして、部屋でのんびり夜を過ごしました。