札幌 16時12分発(入線時刻16時03分) 日没16:56
前泊は札幌駅北口近くのホテルに滞在し、北大構内をジョギングして昼にチェックアウトした後は特に予定がありません。ディナー予約は20時10分と遅いので、昼はしっかりとラーメンを食べることにしました。
乗車券をそろそろ仕入れることにします。このトシになって学割を使うので少々緊張しましたが、「おとな1枚、学生1枚」というと拍子抜けする程普通に発券してくれました。
大人料金が17,930円に対し、学生は14,810円です。きっちり8掛けにならないのは、IGRいわて銀河鉄道の区間2,300円が(100km未満だから?)学割適用にならないためです(青い森鉄道区間3,030円は適用)。ちなみに第三セクターを利用しない方法(新青森まで新幹線)であれば、札幌までの運賃は大人でも14,070円と今回の学割よりも安くなり、かなり値段が違います。
その後は駅の南口の方をウロウロしてから、カシオペアと同じホームから大阪に向けて14時5分に発車するトワイライトエクスプレスの撮影をしようとしていたのですが、みどりの窓口の空席情報で札幌発は月曜日には設定のないことを思い出し、駅には結局15時半頃に戻って来ました。
これまでであれば手稲方面エンドに待機して入線を撮影するところですが、ホームとカーブの関係がいまいちだったので、隣の5番線に行ってみることにしました。こちらの方がいい写真が撮れそうです。
この5番ホームからは旭川行きの特急が16時に出発した後、入線を待つという算段だったのですが、何とこの特急が遅れて16時に入ってくるとのアナウンス。何となく焦りましたが、撮影にはあまり関係なさそうです。4番ホームからは千歳行きの普通が出て行き、カシオペア乗車待ちの人が増えて来ました。
そして16時2分、DD51ディーゼル機関車の二重連に引かれたカシオペアが姿を表しました。そして思惑通りカーブを曲がる姿とうねる線路が綺麗です。
ズームを変更しつつ何枚か撮影するのですが、画像の保存に時間がかかりサクサクとはいきませんでした。
機関車に続き銀色のボディーのE26系客車が入って来ました。手前の窓三対が1号車のメゾネットスイート3室で、次の2号車一番最初の窓が私達のカシオペアデラックスです。右の写真上下四対の8つ窓はツインで、それぞれが別の部屋になります。

あまりぐずぐずして乗り遅れては洒落にもなりません。カシオペアが完全に停車する前に5番線を撤収し、4番線に移動しました。夫とは食材を積み込み中の食堂車(3号車)あたりで再会したものの、今度は機関車を撮影すると言い残し先頭に向けてダッシュしました。

もうちょっと引いて撮りたいのですが、これ以上先はホームがないため無理でした。先頭がDD51-1093、次が1137機でした。
それから1号車の展望スイートを外から覗いてみます。入線から発車までたっぷり時間のある上野発と異なり、札幌ではたった9分しか余裕がないためかなり忙しいものがありました。
ここまで夫とは別行動で、部屋番号だけ言い残して現地集合にしていたのですが、数分前に部屋のある2号車に行くと荷物を置いて来た夫が「ビールを買ってくる」と降りて来ました。
2号車1番のデラックスは1号車寄りで、入口ドアを開けると目の前にトイレとシャワー室があり、その左側に居住空間が広がっています。
ほどなく夫が戻り、発車時刻の16時12分を過ぎましたが動く気配がありません。部屋の窓はホームと反対側にあるため様子はわかりませんでしたが、結局5分遅れぐらいで出発しました。DD51の機関士さんはとても腕がよく、連結部分をスーっと引き出してすべるように発車しました。最初から5分遅れとわかっていれば余裕で色々撮影出来たのに、などということは言っても仕方ありません。
早速ビールで乾杯タイムとなりました。ツマミは昼間に土産物店で仕入れた地元のサラミと鮭とばです。
すると入口のチャイムがなり、アテンダントの女性がウェルカムドリンクセットを持って来てくれました。白ワインのハーフボトルと、ウィスキーのミニボトル、ミネラルウォーターと氷にグラスも一式(ワインとウィスキー用2セット)付いていました。更にソフトドリンクも持って来てくれるとのことだったので、オレンジジュースとウーロン茶(他に緑茶あり)をお願いしました。
15分後ぐらいにソフトドリンクが到着しました。が、これは夜間に喉が渇いた時用に取っておくことにします。これ以外に更に翌朝のコーヒー又は紅茶サービスも持って来てもらえるらしいので、7時にお願いしておきました。
その後車掌さんが来て検札も終わったので、車内探検に出かけました。客室のスペースをしっかり確保した関係か、廊下が予想以上に細長く人とすれ違うのも厳しいです。
まだ明るいうちにと最後尾のラウンジカーを目指しましたが2号車からではかなり遠かったです。道中ツインの個室がいくつか空いていたので、車端ツインを含めすべての種類の写真を撮影することが出来ました。

(次ページ) カシオペアその他の写真
17時過ぎに部屋に戻るとすっかり暗くなっていて、夫はウィスキー、私は白ワインということでまたまたアルコールを楽しみ尽くしました。苫小牧を過ぎて太平洋に出ると、真っ暗な海にイカ漁の漁火が連なっているのが見えました。海と室蘭本線の間の灯りは国道36号線(室蘭街道)です。
列車は登別、東室蘭と順調に停車していきます(写真は東室蘭)。
東室蘭を過ぎてすぐに立派な吊り橋が見えて来ました。調べてみるとこれは関東以北で最大の「白鳥大橋(はくちょうおおはし)」であることがわかりました。中央支間は720m、主塔は140m、クリアランスは54mもあるそうです。綺麗な橋で観光名所にもなっているようですが、ここにこれだけの物が必要だったかは少々疑問です。
伊達紋別では、後から札幌を出発したスーパー北斗18号に道をゆずるため7分間停車しました。時刻はまだ18時半になっていなかったのですが、食堂車では2回目のディナーが始まったようです。

上りのカシオペアが、運転停車以外でこれだけ長く停車するのは函館とこの伊達紋別だけです。下車して雰囲気をしっかりと堪能してから戻りました。

洞爺に到着する直前に、車内販売の人がやって来ました。カシオペアでは呼び出し音と共にディスプレイに「車内販売員がまいりました。ご用のお客様は声をおかけ下さい」と表示されるので便利です。
限定商品詰め合わせ入りで1万円のトートバッグ等あり、迷った末にカシオペアサブレ(750円)、キーホルダー(1,200円)、ヘッドマークのストラップ(1,000円)を購入しました。カシオペア車内では決済にJR東日本のSUICAが使えるのでとても便利でした。
食事の20時10分までまだ1時間半ぐらいあります。飲み続けていた夫は気持ちよく気絶し、私は持参したパソコンでとりあえず今までの出来事を記録にとどめました。豪華とは言え20世紀に作られたカシオペアには、部屋のコンセントが洗面台の脇に1つしかなく、延長コードで近くまで引っ張る必要があります。
20時ちょっと過ぎに「3回目の夕食の準備が整った」由車内放送があったので、すぐ隣の食堂車に出向きました。奥の方の二人掛けのテーブルに案内されました。この回も満席になりました。
ワインはハーフボトルしかありませんでしたが、先程白のハーフを空けているのでいきなり赤を注文しました。2007年北斗星に乗車した時、ハウスワインはカリフォルニアでしたが、国産(小樽ワインツヴァイゲルトレーベ、2012年)に切り替えたようです。値段は2,000円とちょっと割高になっていました。カシオペアの特別ラベルを纏っているのはお洒落です。
〜オードブル〜

帆立貝柱とサーモンのマリネ 紅白仕立て
〜魚料理〜

牡丹海老と白身魚のワイン蒸し
赤ワイン風味のクリームソース
〜肉料理〜

牛フィレ肉のソテー 大地の野菜添え マスタードソース
〜デザート〜

スペシャルガトーとグラスの盛り合わせ

コーヒー
前回のメニューより全体的に凝っている印象を受けました。高い気もしますが、列車でこれだけの物を食べられるのはやはり凄いです。カーブで車体が思い切り外に振られ、グラスの中のワインが傾くのもまた一興でした。

ところで、20時10分からの3回目の食事しか予約を出来なかった時に、21時5分に停車する函館の機関車交換見学は諦めていたのですが、テンポ良く食事が出て来たおかげで何とか間に合いそうです。ワイン代の会計をSUICAで済ませ、ついでに翌朝の朝食のルームサービスを予約し終わって少ししたら丁度函館に到着しました。
他の同好の士らと一緒に最後尾車両まで移動し、いまや遅しと機関車がやって来るのを待ち構えました。ラウンジカー内でも人がへばり付いてスタンバっています。

と、ED79の13号機がやって来て、車掌さんと保安員さんの誘導よろしく無事連結しました。反対のエンドではDD51ディーゼル機関車が切り離れている筈ですが、流石に両方同時には見学出来ません。


このイベントには珍しくは夫が付いて来たので、ついでにラウンジカーを案内してから、部屋に戻りました。
戻るなり夫は爆睡、私はシャワーすることにしました。18分使えるのですが、目の前でカウントダウンされると小まめにお湯を止めざるを得ず、使用したのはたったの3分でした。
上の写真のように転倒防止のバーを出せるのは揺れる車内では安心感がありました。ブースの床部分は10cmぐらいの深さがあり、カーテンはマジックテープでしっかり壁と密閉出来たので、そこらの客船より良く出来ていると思いました。湯の勢いこそあまりありませんが、熱さは十分だったので予想以上に気持ちよくサッパリ出来ました。
青函トンネルはネットで調べた予想時刻より8分遅れの22時17分に入りました。入る前に毎度「これか?」「いよいよこれか?」と思わせぶりに露払いのトンネルがいくつかあったのは青森側と同じような感じです。しかし青函は入る直前にピーッと長めの汽笛が鳴ったのでした(写真は手前のトンネル)。
入って直後にいきなり窓ガラスの外側に水蒸気がたまり、何も見えなくなりました。この季節は外気よりトンネルの中が温度も湿度も高いからですが、これじゃなにも撮影出来ないと焦っていたら数分で自然になくなりました。
22時28分に吉岡海底駅を通過しました。次に、2009年トワイライトエクスプレスを札幌で降車する際にクルーから教わった、青函トンネル最深部の青と緑の蛍光灯を待ちます。
がそれは予想より早く(22時31分)に来てしまい、カメラの電源を入れていなかったため残念ながら撮影出来ませんでした。思ったより函館寄りでした。22時42分竜飛海底駅を通過しました。ロングレール上をほとんど揺れず順調に走り続けています。
22時51分にトンネルから外に出ました。ちょうど窓から月が見えています。青函トンネル通過中ずっと寝ていて何ひとつイベントを楽しまなかった夫が、「走行音が変わった」と突然復活しました。そしてシャワーに入りましたが、やはりお湯は3分ぐらいしか使わなかったそうです。

それにしてもこの部屋はコンパクトに色々あって、かつ同じスペースに座席も寝台もあるのでなかなかいい感じです。特に一番奥の寝台が座席の背もたれやソファーベッドに囲まれていてとても気に入りました。

中小国を過ぎて蟹田までの間、22時18分に札幌行きの急行はまなすとすれ違いました。22時42分に青森を発車し、翌6時過ぎに終点札幌に到着します。意外と乗車率が高そうでした。

なお、この中小国駅がJR北海道とJR東日本の境界駅です。
23時49分に青森駅に到着しました。ここでラウンジカーの先にいたED79電気機関車は切り離され、再び1号車の展望スイート前にEF510電気機関車が連結されます。駅のホームに入る際、その電気機関車が待機しているのが見えたのですが、北斗星塗装の青い色をしていたようです。
またこの駅でJR北海道の車掌さん達が降りて行きました。
0時11分、浅虫温泉駅を通過したところで眠ってしまったようです。
次に気付いたのは6時半の車内放送と、その後の食堂車のオープン案内でした。半分寝ぼけながら聞いていると、沿線火災の影響で通行出来なかったため、1時間ちょっと遅れて運行しているそうです。その後福島駅に6時42分に到着しました。なお食堂車は開店前から列があり、開店と同時に満席になった由放送がありました。
モーニングコーヒーを7時にお願いしてあるので、起床してソファベッドを片付けることにします。寝具を奥の寝台に移動し、背もたれを起こすと部屋の中がスッキリしました。寝心地は若干ですが奥の方が良さそうです。
7時ちょっと前に、コーヒーが届きました。振動と音であまりぐっすり眠った感じがしなかったので、前日の疲れが取れていない感じです。それでも1時間の停車のことは全く知らなかったので、そこそこには寝ていたのでしょう。スッキリするために朝シャワーをすることにしました。
2回もシャワーをしたのに、結局お湯は10分9秒分残りました。7時21分に郡山に到着しました。

郡山駅発車後の車内放送(338KB)
その少し後、7時半にお願いしてあった朝食のルームサービス※が届きました。和食と洋食のどちらかを選べ、二人とも和食になりました。1,600円は少々高額ですが、炊き立てのご飯を車内(しかも個室)で食べる贅沢には代えられません。

※ルームサービスはデラックスとスイート向けのサービス
この朝食には食後のコーヒーも付きます。インターホンでお願いしてコーヒーを運んでもらいつつ、朝食の食器は下げてもらいました。本来のダイヤであればあと1時間程で上野に到着ですが、遅れたお陰で2時間以上あり、急がない旅ではかなり得した気分です。
ということで、もう1回最後尾の景色を眺めに行くことにしました。長い通路を漸く辿り着くと、青函トンネルで付いたのか赤茶けた汚れが窓に満遍なく降りかかっていて残念でした。この遠征中に丁度宇都宮駅に到着しました。

宇都宮駅到着案内放送(1.04MB)
この時間のサロンカーが優雅にモーツアルトがかかっていました。もしかしたら部屋のコントロールパネルを操作したら、部屋でも同じものが聴けたのかもしれません。
9時半頃、利根川を渡りました。これを越えると本格的に関東に帰って来たような気分になります。
旅の記録を続けたGPSデータロガーですが、10時頃大宮に着く直前に電池残量が少なくなった警告が出てしまい、慌てて一旦パッキングした予備電池を取り出しました。
ここから上野までの30分はあっと言う間に過ぎていきます。10時14分、荒川を渡って東京都に突入しました。
尾久の車両基地横を通過しました。向こうにブルートレインの24系客車が見えています。行き先に青森と書いてあったので、寝台特急あけぼのでした。やはり寝台車はこの青色の方がしっくりきます。
そして前方に見慣れたEF81の81号機が停車しているのが見えました。これは北斗星塗装のお召し機で、私達が北斗星に乗車した時に青森まで牽引してくれた釜(機関車のこと)でした。ここ数年でかなりのEF81が廃車になっているので、おお、まだ頑張っていたのかと感慨深いものがありました。
ほどなく京浜東北線と山手線の並走区間となり、日暮里駅を過ぎました。
終点上野駅到着案内放送(4.82MB)

そこからはもうあっと言う間に終点の上野駅に到着してしまいました。10時27分着は定刻から1時間2分の延着でした。

やはり牽引していたのは北斗星塗装の機関車でした。これはこれで希少感がないことはありません。

年賀状用にとスロネフ客車と釜とそれぞれ記念撮影をし、10分後にカシオペアは推進運転で回送されていきました。しかし、撮影はまだ終了していません。
本来であればカシオペアの10分後に上野駅に到着し、カシオペアが回送されるまでの間の10分間横に並んでいる筈だった北斗星の撮影です。駅員さんにいつ到着するか尋ねると今から8分後とのことでした。
ということで、呆れる夫をホームのエンドで待たせて13番線に進入してくる北斗星を無事撮影したのでした。こちらは定刻の1時間10分遅れでした。
カシオペアも北斗星も札幌行きの下り列車の方が人気ですが、今回の長距離列車で家を目指すという感覚はなかなか楽しく、次回もしまた機会があれば上りがいいかもと思うようになりました。
東京 10時28分着(予定時刻9時25分) 日出5:44