13日目 8月26日(木曜日) ロッテルダム 入港6時
下船の集合は7時10分なので、6時には起きなくてはなりません。眠い目をこすって外に出ると本船は真っ暗な雨のロッテルダム港に既に着岸したようでした。
身支度を整えて6時半頃、9F「リド・レストラン」に出掛けました。メインダイニング同様下船日はいつもより早い6時からオープンしています。
モリモリ食欲がある訳ではありませんが、リッチな朝食もしばらく食べられなくなるので例によってスモークサーモンと焼きたてワッフルを食べることにしました。
一方夫は朝早過ぎて全く食べる気が起こらず、とりあえずパン類とヨーグルトとコーヒーを部屋に持ち帰りました。
7時頃に夜が明けました。私も勤めている間はと、奮発して大きめの部屋にしたのですがゆったりしていて良かったです。
1Fロビー前の集合場所に行くと、私達が一番最後じゃなかったので少しだけ待ちました。添乗員さんは20分も前からここに待機していると彼女が訳した日本語の下船案内に書いてありました。

7時15分頃下船しました。ボーディングブリッジの窓には雨粒がついていて、かなり本格的な雨が降っているのは気が重いです。

昨晩出したスーツケースを無事受け取り、クルーズターミナルの端に移動して空港までのバスを待ちました。フライ&クルーズの自己手配だと港から空港までの移動にかなり気を使いますが、その点添乗員同行ツアーなので全く心配ありません。
待っている間にちょっと離れた所から本船の後姿を撮影しました。客船としてとても優美なフネでした。
7時半頃バスがやってきて乗り込みました。ツアー客11名と添乗員さん、地元に住む日本人の男性ガイドさんの合計13名でこの大きなバスを占有するのは贅沢です。
港に来るときにも通ったエラスムス橋を渡る際、本船の前景が見えました。13日間を過ごした第二の我家の見納めです。
ロンドンまでの便は11時45分発ですが、焦って早く下船した理由はこの渋滞です。平日の通勤ラッシュと重なり、往路は1時間もかからなかったのがたっぷり2時間かかってしまいました。雨の上にバスが前に進まないストレスで段々無口になりました。
それでも9時半過ぎに空港に着けば出発までは余裕です。とりあえずチェックインですが、重量はどうなっているでしょうか。最近長距離便にあまり乗っていなかったので知らなかったのですが、重量オーバー(1人あたり23kg)には大変厳しくなったようです。
カウンターの横の秤に二つ載せると合計で46.9kgは厳密に言うとオーバーですが誤差の範囲だったようです。係員の女性に「Perfect !」と褒められました。ニューカッスルで小さいキャリーケースを買い、オーバーしそうな重たい物を外出しにして機内持ち込みにした甲斐がありました。
ツアーの他の乗客の中には「これではダメだ」と言われた人もいて、その場でスーツケースを開けて中身を軽くして再検量に臨んでいました。

と伝統的な衣装に身を包んだチーズ運搬人が通りました。子供の頃絵本で見て、一度実物(アルクマールという町のチーズ市場にいるらしい)を見てみたいものだと思っていたのですが、スキポールで夢が適いました。

折角なのでBAのラウンジも使いました。とは言っても朝からお酒を飲む訳にもいかず、インターネットに接続して夫が仕込んであったブログを書き込みました。フォース湾に入っていったのは4日前のことですが、もう随分昔に起こったことのように感じます。

「おりえんとびいなす再会(2010年8月25日)」
ゲートに向かう直前に急にオーデコロンが欲しくなり、免税店で「ヒースローで乗り換えて日本に向かうがオーデコロンを持っていて大丈夫か」「あるだけユーロで払い、不足分はクレジットカードで支払い可能か」の二点を確認して無事購入出来ました。ヒースローは乗り継ぎの場合でももう一度セキュリティーチェックが入るため、ちょっと心配だったのでした。
離陸時刻の5分前にはすべてのドアが閉まる順調さでしたが、スキポール空港はヨーロッパ大陸のハブ空港であるため実際に飛び立ったのは大分遅くなりました。乗り継ぎ時間は1時間40分と国際線にしては短いのですが、BAは1時間半の余裕があれば構わず発券してしまうそうです。
1時間時差のあるヒースローで降りた時の時刻は12時47分、東京行きの便まで1時間を切った状態でした。ターミナル5同士の乗り継ぎですが、もう一度手荷物チェックを通らなければなりません。
添乗員さんは経験豊富な人でしたが、それでもちょっと顔が引きつっているように思いました 。私達は「間に合わなかったらこういう場合はどうなるのかな」等とお気楽に小走りで付いて行くだけですが、そこそこご高齢の方々もいたので、自主的にシンガリを務めて脱落者が出ないよう見張りました。
セキュリティーでは例のオーデコロンについて係員の女性に「アラ、これはどこで買ってきたのかしら」と言われたので「スキポール。買うときに大丈夫だと言われました」と答えたら、その横にいたもう一人の女性が「スキポールからのはOKよ」とフォローしてくれました。結局搭乗ゲートに着いたのは13時半で、ほとんどの乗客が乗り込んだ後でした。
自分達の手配であれば絶対経験する事の出来ない、スリルある乗り継ぎを無事終えて東京向けBA005便に乗り込みました。ヒースローでは必死過ぎてクルーズの余韻に浸る余裕が全くありませんでした。

帰りもしっかりと久々の長距離便を楽しみました。

朝食はイギリス風だったので、到着直前までイギリス気分を味わうことが出来ました。
漸く成田に到着し、スーツケースを受け取って外に出たところでこのツアーは解散となりましたが、怒涛のヒースロー乗り継ぎの代償として、スーツケースが1つ乗り遅れてしまいました。

「ロスト・バゲージ(2010年8月28日)」
夫は経験あるようですが、私にとっては初ロスト・バゲージでした。翌日何事もなかったようにBAの係の人が届けてくれました。おみやげ類が結構嵩張っていました。

【まとめ】
(英語について)
海域によっては日本人コーディネーターが乗船することもあるようですが、今回のクルーズはそうではなかったため日本語対応は皆無でした。でも添乗員付きのツアーで行ったため、添乗員さんがきめ細かいサービスをしてくれました。船内誌デイリープログラム(Daily Program)を毎日翻訳して印刷したものが部屋に届けられましたし、メニューも昼版と夜版を毎日訳して部屋に届けてくれました。これ以外にも寄港地の観光ポイントや、日本語の注意書きの入った地図を配ってくれました。

(ダイニングについて)
トラディショナルな2回制の固定シーティングだったので、個人手配だと思い切り横メシになるところでしたが、日本人ツアー客11人分を2テーブルにまとめてくれたのでラクに過ごせました。メインダイニングの料理はどれも凝っていて美味しかったです。

(サービスについて)
伝統ある船会社がかつての植民地であるインドネシアのクルーを多用し、きめ細かなサービスを提供していました。客室の掃除も迅速に丁寧に行われていましたし、朝食のルームサービスも完璧でした。インドネシアクルーもフィリピンクルーも誇りを持って仕事をしているようでした。

(船内の設備について)
嫌味なく至るところに絵画やら彫刻やらの美術工芸品が飾ってあるのは伝統のなせる技でしょうか。バルコニーの椅子が籐編み風なのはインドネシアを意識しているのでしょうし、プロムナードデッキやプールデッキがチーク材で覆われているのはかつてのオーシャン・ライナーを彷彿させました。プロムナードデッキがぐるりと一周出来るのはとても良かったです。

(乗客)
2,000名近い乗客のうち約半分の903名がオランダ、638名がアメリカ、128名がカナダという構成でした。英国が私達日本人14名より少なかったのは意外ですが、わざわざロッテルダムに行かなければならないのがネックだったのでしょう。ヨーロッパでのクルーズは初めてだったのですが、今回のようにヨーロッパ人の乗船客が多いからか、アメリカ資本のフネにもかかわらずかなりかっちりとした雰囲気になっていました。ドレスコードがしっかりと守られていたのはもちろん、朝からジャケット着用の紳士がいたのが印象的でした。なお年齢層は比較的高めでした。

(クルーズログ)
最終日に配布されたクルーズログには、各寄港地の入出港時刻や正午の気象状況、正午に航海中であればその船位(ポジション)が記載してありました。この他に本船の燃料油消費量が書いてあったのですが、ディーゼル発電機(C重油)が216トン(/日)、ガスタービン(A重油)が90トン(/日)の油を焚いていました。飛鳥Uが確か100トン、にっぽん丸で50トン弱だということを踏まえると大変な消費です。水は一日に消費量の2倍近い1,700トンを生産出来るとのことでした。

(その他)
添乗員付きのクルーズツアーに乗っかったのは初めてでしたが、個人手配に比べ多少割高になるものの精神的に大変ラクに過ごすことが出来ました。成田空港に集まった時から添乗員さんにお任せになるのは、心配性の夫にとってかなりの負担軽減になっただろうと思います。土地勘がなく空港と港が離れている場合には、ツアーを使うのがお薦めだと思いました。

それからあまり観光情報のない寄港地では、添乗員さんが徒歩のツアーを企画してくれたのですべて参加しました。自分達だけではなかなかわからないことも、手作りの地図や観光情報のおかげで事前に仕入れることが出来ました。個人手配が多かった私達ですが、旅行会社のきめ細かな対応に感心しました。

エジンバラのミリタリー・タトゥを見たいがために一石二鳥と参加したこのクルーズの航程は、陸のツアーでは一度に全部行くのは難しい場所に効率よく連れて行ってくれました。本船「ウエステルダム」は夏のシーズンは基本アラスカのようですが、たまたまこの年にここにいてくれたのは何かの縁なのでしょう。同型船でも構いませんが、またいつか「ウエステルダム」に乗船してみたいと思います。
「ウエステルダム号・12泊の英国周遊の感想(2010年8月30日)」

【2013年6月記】

Elemisのアメニティー


インターネットのログイン画面


印象深いフォース鉄道橋


夕暮れの中次港を目指す
夫の本クルーズに関するその他のブログへのリンク
「クルーズログ(2010年8月27日)」
「タコス・バー(2010年9月2日)」
「時差ぼけ(2010年9月3日)」
「にわかスコッチファン(2010年9月6日)」
「S/S FRANCE(2010年9月9日)」