トワイライトエクスプレス 大阪〜札幌 乗車記(2009年6月6日〜6月7日)

乗車するまで 乗車中

大阪 12時03分発(入線時刻11時47分)
当日朝は予定通り休みにしては早起きして、まず淀川堤防を走りました。ここはホテルの近くから下流に向かうと、阪急の三複線があって間近にチョコレート色の阪急電車を眺めることが出来ます。また引き返して東に向かうと今度はJRの京都方面への鉄橋があって、新快速などがすぐそばを走っています。ホテル方面に戻って梅田駅近く阪急の高架下のあたりには吹田貨物駅があって、ディーゼル機関車(DE11)が長い貨物列車の入れ替えをしているのを見ることが出来ました。ディーゼル音はいつ聴いても旅情を誘います。走るのに邪魔だからとカメラを持参していなかったことが非常に残念と思うあたり、撮り鉄導火線に火が付く寸前だと感じます。
と、乗車前から早くも鉄ゲージが上がりっぱなしでしたが、当然「トワイライトエクスプレス」の入線から見ようと、大阪駅には11時半頃に到着しました。みどりの窓口で札幌までの乗車券を買い、調べ尽くした10番乗り場に向かいました。ホームに上ると、既にキャリーバッグを持った乗車客が何人も「トワイライトエクスプレス」の入線を今や遅しと待っている感じで、非日常感が漂っていました。
11番乗り場から撮影が出来れば良かったのですが、完全に目隠しをして工事中(2009年6月時点)でした。機関車の停車位置を確認し、それから自分たちのコンパートメントのある2号車の位置まで歩いてみて、入線後の撮影手順をイメージしておきました。おとなりの3号車、「ダイナープレヤデス」の前では食材を積み込むべく、係の人がスタンバイしていました。11時42分発の特急「サンダーバード」の入線と発車を見守り、いよいよ「トワイライトエクスプレス」の入線を待つことになりました。
「大阪駅トワイライトエクスプレス入線のアナウンス」 294KB

入線のアナウンスのあと、堂々と静々と交直両用EF81機関車に牽引された「トワイライトエクスプレス」が入線して来ました。流石人気列車、撮影する人が多いです。上野駅の13番線、「北斗星」と「カシオペア」の出発ホームはターミナル式なので、これらは後進で入って来るのですが、大阪駅では宮原操車場から出て神戸方面から進行方向に進入してきます。人の頭が邪魔にならないように撮影するには、ホームの神戸側エンドに構えるのがいいかもしれません。

先頭の機関車 EF811049号車 Bコンパートメント4号車 サロンデュノール
3号車 ダイナープレヤデス私達の乗車する2号車展望スイートのある1号車

↓札幌(大阪出発時) 
1号車スロネフ25-503スイート/ロイヤル
2号車スロネ25-503スイート/ロイヤル
3号車スシ24-3食堂車
4号車オハ25-553サロンデュノール
5号車オハネ25-525ツイン/シングルツイン
6号車オハネ25-526ツイン/シングルツイン
7号車オハネ25-513ツイン/ミニロビー
8号車オハネ25-563Bコンパートメント
9号車オハネ25-503Bコンパートメント
 カニ24-13電源車
「トワイライトエクスプレス」は全部で3編成あり、今回はそのうちの「第3編成」でした。1988年に「北斗星」が登場した翌年のデビューで、専用の深緑色に塗られたボディーは重厚感が漂っており、思わず「カッコイ〜」と声をかけたくなりました。機関車も統一感を持っているのがまたお洒落で、深い緑は日本海を、黄色い線はその黄昏をイメージしているそうです。

進行方向は下りで1号車のスイートが最後尾かつ個室が日本海を向くようになっています。途中青函トンネルを通過する際、進行方向が変わりますが、五稜郭でまた展望スイートが最後尾になります。そのため、北斗星と異なり、一般個室(一部のシングルツイン除く)は北海道で陸側になっています。

発車時間が近づいたため、列車に乗り込みました。乗車口に敷いてある専用のマットが高級感に溢れた感じです。大阪駅ではフネで言うところの右舷付けでホームは廊下側になっています。

そして、夢にまで見た「トワイライトエクスプレス」の個室A寝台、ロイヤルです。運よく座席が進行方向に配置された2号車4番でした。基本的な構造は「北斗星」のロイヤルと同じですが、寝台列車の延長線上にあった「北斗星」に対し、こちらは内装が凝った感じです。通路側にも窓があって、大きく開いた日本海側だけでなく、山側の景色を見過ごすこともありません。窓ガラスがスモークになっているため、自然体だと部屋の中は若干暗めです。

「間もなく発車」 174KB

列車は定刻に大阪駅を発車しました。

小さいテーブルは窓向きに出入口と液晶テレビ廊下側にある窓
発車間もなく、朝見に来た鉄橋を通過し、淀川を渡りました。大阪駅を出た列車は京都方面に行くのも神戸方面に行くのも淀川を渡るのですが、川は曲がっていないのにそんな不思議なことがどうして起こるのか、後で地図を見てやっとわかりました。

12時半前にクルーの人がウェルカム・ドリンクの注文を聞きに来ました。ワインや日本酒、ソフトドリンクから選べるようでした。その後車掌さんが検札に来て、ベッドの出し方や温度調節方法、カードキーの使用方法などを説明してくれました。

半過ぎにウェルカム・ドリンクが運ばれて来ました。つい二人でハーフボトルのワインを1つずつ頼んでしまいました。まずは白ワインで乾杯です。
列車が山崎を過ぎた辺りから、下りの「トワイライト・エクスプレス」とすれ違うのでは、とソワソワ廊下側に立ってスタンバっていたのですが、実は土曜日下りのトワイライトはこの時期すれ違いはありません。京都駅への到着直前に、トワイライトカラーの機関車(単機)とすれ違いました。
京都駅には定刻12時37分に到着しました。ここで2分停車し、列車は東海道本線から湖西線に入ります。それにしても停車した0番線は凄いことになっていました。その昔は山陰方面に行く暗い感じのホームでしたが、ドカっと改札が開いていてモダンな雰囲気になっていました。
13時近く、右側に琵琶湖が見えて来ました。そして食堂車「ダイナー・プレヤデス」からランチ営業が始まった旨放送がありました。普段の休日に昼食は食べませんが、日本でランチを食べられる食堂車はこの列車だけなので、是非行ってみたいと前泊した中津のホテルもわざわざ朝食なしのプランにしてお腹を空かしてありました。私達の部屋はかなり食堂に近い場所にあるのでとても便利です。

天気予報は曇りでしたが、時折薄日が差していて、初夏の田園風景を眺めながらやはり札幌限定の「サッポロ・クラシック」生を注文してしまいました。

そして注文したのは人気メニューだという「オムライス(1,050円)」と夫の「列車に乗ったらハンバーグ(1,380円)」です。オムライスはライス部分のバターが効いていて流石、という感じでした。食堂車は着席順に注文を取ってくれるのですが、最後の方は早くもオムライスは売り切れていました。

お会計の時に厨房を覗きましたが、三人のコックさんがフル稼働でした。もう1枚は大阪駅で外から撮影した厨房です。既に準備に入っているのがわかります。

定刻13時43分に敦賀に到着しました。いつの間にか列車は滋賀県を通り過ぎて福井県に入っていたのでした。この少し手前近江塩津から、湖西線に別れを告げて列車は北陸本線に入りました。「特製スタフ」によるとここでは2分停車なので、1回列車を降りて近辺を撮影しました。
14時22分、鯖江は6分運転停車します。ドアが開かないので降りられませんが、車掌室から顔を出させてもらいました。トワイライトの臨時列車とはここですれ違うそうです。

なお、昼食中にトワイライトグッズの販売が始まったのですが、食べている真っ最中だったところ「あとからお部屋に伺います」と言ってくれて、この頃尋ねてくれました。20周年記念のキーホルダーなど夫が呆れる程大人買いをしました。
すれ違いのないことがわかったのでがっくり力が抜け、気を取り直して列車探検をすることにしました。まず、1号車端にある夢の展望スイートをチェックしました。もちろん乗客がいるので、ドアが開いている筈もなく、でももし私達が乗車した暁には見学用に開放しておこうかしら、と思いました。
食堂車の隣は4号車は「サロンデュノール」で、このようにすべての席が日本海側を向いています。素晴らしい施設です。

サロンの先には共用シャワーと、自動販売機があります。シャワーは6分間310円のシャワーカードを購入して使用します。
5・6号車は「シングルツイン」と「ツイン」の部屋があります。たまたま空いている「ツイン」があったので撮影出来ました。二段ベッドなので空間に余裕があり、なかなか居心地が良さそうでした。
7号車は「ツイン」とこのミニロビーがあります。座り心地の良さそうなソファーで流石豪華寝台列車です。
8・9号車はBコンパートメントです。ここは乗車率が悪いようで、やはり最近は皆個室志向なのだろうと思います。通路には昔ながらの椅子があって、いい感じでした。
共用洗面所も、洋式トイレもなかなか綺麗だったので、これならBコンパートメントでも十分かもしれないと思いました。機会があったらこれも経験してみたくなりました。
引き返して4号車「サロンデュノール」には大阪車掌区の車掌さんの手作りスタンプと台紙が置いてあります。これも事前にチェック済みだったので、案内放送より前にコンプリートしました。
3号車食堂車では、ランチ営業が終わり、1回目17時半からのディナーのテーブルセッティングがしてありました。

15時36分、金沢に到着しました。ここでは4分停車するので、一番後ろの展望スイートが見えないかと撮影に行きましたが、やはりスモークガラスであまり見えませんでした。食堂車の雰囲気はどうかとこれも撮影してみました。この車両は電車用の食堂車(サシ481)を転用しているため、屋根の高さが他の車両と比べて低くなっているのがわかります。

「富山到着」 484KB

16時15分頃富山に到着しました。「トワイライトエクスプレス」では到着駅の案内がガイドさんみたいに丁寧です。私にとっては石川県も富山県も人生初ですが、夫の定義によると列車で通過するだけでは経験値にカウントされません。
この辺りの右側にはそろそろ立山連峰が見える筈なのですが、霞んでしまって残念ながら全く見えませんでした。でも曇り時々雨の予報にしては善戦しています。
17時過ぎに黒部川を渡りました。「特製スタフ」によると、この後泊を過ぎたあたりから線路が海岸線に出る筈です。ここからが「トワイライトエクスプレス」のハイライト区間です。雨が降らなくてラッキーでした。
そろそろ食前酒の時間だということで、もう1本の赤ワインを飲むことにしました。つまみがなかったので、「サロンデュノール」まで買いに行っている間に海に出ていました。
17時20分頃親不知の案内アナウンスがありました。北陸道最大の難所として有名で、あまりの断崖絶壁に道路を作ることが出来ず、海の上を高架橋によって通過しています。
17時半頃、糸魚川を渡りました。そう言えば海岸線に出たあたりから、新潟県に入っていました。
18時頃、直江津に到着しました。列車はここから信越本線に、またJR西日本管轄からJR東日本に入ります。駅名表示板がブルーから見慣れた緑色に戻りました。

時折雨の降る曇り空だったので、夕焼けはムリだろうと思っていた所、18時半前頃から西の空が赤く染まり始めました。ワインを飲みながら素晴らしい景色を楽しみます。ただし、列車は柏崎を過ぎたあたりから一旦内陸に入っていくので、海の景色はここまでです。

18時50分頃、信濃川を渡りました。学校で習った有名な河川を渡る時「おお、これがあの」と思ってしまいます。川のことまでは「特製スタフ」には盛り込んでいませんでしたが、もう1冊持って行った地勢の出ている方の地図が威力を発揮しました。乗り慣れた東海道の河川と違いとても新鮮でした。
そしてこの直後、ふと窓を見ると見事な夕日が見えているではありませんか。あまりの幸運に興奮してシャッターを切りましたが、列車は早くなかなかピントが合いません。そして車掌さんからすかさず「皆様の左手に素晴らしいトワイライトがご覧になれます」と案内が入りました。
時間にして2〜3分でしたが、初めて乗車した「トワイライトエクスプレス」で夕日を見ることが出来て本当にラッキーでした。
列車は19時ちょっと前に長岡に停車しました。東京在住であれば、上越新幹線でここまで来てここで「トワイライトエクスプレス」をつかまえる手もありますが、湖西線から海岸沿いとここまでの景色はやはり大阪までわざわざ行く価値があると思います。
19時10分頃、完全に日は沈んだようでした(この日の上越地方の日没は19時5分で東京より10分遅い)。
そして19時半からは待ちかねたフランス料理のフルコースディナーです。「北斗星は」なかなかメニューが変更になりませんが「トワイライトエクスプレス」のディナーは季節に合わせ年4回入れ替わります。折りしも、20周年記念フェアが開催されており、ディナーのメニューも当時のをベースにアレンジが入ったもののようでした。

「20周年記念の夏メニュー」
昼にビールを飲み、さっきまでウェルカムドリンクの赤ワインを飲んでいたので、この後はもう飲まないでおこうかとも思いましたが、それも寂しいので二人ともウィスキーを注文しました。バターの出され方が本格的で嬉しくなります。
2年前に乗車した「北斗星」の食堂車(JR北海道所属スシ24-501)「グランシャリオ」の雰囲気もいいなと思いましたが、「ダイナープレヤデス」のこのアールデコ調(たぶん)の雰囲気もなかなかです。料理が運ばれるとそれがどういうものなのか、係の人が必ず説明をしてくれました。

地中海風海の幸タルト仕立て
ソース・ヴィエルジュ
北海道産北あかりの
冷製スープとゼリーコンソメ
パンは3種類(写真は2種)
温めてサーブされます
すずきのポワレ
ズッキーニと生ハムのクリーミーリゾット添え
牛フィレ肉ノステーキ シャスールソース
20周年のきのこと野菜添え
赤肉メロンのスープ仕立てと
アニスとミント風味のシャーベット
どれも凝っていて大変美味しかったです。スープがクリーミーで特に気に入りました。係の人によると「20周年ということでシェフが張り切って当時のメニューからアレンジした」とのことですが、ボリュームは普段より大きくなってしまったとのことでした。確かに、肉料理を見て一瞬「食べきれるだろうか」と一瞬不安がよぎりました。もちろん食べ切った後のデザートは、清涼感があって豪華ディナーを締めくくるに相応しい味でした。コーヒーも20年前と同じブルーマウンテンとのことでした。
なお、フランス料理はちょっと…、という場合には6,000円の「日本海懐石御膳」を食べることも出来ますが、こちらは食堂車では食べられません。部屋に届けます、と案内にありましたが、先ほどツマミを買いに行った時、「サロンデュノール」で食べている人がいました。日本海を眺めながらこれはなかなか良さそうです。ちゃんと暖かい椀物も出されているのでなかなかのサービスだと思います。
すっかり夜の雰囲気になった通路を部屋に戻りました。このあと食堂車ではパブタイム営業が始まり、ここで是非20周年記念の「エスカルゴの香草バター風味」(1,200円)を味わってみたかったのですが、これ以上食べるのはムリ、と断念し寝転がれるようベッドメイクすることにしました。

座席の背もたれ部分が電動でぐっと前に回りこんできて、セミダブルベッドが出来上がります。枕の位置は通路側なのか窓側なのか迷いましたが、すぐに外を見られるようにと窓側にしてみました。枕は普通の他に低反発枕も置いてありました。

ベッドを出すと荷物が邪魔になるので、部屋上部の収納スペースに格納しました。天井のスピーカーは何とBOSE製でした。
シャワーはたっぷり20分使えます。家と違い、ついお湯を節約してこまめに止めて使用するので、二人で半分も使いませんでした。湯の勢いはいまひとつなのと、温度も安定していない感じがしましたが、ヨーロッパの古いホテルの止まりそうなシャワーだと思えば何ともありません。
食事を開始して間もなく停車していた新津駅からこの列車は羽越本線に入りましたが、これ以降、北海道の洞爺まで客扱いはありません。時々運転停車はするのですが22時10分頃酒田駅に停車していました。いつの間にか山形県でした。

「19時40分頃新津駅発車後のアナウンス(一部)」 334KB

「新津駅発車後の走行音」 1,472KB
これぞ客車列車という感じです。途中阿賀野川の鉄橋を渡る音も入っています。
夜になると風景が楽しめないので、真っ暗な中を突き進む感じです。冬の雪景色も風情がありそうですが、やはり出来るだけ日の長い時期に乗って良かったです。この暗闇は22時30分頃の山形県と秋田県の県境あたりです。

シャワーもそうですが、洗面台とトイレが部屋にあるのはやはり便利ではずせないと思ってしまいました。両方とも収納式なので、一度にはどちらか一方しか使うことは出来ません。

一晩中起きている程の気力はないので、眠気にまかせウトウトしましたが、列車が減速し駅に停車するのが何となくわかるので、気づいた時には駅名をチェックしました。23時50分頃は秋田駅に停車しました。ここから列車は奥羽本線です。
次に気づいたのは2時過ぎ、弘前駅でした。ついに列車は青森県までやって来ました。この後の機関車交換は(青函トンネル専用のED79への付け替え)はわかりませんでしたが、いつの間にか進行方向が変わったのはわかりました。気配からまだ外ですが、短いトンネルをいくつも通っていることから、そろそろ青函トンネルに突入しそうです。いよいよかな、と思ったら「ピーッ」と長い汽笛が聞こえて間もなくトンネルに入りました。この区間は隣の1号車の先に機関車がいるので、汽笛も割と良く聞こえたのでした。
青函トンネル突入がわかってしまったので、これは「サロンデュノール」に行ってみなくてはなりません。一応夫にも声をかけ、別に興味ないと断られ、一人カメラを持って出かけることにしました。ということで「誰もいない食堂車」。
以前の「トワイライトエクスプレス」では、この時間車掌さんによる青函トンネルの説明会があったそうですが、「サロンデュノール」は先客の年配の男性が一人いたのみでした。もっと沢山の人が見に来ているかと思ったので意外でした。トンネルの中は一本のロングレールが敷設されているので、繋ぎ目を通過する音と振動がなくなっています。
3時50分頃、竜飛海底駅を通過したのを運良く撮影することが出来ました。この後また北海道側の吉岡海底駅を通過する予定ですが、流石に退屈なので引き上げることにしました。厨房では朝の仕込みが始まっていてびっくりしました。
4時半頃、トンネルを抜けた気配でまた外をチェックすると空は明るくなり始めており、列車は木古内を通過する所でした。北海道は残念ながら雨模様のようです。
何となく1時間おきぐらいに目が覚めている感じですが、5時過ぎの五稜郭停車も気が付きました。ここで列車は青函トンネル(津軽海峡線)を牽引したED79と別れ、重連のディーゼル機関車DD51に牽引されます。また1号車が最後尾に変わります。
列車は室蘭本線に入り、7時17分定刻に洞爺に到着しました。眠り足りない感じですが、残り少ない乗車時間なのでここで起床することにしました。

朝食の予約時刻8時20分の30分前に、モーニングコーヒーと朝刊がデリバリーされました。ロイヤルとスイートのみのサービスです。これまでにベッドを戻しておこうと思っていたのですが、間に合いませんでした。

朝食は朝6時からの4回制で、和食か洋食から選べ、前の日の乗車直後に予約を取りに来てくれます。自分で作るとしたら大変な方ということで、和食をチョイスしてありました。

焼き魚、煮物、玉子料理、海苔、香の物、味噌汁、ご飯とコーヒーで1,575円です。ご飯はお櫃からです。

食堂車ではたまたま右側の席でしたが、白老や社台と言った聞き覚えのある地名を通過する頃、競走馬の生産農場が間近に見えていました。「北海道」という響きから想像する風景と同じです。
内浦湾ははるか後方ですが、この辺りは海も良く見えました。結構な白波が立っているのがよくわかりました。
朝の食堂車はちょっとまた雰囲気が違います。あと1時間ちょっとで札幌に着いてしまうことから、何となく「旅ももう終わり」感が漂っている気がしました。
9時頃、持参したPCの電源を落とすことにしました。21時間の長旅なので、旅の記録をする時間はたっぷりあるだろうと思っていたのですが、貪欲に好奇心を満たした結果、なんだかずっと忙しくて最後は乗りつぶし地図をリアルタイムに塗るのも間に合いませんでした。
定刻9時10分に南千歳に着きました。ここで数組下車する人たちがいましたが、このまま新千歳空港に行って帰途についてしまう雰囲気でした。終点まであと40分ですが、やはり最後まで乗らなくてはと思います。

「サロンデュノール」を見に行きましたが、これまたもったいないことに誰もいませんでした。初夏の鮮やかな緑の中を駆け抜けて日本海とは違った美しさがありました。
部屋もすっかり片付きました。到着10分前に案内放送がありました。「トワイライトエクスプレス」の案内放送は「いい日旅立ち」のメロディーと共にというのが有名ですが、寝台車と言えば「ハイケンスのセレナーデ」を聞かないことには始まりません。「いい日旅立ち」しかないのかと油断していたら、最初は新大阪駅を出た直後に鳴りました。これは録音しそびれてしまったので、到着案内の時は気合が入りました。

「ハイケンスのセレナーデと到着案内」 880KB
下車して客車と記念撮影した後は、先頭まで歩いてDD51とヘッドマークを撮影しました。「北斗星」はヘッドマーク部分がホームからはみ出ていましたが「トワイライトエクスプレス」は1両短いのでこのようになります。DD51は1095機と1151機でした。
10分ほどして、「トワイライトエクスプレス」は手稲に回送されていきました。「サロンデュノール」にはすっかり顔なじみになったクルー達が立っていたのが見えたので、お互いに大きく手を振りました。
その後は余韻にひたる間もなく、新千歳空港に引き返したのですが、札幌10時25分発の「快速エアポート102号」に乗車し、何気なく車内誌に目を通したところ上野からやってきた「北斗星」とすれ違うことがわかりました。これは滅多にない機会と窓際にいた夫がカメラを構えてスタンバイしました。青いDD51の重連が目に入り「あっ来た!」「ピョロロ(カメラの起動音)」「ピピッ(撮影する音)」とかろうじて1枚シャッターを切ることが出来たのが右の写真です。すれ違いはあっと言う間でしたが、この旅の締めくくりに、オマケで至近距離からの「北斗星」を撮影することが出来ました。
何度目かの10時打ちでようやく手に入った「トワイライトエクスプレス」ロイヤルの指定券でしたが、想像以上に楽しめたので、「どうしても乗りたい」と拘った甲斐がありました。唯一の心残りはパブタイムに行けなかったことなので、次回もし機会があれば是非行ってみたいと思います。【2009年6月記】
【オマケ】トワイライトエクスプレス乗車に関する夫のブログ(やや鉄分あり)

「10時打ち」(2009年5月7日)
「みどりの窓口大天神」(2009年5月19日)
「ダイナープレヤデス」(2009年6月7日)
「スロネ25」(2009年6月8日)
「旅情」(2009年6月9日)
札幌 9時52分着(定刻9時52分)

乗車するまで 乗車中