太平洋フェリー きそ 名古屋〜苫小牧乗船記(2007年4月27日〜4月29日)

<1日目> <2日目> <3日目> <おまけ>

1日目 名古屋 出港20時

前回クルーズ(ハワイ4島周遊7泊8日、プライド・オブ・アメリカ)から1ヶ月も立たない夜更け、ゴールデンウィーク前半の4連休に何か面白い企画はないだろうか、と夫に相談した所、以前から温めていた「フェリーによるクルーズ」が急浮上しました。フェリーと言うと「長時間雑魚寝」のイメージが強いのですが、最近は設備が豪華になり、スイートルームまで備えているフネもあります。その中で、太平洋フェリーの「きそ」が2005年の就航以来毎年「フェリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しており、興味をそそります。

この「きそ」に乗れないだろうか、と早速太平洋フェリーのホームページをチェックすることになりました。「きそ」は名古屋−仙台−苫小牧の定期航路に就航しており、最初は仙台まで新幹線で行って、そこから苫小牧の区間に軽く乗船するつもりだったのが、@ホームページで船内の様子を見たらとても豪華だったのでなるべく長く乗っていたくなり、A配船表を調べたら丁度連休初日の20時に名古屋から「きそ」が出港することになっており(「きそ」と「きたかみ」(1989年就航、2005年グランドリニューアル)が1日おき交互に出港)、B空き状況を調べたら特等洋室が2部屋だけ空いていた…、ことから勢いで名古屋−苫小牧間2名をその場で予約してしまいました。金曜日の夜に名古屋を出て翌日17時に仙台港(多賀城)着、仙台を20時に出て日曜日の朝10:45に苫小牧に着くという、38時間の超スローな船旅です。

料金は特等洋室に朝食バイキング(\900×2)がセットされた「クルーズパック」で1名21,600円(2泊3日)。今まで日本船のクルーズで1泊あたり1人5万円以上払っていたことを思うとかなり格安と言えます。加えて部屋の広さは間取図を見る限りにっぽん丸のデラックスルームと同じぐらいの広さがありそうです。夕食は別料金ですが、1,800円でビュッフェ方式とリーズナブル、全部足しても2万5千円ちょっとです。フネに乗ることが一番の目的となってしまいましたが、後日周辺の手配(名古屋までの新幹線と札幌からの空路、札幌の宿泊)を済ませ、あとは当日を迎えるだけとなりました。

14:03発ののぞみ229号の指定席でまず名古屋まで行きます。3月に休日出勤した振替休日により皆が働く中、午後半休とした夫と東京駅で集合しました。電車は定刻にすべる様に出発し、まずは崎陽軒のシウマイをつまみに缶ビールを楽しんでいる間にあっという間に富士山です。それから特製イベリコ豚弁当を食べているとたったの1時間と45分で名古屋に到着しました。
そういう訳で名古屋駅には16時前に着いてしまいましたが、乗船時刻は18:30で、まだょっと早いと東海道線で豊橋方面下車駅の金山を通り過ぎ、そのちょっと先の大府(おおぶ)という駅まで行ってから引き返すことになりました。この大府駅から武豊線(たけとよせん)という路線が始発しているのですが、行き先表示はどうみても競馬騎手の武豊でした。
金山からは市営地下鉄名港線で5つ先の築地口へ。そこからはタクシーがラクそうですが、15分待てば市営バスが来るみたいだったのでこれで行く事にしました。バスは定刻通り17:30にやって来て、18時前に名古屋フェリーターミナルに到着しました。おぉ、あれが「きそ」。ビルみたいに大きく、ビルみたいに四角い姿です。塗装が白っぽいせいかちょっと病院ぽいとも言えます。
まずは乗船手続きをしなくてはとターミナルに入り、手続きの列に並びました。インターネット予約時に乗船名簿をプリントアウトすることが出来たので、それを提示し、届出てあったクレジットカード番号を照合してスムーズに搭乗手続きが終了しました。

乗船時刻までまだちょっと時間があることもあり、フネの全容をシャッターに収めねばと夫に荷物を預け、一旦フェリーターミナル敷地を出て入船左舷接岸している「きそ」を正面から捉えることにしました。200m近いフネをぐるりと回ってファインダーに収めるにはかなりの距離を移動する必要がありましたが、夫がイライラするといけないので必死に往復約1kmを激走しました。
これぞフェリー真っ白な船体名古屋港の夕日を背に

そうこうするうちに乗船時間の18:30になったので、搭乗券を持って乗り場に行きました。ボーディングブリッジ経由で「きそ」の5階甲板の乗船口に到着。パーサー始めクルーが迎えてくれました。
早速インフォメーションカウンターで部屋のカードキーをもらって761号室へ。ラッキーなことに左舷側のキャビンでした。天気が良ければ道中海岸線が見えたりする筈です。

部屋は特等洋室で、3週間前にインターネットで調べたら名古屋から苫小牧まで2室空いていたうちの1室です。バス・トイレ付きで部屋のグレード的には本船でロイヤルスイート(1室)、スイート(1室)、セミスイート(2室)の次になります。特等和室もありますが、これは船のブリッジ下のエリアなので窓の外の景色を楽しむにはいまいちかなぁと思います。で、期待をこめて部屋に入るとそこには「にっぽん丸」のデラックスルームと同じぐらい広いスペースが。「わ〜」とファシリティを一通りチェックです。バスもなかなか、トイレはウォッシュレット付き。調度品はデラックス感はありませんが無駄なく機能的です。
大きな窓。左の壁面には液晶テレビ入り口付近。冷蔵庫もありますユニットバス
部屋チェックの後は船内探検(他の客室はこちら)に出ることにしました。6階甲板売店脇に船内案内図があったので、これを元に一通り回りました。客船とは違い、船の規模に比して居住空間は少ないです。それでも流石就航以来2年連続「フェリー・オブ・ザ・イヤー」1位に輝いただけあって、居心地の良さそうなスペースが広がっていました。大浴場をチェックした所、女風呂には数人。乗船直後から、到着30分前まで利用出来るのだそうです。さて、ここでお待ちかね、自動販売機でビールを買い、売店で買ったおつまみと一緒に出港前の 乾杯をすることにしました。
出港15分位前になると、夫がチョッサー(一等航海士)を真似てオモテで出港スタンバイ(但しただ見てるだけ)をしたがるので、つい最近購入した×12ビクセン製双眼鏡を持って外に出ることにしました。岸壁を見ると、やはりフェリーなので車両の積み込みが大変そうです。

←暮れなずむ名古屋港

でも出港予定時刻直前にランプウェイがはね上がり、もやいが解かれスターンスラスターが力強く始動しました。この船の横から吐き出される水流を見ると、ああ出港するんだなと気分が高まります。
左船尾側が岸壁から離れ、後進離岸。流石定期航路のルーティーンワークだけあって無駄がない感じです。ここで突如夫に仕事の電話が入り、出港プロセスは私一人で楽しむことになりました。岸壁から十分離れた所で今度は右舷側のスターンスラスターにより、フネは90度向きを変えて一路仙台へ。

レストランは21時までなので、あまりゆっくりしてもいられず、ただし19時のオープン直後20分程で満席になり待ちが出ていたようで、出航30分後の20時半頃の第一陣がはけた辺りでメインダイニングレストラン「タヒチ」に行きました。レストランはビュッフェ方式で、1,800円。メニューはお寿司やお惣菜、名古屋名物味噌カツまであり、ステーキも食べ放題で天国のようです。もちろん野菜サラダもたっぷりで、味噌汁もごはんもあり。残り少なくなれば適量が補充されていきます。やはり日本船はいいなぁと実感します(フェリーだから日本船は当たり前か…)。シメにアイスクリームとコーヒー(機械で自分で入れる方式)を。
サラダ類のコーナー山盛りの味噌カツメインディッシュのコーナー
食事の後は21時からラウンジ「サザンクロス」でショーが始まっており、遅れて様子を見に行きましたが 、早く部屋で寛ぎたかったので途中で戻ることにしました。部屋のテレビに本船の位置が表示されるのですが、伊良子水道を航行中のようでした。速力は21.5ノット出ており、結構なスピートです。
部屋のバスに入り、雑誌やら本やらを読んでいるうちに夜も更けてきました。船窓からは遠く遠州灘の海岸線が見えます。午前1時ちょっと前、フネは御前崎を通過しました。