北斗星1号 上野〜札幌 乗車記(2007年9月9日〜9月10日)

<2007にっぽん丸乗船記>

乗車するまで 乗車中

  

2006年の春先に上野駅13番ホームに停車していた「カシオペア」を偶然みかけて以来、いつかこの様な豪華列車に乗ってみたいと思うようになりました。「カシオペア」は上野から札幌まで1,215kmを16時間で結んでいますが、その後のテレビ番組で大阪から札幌の1,495kmを21時間で結ぶ「トワイライト・エクスプレス」が紹介されていて、どうせ乗るなら長く乗っていられるこちらの方がいいかもなぁとぼんやり思っていました。しかし、「カシオペア」も「トワイライト」も大変人気が高く、特にスイートルームはその予約の困難さからプラチナチケットと言われています。

小樽からのクルーズを決めた際、北海道までは「カシオペア」等の寝台特急を使えないか考えることにしました。流石に大阪まわりは厳しいので「カシオペア」か同じ上野発の「北斗星」のいずれかにしようとインターネットを駆使して調べた結果、結論的には以下の調査・検討のステップを踏んで「北斗星1号」のロイヤル(1人用個室A寝台)に的を絞りました。

  1. 「カシオペア」と「北斗星」
    「北斗星」は1988年(昭和63年)青函トンネルが開通した際に誕生した定期列車です。上野発の1号はJR北海道、3号はJR東日本の車両だそうです。一方「カシオペア」は「北斗星」のグレードアップという位置付けで1999年に導入されました。すべてA寝台の個室ですが、1編成しかないことから、1週間に3往復のみの臨時列車扱いです。
  2. 客車のカッコ良さ
    「カシオペア」は全車2階建が特徴で、現代風デザインの専用車両です。一方「北斗星」の外見はいわゆる「ブルートレイン」で「オリエント・エクスプレス」風と言うと言い過ぎかもしれませんが、重厚感があります。何かの雑誌に「カシオペア」は都市型ホテル、「北斗星」は老舗ホテルの様な雰囲気と書いてありました。外観からしてそんな感じです。(上・カシオペア、下・北斗星)

  3. 食堂車の雰囲気と希少性
    定期列車で本格的な食堂車を備えているのは国内では唯一「北斗星」だけなのだそうです。(「トワイライト・エクスプレス」も2編成のみの臨時列車)この「唯一」という響きには魅力があります。また「カシオペア」の食堂車は2階建ての2階なので、眺めは良いでしょうがちょっと天井を低く感じるかもしれません。


  4. 部屋の設備
    全室個室A寝台のツイン以上ということで「カシオペア」は全体的に豪華です。特に1部屋しかない「カシオペア・スイート」の展望タイプはゴージャスの一言につきますが、予約はほとんど不可能な様です。なお、スイートタイプにはトイレとシャワーが付きますが、ツインにはシャワーは付きません。一方「北斗星」でトイレとシャワーが付くのは1人用個室A寝台の「ロイヤル」(補助ベッドを利用して2名での利用が可能)のみとなります。「ツイン・デラックス」がA寝台2名用の部屋となりますが、こちらにはトイレが付いていませんし、編成によっては洗面台もありません。折角豪華(と呼ばれる)列車に乗るのですから、トイレとシャワーの両方が付いている方がいいなぁと思います。


  5. 列車における部屋のグレード
    「ウェルカムドリンク」(アルコール類含む)のサービスがあり、翌朝に朝刊とモーニングコーヒー(又は紅茶)が届く部屋は「カシオペア」の「スイート」と「デラックス」、「北斗星」は「ロイヤル」のみとなります。


  6. 寝台料金比較
    2007/9現在 カシオペア 北斗星
    スイート デラックス ツイン ロイヤル ツインDX デュエット
    運賃 \16,080
    特急料金 \2,890
    寝台料金 \25,490 \17,180 \13,350 \17,180
    †\9,540
    \13,350 \6,300
    合計 \44,460 \36,150 \32,320 \36,150 \32,320 \25,270
    2人分料金 \88,920 \72,300 \64,640 \64,660 \64,640 \50,540
    1編成あたり 7室 1室 79室 4室 ‡8室 46室
    シャワー
    トイレ
    洗面台 ‡△
    特記事項 1室は最後尾にある展望スイート 車端15室
    2F-32室
    1F-32室
    A寝台
    †は2人目料金
    A寝台 B寝台
    カシオペアはすべて個室A寝台。北斗星の記載部屋数は北斗星1・2号(JR北海道の編成)のもの。
    ‡2段ベッドタイプとベッド横並びタイプ(洗面台あり)を隔日運転(北斗星3・4号は2段ベッドタイプのみ)。また北斗星3・4号(JR日東日本編成)のデュエット部屋数は7室。

予算に糸目をつけず、とことん豪華に、ということであれば「カシオペア・スイート」がいいのですが、フレンチのディナーを付けると1泊あたり1人\52,260-にもなり、その後乗船する「にっぽん丸」「初秋のサハリンクルーズ」のステートルームより高くなってしまいます。これにはちょっと抵抗があります。では「カシオペア・ツイン」は言うと写真を見る限り部屋としてはちょっと味気なく、北斗星の「ツイン・デラックス」は2段ベッドになるのか横並びになるのか、よくわかりません(後日9月は奇数日が2段ベッドだったとわかりました)。当初「ロイヤル」は1名用個室ということで、リサーチ対象外だったのですが、補助ベッドで2名使用が出来ることがわかり、列車の見た目やリサーチ結果から、コストパフォーマンス的にも「これしかない」という結論になりました。北斗星は札幌行きが1日に2本あり合計で8部屋分枠はあるものの、「ロイヤル」の指定券もプラチナチケットの様です。

さて、JRの指定券は乗車日当日の1ヶ月前の朝10時に受付を開始します。10時ジャストにJRの予約システム「MARS」に入れてもらうことを「10時打ち」と言うそうですが、これもネットで情報を集めた結果、朝9時半ぐらいから取扱量の多い「みどりの窓口」に行って相談すると良い、とのことでしたので、私よりも時間が自由になる夫に行ってもらうことにしました。例によって(本当に毎度毎度例によって)「別に(開放の)B寝台でもいいじゃん」と考えている夫に、「ロイヤル」にする理由を熱っぽく説明しましたが、夫は軽く聞き流しており、この時点ではほとんど「ロイヤル」とは何のことかを理解していませんでした。それでも1編成に4部屋で非常に競争が激しいから気合を入れて、と予め記入してあった「指定席予約券」を強引に手渡しました。4部屋と聞いた途端今度はいきなり「そんなの旅行会社が全部押さえるだろう、取れる訳ないよ」モードになってしまったので、敵前逃亡しないか不安を抱えたまま当日を迎えました。

運命の朝10時ちょっと前、JR北海道のサイトから「カシオペア」と「北斗星」の予約が出来たことを思い出し、バックアップラインをと思い急遽ユーザー登録をしました。10時になるまでは入力完了ボタンを押しても「予約出来る時間対象外」である旨メッセージが出ていたのですが、10時を過ぎて押した所急にシステムの反応が悪くなり、次に進まなくなってしまいました。戻ってやり直して入れてみると希望の「ロイヤル」は既に予約不可の「×」となってしまいました。こんなに瞬時に取られてしまうのではしょうがない、きっと夫もダメだっただろう、と善後策を練ろうとした所、携帯メールに「北斗☆ロイヤルゲット」と朗報が。夢じゃないでしょうか?ヤッター!

嬉しさの余韻から、ついつい食堂車「グランシャリオ」の予約が遅れ、約1週間後に東京駅で尋ねた時には17時半からの回しか空きがありませんでした。京浜東北線の区間を走っていたらひょっとしたら興ざめかもしれませんが、贅沢は言っていられません。次はいつ乗れるのかわからないので、フレンチ(\7,800)を予約することにしました。ちなみに北斗星1号のディナー予約可能時間は、17時半と19時10分からの2回制となっています。また、フレンチ以外に「北斗星懐石御膳」(\5,500)が選択可能ですが、両方とも3日前までに必ず予約が必要となります。

なお、今回予約した北斗星1号はJR北海道の編成、後続の北斗星3号はJR東日本の編成で、インテリアや鍵の造りなどが結構違います。写真撮影の都合上遅い方がいいと思ったのですが、食堂車「グランシャリオ」のインテリアは断然JR北海道の方が雰囲気がありそうだったので、こちらを第1希望にしたのでした。ちなみに「グランシャリオ(Grand Chariot)」とは、フランス語で「北斗七星」のことだそうです。

食堂車を運営する「日本レストランエンタプライズ社」にメニューが出ていたので当日までイメージトレーニングです。

フランス料理コース

〜サラダ仕立てのオードブル〜
アスパラガス、フルーツトマト、帆立貝と蟹のサラダ
バルサミコ風味

〜魚料理〜
平目の湯葉包み蒸 バジルのムスリーヌ添え
青森産ニンニクのクリームソース

〜肉料理〜
牛フィレ肉のソテー 温野菜添え
赤ワインソース

〜デザート〜
特選デザートとフルーツの盛り合わせ

プチパン・コーヒー

乗車するまで 乗車中