にっぽん丸 伊勢志摩クルーズ乗船記 <3日目>(2004年4月11日)

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船室のテレビにはGPSによる船位が地図上に表示されていて、どの辺を何ノットで航行しているのか一目でわかります。全行程を10ノット位でゆっくり走っていた様ですが、復路は南に大きく回って伊豆諸島をかすめて行きました。ということで夜から朝にかけては陸から遠ざかったからかそれなりに揺れもあり、船旅を実感していました。航行図はこちら(pdf 984KB)

ちょっとだけ早起きして大浴場に行きました。尚船室にはタオル地のスリッパが置いてありますが、公共の場所では禁止、ただしお風呂の往復だけは許されているみたいでした。お風呂は2Fの船尾側にあり、思ったよりも広々として豪華でした。ジャグージーがついていてる上エバポレーターのおかげで湯量も十分、船に乗っていることを忘れる位ですが、大きな窓の外で伊豆大島がゆっくり動いていました。
朝食は前日と同じく洋食をチョイスした後、機関室の見学会があったので参加しました。合計3回行われていたみたいで、それぞれ整理券が配られていました。機関室は1Fにあり、まず室内の暑さと騒音にびっくりしました。巨大な客船を動かすまさしく心臓部といった趣でした。


機関室の続きにコントロールルームがありそこで機関士の方の説明を受けましたが、その人のツナギみたいな作業着の社会の窓が半開きであることに気付いてしまい、気になって気になって仕方ありませんでした。それでも船の燃料はガソリンみたいに透明なのではなく、原油からそれらを精製した後に残る船舶用のC重油で、かなりドロドロしているため暖めないと燃料パイプを流れないことや、船を後ろに動かす時従来はスクリューを逆回転させるがこの船はプロペラの角度を変えることによって同じ回転方向のまま出来てしまうため効率が良いこと等の説明が印象に残りました。

操縦ハンドル
微速前進(Dead Slow)なんてカッコいいです

また船の横揺れを防ぐコンピューター制御のフィンスタビライザーが船の真中辺に付いていると説明がありましたが、理屈はわかるものの船体のサイズに比して小さいなと思いました。それから質問コーナーで夫が「このフネはどの位油を焚くんですか?」と尋ねた所、おぼろげな記憶によると1日35トンとのことですがそれよりも「油を焚く」という業界の表現に「そうか、油は炊くのか(浮かんだのはこの漢字)」と妙に感心してしまいました。

後から見に行ったフィンスタビライザー
船旅もそろそろ終わりに近づいています。前日買った缶ビールとおつまみで乾杯。あとはデッキに出ずっぱりで持参した双眼鏡を使って東京湾を航行する商船群をずっと見ていました。夫は海運関係の会社に勤務しているので「あれはどこの船で何を運ぶ」とかいう解説がなかなか面白かったです。

私達はかなりの時間デッキに出て海や船舶を眺めていた部類ですが、私達が外に出ると必ずもう1名前方を双眼鏡で眺めている男性がおりました。海上保安庁から来ました、みたいなキャップとジャンパーを着ているので何だろうと思って夫が話し掛けてみたら趣味の世界でどっぷりと雰囲気に浸っている人でした。誰も頼んでいないにっぽん丸の甲板見張りをしていたことから、謹んで「ワッチおやじ」と名付けさせていただきました。
船が浦賀水道に入り横浜や遠く東京のビル群が霞んで見えて来ました。晴れてはいるのですがちょっとガスが多く、くっきりと見えないのは残念でした。タグボードが寄って来て東京湾に戻って来た「にっぽん丸」をエスコートします。


君津に入る鉄鉱石の専用船

南極から戻り翌日晴海到着予定の「しらせ」

お台場と船の科学館

レインボーブリッジをくぐったらもう晴海埠頭です。

船はタグボートに押されながらほぼ予定通り着岸しましたが、晴海のボーディングブリッジが故障してなかなか上陸出来ませんでした。

その間燃料供給船が作業するのを左舷側で眺めていました。少しだけ余分に船にいることが出来てラッキーでした。

初めての船旅はイメージ通りですごく良かったです。客船は速度が遅い分ゆったりと時間が流れている感じがしました。今回は2泊3日と短かいクルーズだったので、船旅を堪能しつくすというよりは雰囲気と船内での立ち居振舞い(ちょっと大袈裟?でもドレスコードとか割と緊張しました・・・)等大体の要領を掴んだということで次回はもっと長く、もっと大きな船に是非。【2004年7月記】


《付録1》
晴海着岸の際、第54期一般幹部候補生課程卒業生約170名を対象にした「平成16年近海練習航海」を終えて晴海に入港した自衛艦を見ることが出来ました。
TV-3509 訓練艦かしま

DD-155 護衛艦はまぎり(左)
DD-158 護衛艦うみぎり(右)

《付録2》
まさか、この1年後にクルーズデビュー出来るとは。。。

2003年4月5日
港に席を向けているのと、冬季シーズンは5時には暗くなっちゃうのでなかなか客船の出港を見ることが出来ませんでした。このまま港南生活も終わってしまうのかと寂しく思っていたら久々に商船三井の「ふじ丸」と「にっぽん丸」が揃い踏み。確認のため東京都港湾局のHPでチェックすると「ふじ丸」の出港予定が4月4日14:00と。

その日はそわそわして時が来るのを待っていたのですが、お昼を食べたり動きの悪い部下に注意したりしていたらすっかり忘却の彼方に。「はっ」と時計を見たら14:10。もうだめ?と思って東京湾の方を見たら建物の隙間から「ふじ丸」の堂々とした姿が見えてきました。想像以上に大きい。ビル群と同じスケール。さすが22,000トンの巨体。隙間を通るのに1分近くかかってる感じだったけど、舳先から船尾まで166mあるんだから、10ノット位出ていてもある地点を横切るだけで30秒かかる計算。うん、合ってる。

ウォッチャー2号が何度も出港シーンを見ているので羨ましい限りでしたが、ついに私も豪華客船を体感することができました。いいなぁ、船はいいなぁ。