分類学

■洋酒の分類

焼酎や日本酒について分類してきたので今度は洋酒について調べました。「洋酒」とひとくくりにしてしまうのは無謀な位様々な種類があるのですが接する機会の多い「ウィスキー」「ブランデー」「スピリッツ」「リキュール」「ワイン」を取り上げます。概要の部分は現地の法律等による厳密な定義ではなく、代表的な製法、特徴を記載しました。とりあえず「ウィスキー」と「ブランデー」を。
分類 説明 種類 概要
ウィスキー 大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀類を発酵、蒸留し樽熟成させたもの。 スコッチ シングル・モルト スコッチとはスコットランドで蒸留・容量が700lを超えないオーク(樫)樽に詰められて3年以上熟成・瓶詰めされたウイスキーを意味するが、このうちピート(泥炭)で薫製した大麦麦芽(モルト)のみを原料とし単一の蒸留所の単式蒸留器で通常2回蒸留された物のこと。
ヴァッテッド・モルト 複数のモルト原酒を混ぜた物。
グレーン 穀物を原料(ライ麦、トウモロコシ他)を約8割にピート香をつけていない大麦麦芽を約2割混ぜ、連続式蒸留機で蒸留しシェリー樽(シェリー酒を熟成させたホワイトオークの古樽)で4〜5年貯蔵・熟成させたもの。
ブレンデッド 複数のモルト原酒とグレーンウイスキーをブレンドしたもの。
アイリッシュ アイルランド島産のもの。大麦麦芽、未発芽大麦、ライ麦、小麦等を醗酵させ、一緒に蒸留させるのが特徴。単式蒸留器で3回蒸留し、3年以上の熟成が義務付けられている。
バーボン トウモロコシを51%以上用い連続式蒸留を経て内側を焦がしたオーク樽で最低2年以上熟成させて作るので独特の香りがある。ケンタッキー州のバーボン郡でその80%が生産されている。蒸留後の原酒をサトウカエデの木炭で濾過する工程を経たものがテネシーウィスキーでバーボンより円やか。
カナディアン トウモロコシを主原料にライ麦、大麦麦芽等の穀物を酵母により発酵し、カナダで蒸留し最低3年間小さな樽(180l以下)で貯蔵したもの。
ブランデー 本来ぶどうを発酵、蒸留したもの。現在は果実を発酵、蒸留したものも指す。 コニャック フランスコニャック地方の法定地域内で収穫された白ブドウ(サンテミリオン種)を主原料とし、2度の単式蒸留後ホワイトオークの樽で3〜5年以上熟成させブレンドして作る。
品質を表示する略号はV=Very(非常に)・S=Superior(極上)・O=Old(古い)・P=Pale(純粋)・F=Fine(良質)・R=Rare(逸品)・E=Especial(特製)・X=EXtra(特別上等)
アルマニャック フランスアルマニャックで作られ、ブドウ品種は主にフォル・ブランシュ種とサンテ・ミリオン種。蒸留は連続式蒸留機でを1回後、樽熟成。
フレンチ・ブランデー コニャックやアルマニャックを名乗れる以外のグレープ・ブランデーの総称。このうちA.O.C(Appellation d'Origine Controlee原産地呼称統制)ワインを産出する地域のものはオー・ド・ヴィー・ヴァンと呼ばれる。
マール ワインやシャンパンを造るときに出るブドウの絞りかすから作られるブランデー。ブルゴーニュ地方とシャンパーニュ地方のものは樽で寝かせ、アルザス地方のものはタンクで寝かせる。イタリアでは「グラッパ」と呼ばれる。基本は単式蒸留。
カルヴァドス ブドウ以外のフルーツを原料としたもののうち、リンゴを原料としたものがオー・ドー・ヴィー・ド・シードルである。このうちノルマンディー、ブルターニュ、メーヌ地方のものがカルヴァドスと呼ばれる。単式蒸留、連続式蒸留の両方が採用され樽熟成は1年。
【2002/9】

■容器包装の識別マーク

最近お菓子とかの包装物に材質表示が増えてるなぁと感じていたのですが、「紙」はいいとして「プラ」の下に書いてあるPPやらPVCって何?分別を更に細かくするってこと?と疑問に感じていたので、週末にインターネットで調べました。

1991年10月から表示が義務付けられていた(表1)の@「スチール」A「アルミ」B「ペット」に、2001年4月からC「紙」D「プラ」が追加されていたのが目についた理由です。プラスチックの略語は(表2)に示す通りでした。これはJIS(ISO)の表記方法に準拠している様です。原料が何かを知ることが出来るのは便利ですが、マニアック過ぎて一般消費者にはあまり関係ないかも・・・、と思ってしまいまいした。ただ燃えるゴミと燃えないゴミ(東京都の場合)の区別がつく人は意外と少ないので、「紙」「プラ」の表示はそれなりに有効だと思います。

尚BのPETは分かり辛い表示です。もともとは(表3)の通り米国プラスチック工業協会が定めたマークで世界的にも浸透しつつあるのですが、今回の法改正で表示する範囲が限定的となりました。容器リサイクル法で定める表示義務のある包材を「指定表示製品」といいますが、これは従来から表示義務のあった「第二種指定製品」(飲料と酒類のスチール、アルミ缶と飲料と醤油と酒類が充填されたPETボトルのこと)に、飲料用紙パックを除く「紙製容器包装」と、飲料、醤油、酒類用のPETボトルを除く「プラスチック製容器包装」のことを指しています。

表1Bの「1PET」は清涼飲料と醤油、酒類だけにのみに義務付けられた識別マークであるため、容器そのものがPETボトルであっても、また素材がPETであっても、識別マークは四角い「プラ」の表示でなければならないことになります。つまりソース等の容器はPETであってもPETと表示出来ず「プラ」表示されることになります。多分リサイクルするかしないかで定めたのでしょうが、世界的にはわかりにくい表示です。

ちなみに日本では1PETしか見かけませんが、海外で買った何かに表示されていた5の付いた三角マーク(右)を見て、「これは5回もリサイクルされているんだ」と驚嘆したのはエコロジー派らしい勘違いでした。

(表1)
容器包装リサイクル法による識別マーク
容器の分別回収が容易となるよう、「スチール缶」「アルミ缶」「ペット」「紙」「プラ」の識別表示が義務付けられている。
@ABCD

(表2)
樹脂略語 材質(樹脂)名 表示例
ABS
EVAC
EVOH
PA
PC
PBT
PE
PET
PMP
PP
PS
PVC
PVDC
SAN
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン
エチレン−酢酸ビニル
エチレン‐ビニルアルコール樹脂
ポリアミド
ポリカーボネート
ポリブチレンテレフタレート
ポリエチレン
ポリエチレンテレフタレート
ポリメチルペンテン
ポリプロピレン
ポリスチレン
ポリ塩化ビニル
ポリ塩化ビニリデン
スチレン−アクリロニトリル

単一素材の場合
PE

複合素材又は複合材質の場合       
PP,PA
(主たる材質を先頭に書き下線を記す)

(表3)
プラスチックの材質表示マーク
米国プラスチック工業協会が制定。中に書いてある数字が材質を表している。
1-->PET ポリエチレンテレルタレート ペットボトル・ビデオテープ等
2-->HDPE 高密度ポリエチレン 灯油缶・ビン容器等
3-->PVC ポリ塩化ビニル 食品ラップ・卵パック等
4-->LDPE 低密度ポリエチレン ポリ袋・ラミネート材等
5-->PP ポリプロピレン 洗面器・買い物かご・バッテリーケース
6-->PS ポリスチレン 発泡スチロール・CDケース
7-->OTHER その他のプラスチック  
【2002/8】

■ビールと発泡酒

日本におけるビールの定義は酒税法で定められており、その原料は麦芽、ホップ、酵母、水の4つとされていますが、この他に米、とうもろこし、こうりゃん、ばれいしょ、でんぷん、糖類または苦味料または着色料(カラメル)の使用も認められています。これら副原料の入らない物がいわゆる麦芽100%ビールであり、また副原料の重量の合計は麦芽の重量の10分の5を越えないものに限られています。つまり麦芽比が67%以上で定められた副原料のみを使用したものがビールということになります。

アメリカでは副原料の使用比率の規制が存在しないため、日本ではビールと定義されないものもビールと呼ばれていることになります。

一方ビールの本場ドイツでは1516年、ヴィルヘルム4世によって「ビール純粋令」が発令され、その内容は「ビールは、麦芽、ホップ、酵母、水のみを原料とすべし」というもの。従ってドイツでは麦芽100%こそがビールです。

ところで発泡酒とは「麦芽を原料の一部とした酒類で発泡性を有する雑酒」と定義されており、麦芽が67%未満のビールみたいな飲料もこれに分類されます。1996年10月に酒税が改定され麦芽55%以上66.7%未満の発泡酒の税額はビールと同じ77.7円(335ml)になってしまったためこのレンジのものは姿を消してしまいましたが、1994年にサントリーの麦芽65%HOPSが初めて発売された発泡酒です。他のレンジの税額は麦芽使用率が25%以上50%未満のものは53.5円、25%未満で36.7円となっているため現在の発泡酒はほとんど麦芽25%未満の様です。
【2002/7】

■日本酒の分類

日本酒は原材料と精米歩合によって主に下表の6種に分類されます。

尚精米歩合とは精米前の玄米重量に対する精米後の白米重量の割合です。例えば精米歩合70%は表層部を30%削ったという意味です。米の表層部にあるタンパク質や脂肪は雑味の原因となるので精米によってこれらの成分を少なくします。大吟醸では米粒の半分以上を削り取ってしまう訳でとても贅沢な使い方と言えます。
特定名称 使用原料 精米歩合
吟醸酒 米、米こうじ、醸造アルコール 60%以下
大吟醸酒 米、米こうじ、醸造アルコール 50%以下
純米酒 米、米こうじ 70%以下
純米吟醸酒 米、米こうじ 60%以下
純米大吟醸酒 米、米こうじ 50%以下
本醸造酒 米、米こうじ、醸造アルコール 70%以下
【2002/7】

■焼酎の分類

焼肉屋で飲み残しの焼酎のハーフボトルを持ち帰り、お湯割りの梅入りを作ろうとスーパーに行ったら大きなパックしかなく、大量の梅干残高を抱えることとなりました。仕方なく今度は焼酎を買いに行ったら種類が多すぎてわからず、そういえば焼酎には甲類と乙類ってあったっけと調査してみました。

結果:
種類 蒸留方式 アルコール分 特徴 飲み方
甲類(新式焼酎) 連続式蒸留器で蒸留を繰り返す 36%未満 無色透明で不純物が少なくクセがない サワー、お湯割り、果実種
乙類(旧式焼酎) 単式蒸留器による蒸留 45%以下 原材料独特の風味や味わいがある ストレート、ロック

結論:
焼酎と言えば本来は乙類を指すのでしょうね。じっくり味わって飲むなら乙類。お湯割りの梅干入り、という飲み方の場合は甲類の方ってことでしょう。訳もわからず乙類を買わないで良かったです。ちなみに甲類には「甲類焼酎」と書いてありますが、乙類の方には「本格焼酎」と書いてあることが多いみたいです。
【2002/5】

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