4日目 8月17日(火曜日) ダブリン(アイルランド共和国) 入港8時 出港21時
朝6時半の目覚ましで目覚めてバルコニーに出ると寒々しいダブリン港の港内に既に入っていました。気温は13度、見慣れないヨーロッパ船籍のフネが停泊しているところを通り過ぎて行きました。

右のタンカー「STEN BALTIC」はベルゲン(ノルウェー)、左「BRO ATLAND」はイエテボリ(スウェーデン)が船籍港でした。

どこに着岸するのかと思ったら、部屋から見えるこの右舷の岸壁の左側のようです。
一旦通り越して行き足を止めたあと、左に回り始めました。まるでクルマをそこらに駐車するような動きです。フェリー埠頭には左側にP&Oの「NORBAY」と奥にSEATRUCKの「CLIPPER PACE(現SEATRUCK PACE)」が見えています。両方とも英国のリバプール向けです。

十分に回ったあと、じわっと回りながら後進をかけています。本船は最新式のアジポッド式推進器を備えているため、タグボートのように身軽ですが、「NORBAY」とフェリー埠頭の灯台とはかなり近寄りました。

そのまま岸壁に近寄って行き、フェリーとは遠くなりました。「CLIPPER PACE」はダブリン・リバプール間を6時間で結ぶ快速船だそうです。結局回り始めて30分ぐらいの7時半に左舷着岸しました。
ダブリンもツアーは予約していなかったので添乗員さんが主催する歩きのツアーに参加することにしていました。この集合が9時半だったので、その前にジョギングすることとし、また時間短縮のため初めて朝食のルームサービスを前の晩から予約してありました。
本船のデッキは全通しているので大変走りやすく、また気温も暑くなくどちらかというと寒いぐらいなのでラクに走ることが出来ます。10周の約5.5kmを走って部屋に戻ると8時を少々過ぎてしまい、8時〜8時半の間に頼んでおいた朝食のルームサービスの人をちょっと待たせてしまったようでした。
寒いので当然部屋で食べるのかと思いきや、意外にも夫が「外で食べよう」ということでバルコニーで優雅に朝食を摂ることになりました。
食べている最中の9時過ぎに先ほど見たフェリーのうち「CLIPPER PACE」が出港していきました。船籍港「LIMASSOL」はどこかと思ったら、キプロス島のギリシャ船籍でした。
本船の停泊している港からダブリンの中心地までは船会社が有料のシャトルバスを運行しています。ほとんどの人が添乗員さんツアーに参加するようで、9時半過ぎに皆で下船しました。シャトルは大きな観光バスで、20分ほどで現地に着きました。
添乗員さんに導かれるまま皆でゾロゾロ付いて行きましたが、こういう観光の仕方では全く地理が頭に入りません。
バスを降りた所からずっと西に歩いて行くと、ダブリン城(Dublin Castle)がありました。10世紀には既に砦があり、現在残っている建物は18〜19世紀に建てられたものだそうです。

その先にクライスト・チャーチ大聖堂(Christ Church Cathedral)がありました。ダブリンで一番古い建物(11世紀前半)でアイルランド国教の司教座があります。

クライスト・チャーチ大聖堂を背にしてニコラス・ストリートを進むと、本家聖パトリック大聖堂(St Patrick's Cathedral)です。道の名前は英語とアイルランド・ゲール語が併記してあります。
聖パトリック大聖堂と言うとニューヨークのマンハッタンにあるものが有名ですが、聖パトリックはアイルランドの守護聖人であり、年季からしてもこちらが本家本元と言えるでしょう。とてもいい雰囲気でしたが、入場料が5ユーロ程かかると聞き外から眺めるだけに留めました。中に入ると「ガリバー旅行記」のスウィフトのお墓があるそうです。
大聖堂の脇には綺麗な公園があって、地元の人が散策していました。アイルランド国教の大聖堂が2つもあるのは驚き(聖パトリックの方には司教がいないらしい)でしたが、川の北側にはカトリック教会の大聖堂(Saint Mary's Pro-Cathedral)があるそうです。宗教の歴史を知らない身にとってはどういうことなのかピンときません。
11時頃このあたりで団体行動は終了し、解散となりました。外に出て全貌を見たあと、バス乗り場のある中心地に向かって戻りながらスーパーを覗いたり(写真はアイルランド産サーモンの切り身)しましたが、あまり買いたい物がなかったため、夫だけが拘っていたアイリッシュ・ミュージックのCDを一枚購入しました。
バイキング・スプラッシュ・ツアーと書いてある水陸両用車が通り過ぎました。どこからかダブリンを流れているリフィー川(River Liffey)にバシャーンと入るのでしょうか。時間があればどこかの町で乗ってみたい乗り物です。
狭い道をスレスレに二階建てバスや観光バスが通り抜けています。後ろに見えているのはセント・アンドリュー教会(St Andrew's Church)で、観光案内所も入っているそうです。
いつの間にかトリニティ・カレッジ(Trinity College、ダブリン大学)の前に出ました。このまま道なりに右に進むとナッソー・ストリート(Nassau St)です。
大道芸人のおじいさんがアイルランドの民族楽器らしい太鼓を敲いていました。バウロン(bodhrán)と呼ばれるこの楽器はタンバリンのように片面にヤギの皮が張ってあって、手で直接、又は小さなバチで音を出します。楽器自体の歴史は100年も経ってないぐらいでまだ浅いそうです。

12時半近くなり、さすがに飲まず食わずでは辛くなったので、目に入ったカフェでコーヒーを飲みました。

ユーロのコインが余っちゃったんだけど何かいいものない?と夫が店員さんに尋ねたら、自慢のスコーンを勧めてくれました。なかなか美味でした。
このまま帰ろうかと思いましたが、本日の出港は21時と遅いので夫にも気分的な余裕があり、シャトル乗り場の手前にあった国立博物館を覗いて見ることにしました。
パネルや展示物を見ながらアイルランドの歴史を学びました。バイキング時代のアイルランドから急にウィリアム征服王関連の展示になり、間にあったことは良くわかりませんでした。
14時15分頃港にシャトルバスで到着すると、丁度いい角度で本船が撮影出来そうだったので、年賀状用の写真を数枚撮影しました。
フネに戻り、9F「リド・レストラン」に行きがてらメインマストをチェックするとアイルランド共和国の国旗がしっかりと掲揚されていました。イタリアの国旗と良く似ていますが、赤い部分はアイルランドは橙色になっています。また本来の縦横比率は1:2です。
朝には気付きませんでしたが、岸壁の向こうに小さ目の客船が着岸していました。オーシャニア・クルーズの「REGATTA」でした。
そしてP&Oフェリーの「NORCAPE」がリバプールに向け出て行きました。後日調べたところ本船は三井造船玉野の1979年出来だそうです。残念ながらこの翌年(2011年)廃船になりました。
「リド・レストラン」では野菜不足を補うためサラダを食べることにします。欧米ではマッシュルームを生で食べことを思い出しました。

それぞれたっぷりと野菜を大盛りにしました。

サラダ後、夜のメニューをチェックしに行って「これならまぁ食べよう」と決めて戻る途中、改めて本船のゆったりした造りとそこらに飾ってある美術品に感動しました。写真は「男性の像」で19世紀後半ヨーロッパの作品だそうです。
この絵はマンハッタンのニューアムステルダム港、現在のニューヨークに集まるオランダの帆船群です。

17時頃ビールを飲んでいると、朝いたフェリーとは別のP&Oのフェリー「NORBANK」が左から入港して来ました。灯台のところギリギリで行き足を止めつつ右回頭を始めました。

長さと幅がちょうど「にっぽん丸」ぐらいの本船は180度回頭を終えると岸壁沿いに後進しました。狭い場所で「エッ」と驚くほど器用に回ったのを感心して眺めてしまいました。
「NORBANK」が無事着岸したのを見届けると、既に後続のフェリー「CLIPPER PANNANT」が入って来ていました。

今度は灯台のやや左側に頭を入れた所で行き足を止め、左回頭を始めました。

「まさかここに?」と思っていた場所にするりと入って岸壁づたいに後進していきます。
目の前で軽やかに操船されるRORO船をもっと眺めていたかったのですが、17時半の夕食タイムになってしまいました。
2F「ビスタ・ダイニング」に行ってみると、今晩は「Touch of Dutch」というテーマナイトで、席にはオランダの民族衣装、男性の黒キャップと女性用の白い三角帽子がおいてありました。二人で早速被って即席でオランダ気分になることにします。

Appetizers

  • Scandinavian Seafood Medley
    Selected seafood gently mixed with a dressing of sour cream, mayonnaise and chive, served over crunch iceberg lettuce topped wirh smoked salmon and chopped egg


  • Fresh Fruit with Peach Schnapps†
    Grilled peach wedges with strawberries and assorted fruit
Soups and Salad

  • Norwegian Fish Chowder
    Selected seafood, potato, celery and spinach, finished with a heavy cream and egg liaison


  • Soto Ayam‡(インドネシアの鶏スープ)
    Filled with flavors of potato, caraway seed, bell pepper, marjoram and paprika
    ‡GREENHOUSE SPA MENU
Entrées

  • Mushroom Ravioli‡
    Plump and savory ravioli in a garlic cream sauce with a forest mushroom and tomato ragoût


  • Wiener Schnitzel
    Breaded veal scaloppini, cooked until crispy and golden, served with pan-fried potatoes and medley of fresh vegetables

インドネシアのチャーハン「ナシゴレン†」を選択することも出来ました。
Desserts

  • Vanilla Ice Cream


  • Strawberry Cream Cheese Tortchen

食事はたっぷり2時間以上かかり、20時ちょっと前に部屋に戻りました。このあと20時半から夫が昨日ディスコに行ったご婦人のうち1人と卓球の約束があります。この方がインターハイまで行ったことがわかり、本物の卓球はどんなに凄いのか見てみたいから是非にと無理を言ったものです。
部屋では今日は孔雀がベッドの上で出迎えてくれました。

ちょっと早めに卓球台の置いてある9F「リド・プール」に行くと、ちょうど上の屋根が閉まるところでした。

やはり、本チャンの打つ球は弾道が低く、また打つ瞬間に左足に体重を乗せるので重さも違いました。夫も、途中で変わった私も汗びっしょりになりました。
ムキになってプロに挑むうち、いつの間にか暗くなりフネも岸壁を離れて出港したようです。ライトアップしたフェリー群がとても綺麗でした。
今日の仕上げは23時からインドネシアクルーによるショーがありました。私達のテーブルのアシスタントウェイターのアルも「SAMAN HAND DANCE」という演目に出演すると言うので応援に行きました。
他の演目もなかなか立派なもので、アルによると仕事の合間に練習するのです、とのことでした。明日の朝早いでしょうに、ショーが終わったのはかろうじて当日中でした。
《参考》
ダブリン港のフェリー(RORO)ターミナルと本船が停泊していた位置

正確なクリアランスはわかりませんが、なかなかの難所のような気がします。