にっぽん丸 新春の瀬戸内海・宮崎クルーズ乗船記 (2011年1月9日)

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2日目 広島 入港8時 出港17時
朝7時半に目覚ましをかけたところ、本船は丁度広島港に入港する所でした。入港ワッチをしなくては、と最低限の身支度を整えてから7F「ホライズンラウンジ」に行きました。
そこから外に出てみると、ブリッジのウィングにUW1の信号旗が掲揚されていました。広島港は右舷付けするようです。港内でタグボートに左舷後方を押されながら左回頭しました。
それから、今回は秋口に手に入れた無線受信機を持参しているので、タグと本船の交信や、船長とオモテ、トモのクルーとのやりとりを聞き逃せません。張り切って外に出張りましたが猛烈に寒かったです。入港スタンバイでサードッサー(三等航海士)がブリッジにいましたが、女性がキビキビ動く姿を見てとても頼もしく思いました。

無線受信機購入に関する夫のブログ「アキバオタク」(2010年9月16日)
ほぼ定刻の7時55分に着岸しました。岸壁にはオプショナルツアーの観光バスがスタンバイしています。

この後、2F「瑞穂」で朝食を取ることにしました。特に胃腸が疲れていた訳ではありませんが、趣向を変えて白飯のかわりに野菜粥を食べてみました。(料理の写真はクリックで拡大)

食事の帰り、2Fフロント付近に観光案内デスクがあったので、どうしても行きたいと思っていた厳島神社への行き方を教わったところ、広電(路面電車)でもいいが時間がかかるので、世界遺産航路(平和祈念公園と宮島を結ぶ)も良いですよと勧められました。
いずれの行き方でも原爆ドーム近辺に行く必要があったので、とりあえず9時に下船して、広電の停留所に向かいました。何となく外に歩いていくと、「路面電車のりば600m」の標識があったので助かりました。広島はここ数年外国船のく寄港地としてもポピュラーなので親切なのかもしれないと思いました。
結局フネからは7〜8分のところに海岸通の停留所があり、ちょうど西広島行きのB番がやって来るのが見えたので、走って乗り込むことが出来ました。

広電に関する夫のブログ「がんばれ広島電鉄」(2011年1月9日)
海岸通の停留所から西広島までは確かに時間がかかり、50分ほどで到着しました。
西広島では宮島口まで行く宮島線(A番)に乗り換えです。下車する時に乗り換えである由伝えると、乗り換えカードがもらえるので続きの運賃で乗ることが可能です。按配良く宮島口行きの電車が到着したため、ラッキィとばかりに乗り込もうとすると夫から待ったがかかりました。
ティッシュを持参しているのか尋ねられ、「奄美大島決死のキジ撃ち事件」再来かと思いましたが幸いここは路面電車の接続駅、しっかりと便所がありました。ということで、1本電車を見送って7分後のに乗車しました。
そして電車は専用軌道をトコトコ30分以上走り、連絡船のある宮島口に到着しました。途中山陽本線と並走する区間もあり、なかなか鉄ポイントの高い区間でした。料金は港から西広島まで均一の150円、そこから乗り継ぎ料金を加えても合計270円という安さでした(宮島線のみ乗車の場合は西広島−宮島口はキロ区間制運賃で210円)。
そこから宮島までの連絡船は松大汽船とJR西日本の二系統があり、料金は170円と同じで、他の比較材料がないためどちらにするか迷いましたが「JR西は大鳥居に近寄ります。今なら待たないで乗船できます!」という呼び声に誘われてそちらに乗船しました。

その言葉通り、乗船したらほんの2〜3分後に出港しました。隣の桟橋では松大汽船のフネが忙しく発着していて、「宮島」が戻って来るところでした。

冬の柔らかい日差しの中、フネは約2kmの距離を10分程かけて渡りました。遠くには牡蠣の養殖筏らしいものが見えていました。
本船の着桟位置からすると、松大汽船の航路より大鳥居に近いため若干近寄る感じはしましたが、写真を撮ろうとするとこの時間は逆光になってしまい残念な結果となりました。
11時10分に宮島に到着し、12時25分宮島発の世界遺産航路で帰る予定にしてから、厳島神社の方に歩いて行くことにしました。広電は安くて楽しいのですが、9時に下船してからここまでちょっと時間がかかり過ぎました。写真は宮島まで乗船してきたJR西日本のフネ「ななうら丸」です。
人の流れに付いて行くと、10分少々で自動的に厳島神社に着くことが出来ました。陸前松島、丹後天橋立と並ぶ日本三景の一つ、安芸厳島です。
道中普通に鹿がいて、このように道端で眠っているのまでいました。神の使いが無防備なような。
厳島神社には拝観料300円を払い、この4月からの世界一周クルーズのために「海上安全」のお札を買い求めました。鳥居はここからの方がフネからよりも大きく見えますが、やはり「連絡船の上から近づくさまを見る」のも宮島詣での重要なプロセスと言えるでしょう。
約15分程で見学を終え、来た道より山側に入った土産物店街を通って港に引き返しました。これでもか、ともみじ饅頭の実演販売をしていたため、焼き立てのこしあん1つ75円を買って食べました。
それから牡蠣も店頭で焼いて売っていたのですが、10年以上前に生牡蠣でヒットして以来、レアやミディアムの状態のものは残念ながらあまり食べたくなくなってしまいました。新鮮な焼き牡蠣はとても美味しいであろうに残念でした。
フネのスケジュールに合わせたためじっくり色々なものを見る時間がないまま港に戻り、世界遺産航路の乗船券1,900円を購入しました。同時に予約整理券を渡されるため、場所取りのため桟橋で並ぶ必要はなく、整理券の番号順に乗船します。やって来たのは「うらら」という背の低いフネでした。
写真撮影のためにはガラス窓が邪魔ですが、宮島から本川に入るまではスピードを出すため外のデッキには出られず、川に入った後は満潮のため橋桁までのクリアランスがほとんどないため、結局約45分のクルーズ中外には出られませんでした。

三菱重工の航空機工場を左手に見ながら本船は本川に入り、エンジンの回転音が急に静かになりました。そろそろと川をのぼるうち、こんなにクリアランスがギリギリに見える橋(住吉橋)の下をくぐりました。そしてしばらくすると、本川は元安川と合流し、原爆ドームが見えて来ました。

ここでフネはUターン気味に元安川に入り、100mほど下ってから平和公園の桟橋に着桟しました。オフシーズンのためか乗船客は10名に満たず、空いていたので快適なクルーズでした。途中雨が降りましたが、下船時には上がりました。
原爆ドームは1915年に竣工した広島県産業奨励館が、1945年8月6日に投下された原子爆弾によって破壊された状況を現在に伝えています。テレビで何度も見た姿ですが、私はここに来たのは初めてでした。
この後原爆資料館も行きたかったのですが、宮島詣でに思ったより時間がかかってしまったため、原爆ドームの周りを一周してから広電でフネに戻ることにしました。最寄の「原爆ドーム前」停留所からは往路西広島まで乗ったB番で港まで帰ることが出来ます。往路はそれほど古くない800型車両でしたが、帰りにやって来た車両はレトロな1900型でした。
海岸通の停留所までは約30分かかって戻りました。時間はかかりますが、コストパフォーマンス抜群のネットワークでした。反対側の軌道には宇品港からやって来た国産の低床車両「GreenMoverMax」がちょうど停車していました。
朝通った道を引き返し、結局本船には14時10分頃戻ったので、9時から約5時間ほどの広島エクスカーションでした。観光で16時の最終帰船時間まで粘らなかったのはジョギングがあるからです。旅行中は走らなくても良いような気がしますが、夫の頭には例外はありません。
それ程時間が残っていないため、休む間もなく宇品島の海岸線に沿って40分程走りました。島の南側は海食崖になっていました。
島をぐるりと一周して戻るつもりでしたが、最後の方でマンションの敷地みたいな感じになってしまったので、元来た道を引き返したのですが、遠くに見える島は海軍兵学校のあった江田島です。
この後、まだ走り足りないと夫は宇品港の方に行ってしまったので、私はゆっくり帰ろうと道中「にっぽん丸」を横から撮影出来るポイントを捜しましたが、どこに行ってもフネの横にある変なオブジェ(パラダイスの塔と言うらしい)が邪魔でした。逆にこれが写りこめば「広島だ!」とすぐわかる訳です。
波止場公園ではカキ小屋があって、日曜日ということもあり地元の人たちが牡蠣やら海産物を炭火で焼いていました。以前長崎県の九十九島に行った時も似たような施設があったので、牡蠣の産地ではこのようなスタイルがポピュラーなのでしょうか。日頃から殻付きの牡蠣に親しんでいないと、自力でなかなか殻を開けることは出来ません。
最終的に本船には15時半過ぎに戻り、シャワーでさっぱりした後洗濯に行きました。今回の改装でランドリーにも嬉しいバージョンアップがあり、何と洗濯から乾燥まで全自動の最新機種が導入されていました。これなら一旦投入したら乾燥まで何もしなくて良いので、「ウェルカムパーティーとディナーの間に階段を駆け下りて洗濯物を詰め替える」必要がなくなりとてもラクになりました。
本船は定刻の17時にタグなしで出港しました。寒いので7F「ホライズンラウンジ」でコーヒーを飲みながら待機し、舫いを解いたところで外に出て見ていました。汽笛の音はやはり随分変わりました。

「NEWにっぽん丸出港の汽笛」 638/KB

「横浜港出港時の汽笛(2008年12月27日)」 351KB
「根室港出港時の霧笛(2005年8月31日)」 239KB

今回の改装で新設された「ホラインズンラウンジ」では、GPS地図が見られるようになっているので、前方の宮島を右に見て航行していくことがわかりました。折角の施設なので、どうせなら電子海図が見れたらもっと面白いのにと思います。

部屋でビールを飲んだ後、18時半頃6F「春日」に向かいました。今日は乗船前に誕生日であることを伝えてあるので、その席でお祝いをしてもらうことになっています。年明け早々なのでなかなかフネに乗るタイミングにならず、いつも他の人がやってもらうのを羨ましく思っておりました。
焼き平貝のマリネサラダ仕立て・いくら、キャビア、うに添え
梅肉とマンゴの二色ソース
車海老のカダイフ巻き焼き トマトソースソールムニエル キノコの柚子風味ソース
グラニテ和牛ほほ肉の赤ワイン煮込みにっぽん丸特製ローストビーフ
いつ来るのかドキドキしましたが、思ったより早い魚と肉の間でバースデーケーキがやって来ました。「Congratulations」の歌を聴いて、それから村上船長のサイン入りのカードをもらいました。ケーキはデザートと一緒に持って来てくれました。
ホワイトアスパラガスと椰子の新芽のサラダ西瓜とパパイヤ
メープルウォールナッツアイスクリームを添えて
なお、メイン料理をローストビーフに変更しましたが、これはもう絶品でおかわりしたいぐらいでした。通常ステートルームの場合、「春日」で食べるには差額料金が必要ですが、肉好きならその価値があると思いました。今度また食べる機会があったら肉を増量してもらおうと思います。
フルコースのディナーでしたが、2時間弱で終わりました。20時半からはビンゴなのでそれまで船内をぶらぶらすることにしました。まだお正月モードなのであちこちに可愛いディスプレイがありました。また年末年始のグアム・サイパンに行きたくなりました。
ビンゴタイムはいつも通り何も当たらず、しかも司会のクルーズディレクターが初司会なのかかなり緊張していたため、残念ながら盛り上がりは今ひとつでした。
21時半頃、豊後水道に入るあたりで何か大きなフェリー様のものと行き交いましたが、船名はわかりませんでした。
22時半過ぎ、フネは四国のしっぽ佐田岬半島を、九州の佐賀関半島の方に回り込もうとしているところでした。