新日本海フェリー ゆうかり 小樽〜新潟乗船記 (2009年7月16日〜7月17日)

<往路> <復路>

小樽 10時30分発→新潟 6時着
「さんふらわあ さっぽろ」で苫小牧に到着後、十勝川温泉、川湯温泉、旭川と愛車スカイラインGTで訪れた後、最後に小樽に宿泊して東京に帰ることになりました。
小樽では小樽港のすぐそばのホテルに滞在しましたが、フェリーターミナルは札幌方面に少し戻った所にあります。朝のジョギング時についでにフェリーターミナルの様子をチェックしておきました。
9時ちょっと前にフェリーターミナルに着くと、すでにトラックは積み込みを開始していました。
駐車場の係の人の案内通り、車は一旦一時駐車場に停めてから乗船手続きに行きました。5分程度で終わったので車を乗船待ち駐車場に移した後、フェリーターミナルの内外をウロウロすることにしました。

フェリー特有ののっぺりした顔乗船手続きをしたターミナルビル9時半を過ぎたので夫はスタンバイ

再びターミナルビルに戻り、1Fでパンフを仕入れたりしていた所、JR東舞鶴駅の時刻表が貼ってあるのに気付きました。子供の頃毎年行っていた父の実家に貼ってあったものと同じ体裁だったので、とても懐かしく感じました。幼稚園の友達に40年ぶりぐらいに再会したような気分です。
9時50分頃、乗船案内のアナウンスがあったので、2Fの乗船口に向かいました。このターミナルは新日本海フェリー専用ですが、航路がいくつかあるのでゲートは2つありました。

「スカイウォーク」と呼ばれる長い通路を歩きつつ、右側に停泊している本船のキャビンの窓やバルコニーをチェックしました。最上階はスイート二部屋を中心に、特等A洋室が配置されています。バルコニー部分に張り出している窓はスイートの展望浴室です。

またも夫の方があっと言う間に乗船しており、部屋の鍵を取っておいてくれました。一旦2甲板(車両甲板)に降り、荷物を運び出しました。
そして、スイートルームのある5Fを目指します。5Fに着いた瞬間、まるで客船のような廊下に期待感が高まりました。

通常のフェリーの廊下は右のようなイメージなので「ここまで差を付けるのか!?新日本海フェリー ?」状態です。写真は本船の4F(1等客室)、3F(2等、S寝台等)。
そしてスイートの入口は更にゴージャスです。私達は電話で予約した時、空いていたのでセオリー通り左舷を予約してあります。本船のスイートには名前が付いていて、左舷は「003グランダ」「004ローモンド」、右舷は「001スオミ」「002高山」となっています。私達はこのうちの「グランダ」です。期待を込めてドアを開きました。
これは広い。インターネットで調べ尽くしてはいましたが、実際に部屋に入ってその豪華さに驚きました。開放的なリビングルームの奥はテーブルが置いてあり、窓の外はもちろんバルコニー、右側に寝室、右奥に洗面所とお風呂があります。

寝室との境目に液晶テレビ右横にはライティングデスク板張りの広いバルコニー
洗面所。奥はトイレ。広過ぎるシャワーブース展望風呂。浴槽に腰掛けがあるのです。

お茶セットも完璧です。フェリーは客船よりもスペースが取れるのか、この部屋は「限られたスペースに効率良くレイアウトした」感じが全くありません。

大興奮している間に出港予定時刻が近づいていたので、一旦部屋を出ることにしました。
5Fの廊下から後方の「ビデオシアター」に向かうと4Fに下りる階段があります。この雰囲気はフェリーに乗ってるんだなという感じです。
4Fの中央付近には「カフェ・ハイランド」があって、軽食をとることが出来ます。メニューをチェックしたところ、「醤油ラーメン700円」「そば・うどん600円」「ミートスパゲティ650円」「ビーフカレー700円」それから「たこ焼き400円」「焼きおにぎり150円」などもありました。
後方にはレストランがあって、昼は12時から13時、夜は18時から19時半まで営業をしています。昼食時の麺類やカレーの値段はカフェテリアと同じでした。そして後方のオープンデッキには「バーベキューガーデン」があって、新日本海フェリーのホームページによると夏季限定でバーベキューが出来るそうです。「スーパースター・ヴァーゴ」の不思議な「スティームボート」を思い出しました。
10時25分頃、ボーディングブリッジが本船から離れました。
10時半のほぼ定刻に離岸しました。フネはスラスターによって自分で軽やかに岸壁を離れていきます。
岸壁を見ると、ラインハンドリングの人たちが本船に向かって手を振っていました。飛行機もプッシュバックされた後、自力で滑走路に向かうとき同じ様にグラウンドサービスの人達が手を振ってくれますが、フネではあまり記憶がありません。
フネが動き始めると同時に、カモメが飛来して手すりに集まってきました。ほぼ等間隔に連なっていました。餌を期待してのことだと思います。
出港の汽笛を鳴らし、本船は岸壁から離れ終わって走り始めました。この汽笛はあまりに突然だったため、付近にいた人達が驚きのあまり一瞬固まりました。
出港して約15分後、本船は小樽港の防波堤を抜けて外洋に出て行きました。左舷に赤い灯台が見えています。
ここらで一旦部屋に戻ることにしました。とは言っても昼食が用意される12時まではまだ1時間以上あるので、船内探検に出かけることにしました。バルコニーからは小樽の街がどんどん遠ざかって行きました。

まず4Fのフォワードサロンに行ってみました。ここは本船で唯一船首方向が見える場所です。この窓は冬季には波浪対策のため、鉄板で塞がれてしまうそうです。日本海の荒波はそれ程凄まじいのでしょうか。

4F左舷後方プロムナードではゆったりした時間が流れているようです。平日のせいか往路のフェリーと違い、あまり沢山乗船していないのが幸いしています。本船中央部は吹き抜けになっていて、乗船記念撮影用の浮環とちょっと不思議なオブジェがありました。

ついでに4F左舷にある女性用大浴場もチェックしておきました。流石にこの時間はまだ誰も使用していなかったため撮影することが出来ました。なかなか機能的に出来ているようでした。

お風呂を見たら急に入りたくなったため、急遽部屋のお風呂を溜めることにしました。腰掛ける部分があるので、そこに座ると窓の外の景色を楽しむことが出来る造りになっていました。船上で湯船に浸かりながらゆっくり流れる北海道の沿岸を見られるとは何とも贅沢です。
お風呂に入るとやはりつい、冷たいビールを飲みたくなります。今日は乗船前にジョギングも済ませてあり、かつ先ほど船内探検した折に売店で新潟の地ビールを買って冷蔵庫に冷やしてありました。ということで滅多にないことですがお昼前からビールを飲むことにしたのでした。
ゆっくり飲む間もなく正午近くになったので、慌ててグリル「嵯峨野」に行きました。スイート料金にはここでのランチとディナーの代金が含まれているのです。4月〜10月の期間しかオープンしておらず、しかも事前予約制であるところが期待感を持たせます。
中に入ると間接照明の上品な空間が。これは客船と比べても遜色ありません。メニューは期間限定で北海道の食材をスープカレーで楽しめるようです。


2009夏 グリルランチキャンペーン(pdf 754KB)

ビシソワーズ 味噌風味トマトとオクラの冷たい素麺パスタ鶏肉の煮込みスープカレー仕立て

ビシソワーズはニセコ産の北あかり、カレーの野菜も北海道という拘りぶりで、客船に乗っているかのような雰囲気とサービスぶりでしたが、客は私達ともう一組しかいなかったのは申し訳ない感じがしました。

ちなみに本船を運行する「新日本海フェリー」は客船「ぱしふぃっく・びいなす」を擁する「日本クルーズ客船」の親会社でもあります。スープカップには「Venus Cruise」と書いてあったので、客船と同じ物が使われているのでしょうか。
食事をしている間に積丹半島の神威岬を回ったようで、13時過ぎに部屋に戻ると特徴的な神威岩が見えていました。後で調べたら高さは41mもあるそうです。またこの辺りの海はその青さから「シャコタン・ブルー」と呼ばれているのだそうです。そう言えば小樽はどんよりと曇り空でしたが、いつの間にか雲が減っていました。
神威岩といい、海の向こうに見える渡島(おしま)半島といい、昼の明るい時間に見るこの景色は小樽を午前中に出港する本船の運航スケジュールならではの絶景です。

15時半頃、茂津多(もった)岬に差しかかりました。ここにある灯台は、海面から灯台の頂上までの高さが290mもあり、何と日本一だそうです。狩場山の山裾が日本海に落ち込んでいる絶壁で、地学的に面白そうでした。

16時頃、双眼鏡の彼方に風力発電の風車が見えました。後日調べたところ、久遠郡せたな町(瀬棚区)の風車群のようでした。この辺りは常に日本海から強風が吹きつけているのだそうです。
そろそろ奥尻島が右舷に見える頃かと思い、外に出てみることにしました。ウェーキの後方は茂津多岬でしょうか。20ノット以上で走っているので流石に迫力があります。
奥尻島はまだ大分先にあり、霞んで良く見えませんでしたが何人かが同じように景色を眺めている中、熟年のご夫妻が寄り添うように海を眺めていました。あまりにいい雰囲気なのでつい写真に収めてしまいました。奥さんの方がちょっと船酔いで、ご主人の方が様子を気にしていました。
16時半過ぎに、舞鶴−小樽航路の北航便がかなり遠くに見えました。「はまなす」なのか「あかしあ」なのかは見えませんでしたが、配船表によると「はまなす」でした。これらは三菱重工出来でCRPポッド推進という最新式の推進装置を備えているので、いつかは乗船してみたいものです。
奥尻島は北海道から約20km離れたところにあり、夏季シーズンには先ほどの風車があった瀬棚地区からフェリーが出ています。
17時過ぎのGPS図です。部屋に戻って夕食前のビールを飲むことにしたのでした。夕食は18時と時間が決まっているので丁度いい感じです。
今回はグリルの食事付きだったので選択の余地はありませんでしたが、グリルに行く前、後学のために普通のレストランもちょっと覗いてみることにしました。なかなか居心地が良さそうです。カフェテリア方式なので、あれもこれもと取って来ると意外に金額が積みあがってしまいそうでした。

お刺身、サラダコーナー揚げ物。ザンギもありました煮物、焼き物コーナー
少し遅れて「嵯峨野」に行くと、昼と同じ窓際の席にセッティングがしてありました。
ビールはさんざん飲んだので、グリルでは冷酒に切り替えました。本醸造「にほんかい」、300mlで650円です。

お造り。まん中は牡丹海老です前菜。トマトの冷製、南瓜スープなど主菜。焼物や煮物が凝った盛り付けで
割とテンポ良く出て来るので、1時間もかからずに終わってしまいましたが、これはフェリーのスタンダードを超越していると思いました。
ご飯と味噌汁と松前漬水菓子も上品に

そして食事中に按配良く日が傾き始めました。南下しているフネではグリルのある右舷で夕日を眺めることが出来るのでした。ただし窓ガラスには日本海の飛沫がかかっているため、くっきりハッキリ見える訳ではありません。この写真も窓にピントが合ってしまいました。
食後の余韻をしばし楽しんだ後、19時過ぎに後部デッキに行きました。太陽は雲の中に入ってしまいまいしたが、大島が見えてきました。
大島はネットで調べると渡島大島と言い、活火山かつ日本で最大の無人島だそうです。直径は4km、高さは700mほどで成層火山ということは、富士山と同じ仲間です。
大分暗くなり、そろそろ僚船とのすれ違いである19時半なのですが、その気配がありません。19時45分まで粘りましたが、アナウンスがないので仕方なく部屋に引き揚げました。明るい方が撮影しやすいのですが、小樽に向かう「らいらっく」が何らかの理由で遅れているのでしょう。
部屋に戻ってすぐ、10分程で僚船「らいらっく」とすれ違う由アナウンスがありました。幸い部屋は左舷なのでそのまま部屋から眺めることにしました。20時5分ぐらい前からボウっと見え始め、ぐんぐん近づいて来て丁度20時頃すれ違いました。まず「らいらっく」が汽笛を鳴らし、本船がそれに応えました。
この頃本船は、津軽海峡の出口あたりを新潟目指して一直線に走っているところでした。フネは出港してからずっと揺れている感じだったので、ここで特に揺れた感じはありませんでした。
もう一度部屋のお風呂に入ったあと、売店をチェックしに行きました。左側に北海道みやげ、右側に新潟みやげ、真ん中は駄菓子類、奥が充実のアルコールコーナーでした。本船のグッズとして新日本海フェリーTシャツが欲しかったのですが、残念ながら置いてありませんでした。
明日の朝は早いので、そろそろ寝ることにします。部屋に備え付けてある船内誌「夢人旅」と「ぱしふぃっく・びいなす」のパンフレットを読むことにしました。
22時10分頃、本船は青森県西津軽の艫作崎(へなしざき) と男鹿半島の入道崎の間ぐらいを走っているようでした。

翌朝は5時に目覚ましをかけていたのですが、運転しなくてはならないという緊張感からか夫がそれより早く起きてしまったらしく、4時38分頃バルコニーから素晴らしい日の出を撮影していました。洋上から山からの日の出を見るというのも日本海を走るフェリーならではのシーンです。

5時半ちょっと前には新潟の工場群が見えてきました。ひんやりと涼しかった北海道から、梅雨明け前で蒸し暑い本州に戻って来ました。
私はこのあたりで漸く起床し、部屋にあったセットでコーヒーを作りました。本船ではレストラン「オアシス」もカフェも朝食のサービスはありませんし、あったとしても早過ぎてまだ何も食べたくない感じです。

ちなみにカフェの営業時間はこの時期は@乗船時〜11時半A15時〜16時半B19時半〜21時と、レストランの12時〜13時、18時〜19時半を外して営業していました。
5時45分頃、信濃川河口にあるフェリー港の付近で向きを変え始めました。出船右舷着岸する模様です。6時に到着後速やかに下船となるので、部屋の鍵を案内所に返却するよう案内がありましたが、スイートの場合は係の人が部屋まで取りに来てくれました。
フネはまだ着岸していませんが、5分前に下船案内があったので、車両甲板に下りることにしました。車があると着岸までゆっくり見られないのは少々残念です。
どのフネでもこうして部屋を後にする時はとても寂しくなります。
6時ちょっと前に車両甲板に到着し、車の中で少し待って6時10分頃下船しました。
一旦港の外に出かけましたが、ここの売店に「新日本海フェリーTシャツ」があるかもしれないと思い、夫と待たせてチェックしに行きました。
果たして、早朝のこんな時間に開店している筈のない売店にそのTシャツは飾ってありました(写真中央上)。小樽にもなかったし、船内にもなかったのでとても残念でした。
最後に、朝日に輝く本船とターミナルビルに別れを告げて新潟港を後にしました。涼しかった北海道から一転して気温は既に25度を超えていました。
車は新潟亀田ICから日本海東北自動車道、北陸道、長岡JCTから関越自動車道を経由して東京に帰りました。が、道程の終盤で夫が圏央道を外環道と勘違いし、自信を持って鶴ヶ島JCTで関越道を下りて川島町という方に行ってしまい、そこで圏央道が終わってしまったので延々と国道254号で帰らざるを得なくなってしまったのには疲れました。この国道254号は最後春日通りになっていることがわかったのは収穫ではありました。
今回の旅は車でいくらでも物を持って帰って来られる気軽さから、ついついお土産類を買い過ぎてしまいました。定番の「白い恋人」はもちろん、「札幌農学校」ミルククッキーや、「まりもの詩季」というまりも風の蒸しケーキ、網走の「脱獄犯」五寸釘寅吉豆せんべい、旭山動物園のなかよしクッキー、ロイズのチョコ類などそれはもう気持ちの良い買いっぷりでした。

「さんふらわあ さっぽろ」ではアンケートに答えたので後日さんふらわあシリーズのクオカードが届きました。その中に乗船のお礼状があったのですが、アンケートの自由意見欄でレストランのクルーの対応が良かった、と感想を書いたところそのことについてもお礼がありました。客船では返事をもらったことがないのですが、フェリーの方が乗客の声に耳を傾けているのかも、と思いました。

「ゆうかり」にもアンケートがあったので、絶賛しておきましたがこちらもやはりお礼状が送られて来ました。船上での行事がない分、客船よりフェリーの方がゆったりと時間が流れるので、本船の北海道絶景クルーズは是非また乗船したいと思いました。【2010年9月記】

「ゆうかり」のその他の船内の写真