名門大洋フェリー フェリーきょうと2 新門司〜大阪南港乗船記 (2008年11月23日〜11月24日)

新門司港 19時50分発→大阪南港 8時20分着
過去二回のフェリークルーズは、乗船することが目的となっていましたが、ついに移動手段としてフェリーを使うことになりました。土曜日朝までの長崎出張の後、余分に1泊して佐世保を観光(写真は九十九島巡りの観光船「パールクイーン」)し、その帰りにフェリーを使えないかということで調べた所、2008年2月に四国開発フェリーの「おれんじ8」で大阪南港を利用した時に、お隣の乗り場にいた名門大洋フェリー「新門司港−大阪南港」ルートが浮上したのでした。
名門太洋フェリーは週末の一部を除いて大阪−新門司港間を毎日2往復しています。上り1便は新門司港を17時に出て大阪南港に5時半着、2便は通常は19時50分に出て8時20分着というスケジュールです。早朝の5時半に大阪に着いてもしょうがないので、自然と2便の予約をする流れとなったのでした。ちなみに1便「フェリーおおさか」「フェリーきたきゅうしゅう」は1992年出来の2002年改装、2便は「フェリーきょうと2」「フェリーふくおか2」で2002年出来の2005年改装のようでした。

写真は2008年2月「おれんじ8」乗船時に見た「フェリーきょうと2」(手前)と「フェリーおおさか」(奥)

もちろん、この旅程を一人で決行する程度胸はなく、たまたま同じタイミングで呉に出張だった夫と土曜日に佐世保で集合することになっていました。キャビンについては最近贅沢癖がついており、シャワーとトイレは必須という基準で調べた結果、7室あるデラックス(特等室)又は2室のみのロイヤル(特別室)なら、ということになりました。乗船時間中はほとんど寝ているであろう夜行フェリーなので、「寝るだけなのだから最低限のプライバシーが守れればどこでも良い」というのが正解でしょうが、そこは客船と乗り比べてみるのも一興ということで、空いていた特別室を予約しました。値段は一番安く行ける二等(所謂ザコ寝部屋)だと6,400円でしたが、特別室は特等室と同じ18,900円プラス部屋使用料5,000円がかかるため、一人あたり21,400円になりました。

当日朝は海自佐世保基地の護衛艦「おおよど」を見学した後、昼過ぎにJR「特急みどり16号」で博多、そこから鹿児島本線の普通列車で夫が小学校時代1年を過ごした門司港(写真は1914年築の重要文化財、門司港駅)で観光をした後、門司に戻り、港までの無料バスの時間まで待てないとタクシーで新門司港に行ったのでした。

出港は19時50分ですが、私達が到着した18時15分過ぎは、乗船受付所はまだ人がまばらでした。予約は入れていますが、フェリーの場合、乗船申込書をここで記入する必要があります。

無事乗船受付が終了したので、夫に荷物を見ててもらい、乗船する「フェリーきょうと2」の写真を撮影に行きました。が、このシーズンのこの時刻はどっぷり日も暮れていて、港の全容がわからなかったため、ごく近くでしか撮れませんでした。照明で浮かび上がるフェリーの姿はやはり働くフネでした。

18時半頃、乗船することが出来ました。カモメのキャラクターがなかなかイイ感じです。
乗船口5甲板にある案内所で、部屋の鍵をもらいました。本船では乗船後に部屋のアップグレードを受け付けていて、空きさえあれば差額を払って部屋を替えられるようでした。この日の上級船室は、もう1つの特別室以外は満室でした。

案内所のある5甲板から、特別室のある7甲板へはエレベータを使いました。エレベーターを降りて右手奥に特別室(ロイヤル)と特等室(デラックス)が並ぶ通路への入口がありました。本船のこれらの部屋はすべて右舷側に配置されています。

私達の指定した禁煙ルームは奥から二番目にありました。案内所でもらった鍵でドアを開けると、びっくりするほどの空間が広がっていました。ちょっと贅沢し過ぎてしまったかもしれません。ただ、何となく装飾が野暮ったいねぇと夫と話しておりました。これは造船所の標準仕様によるのでしょうか、インテリアデザイナーを付けたらいいのにと思います。

部屋に入って左にベッド右にデスクとテーブル左端が入口のドア

サービスのビール2本、烏龍茶等シャンプーと液体ソープは馬油入りトイレはウォシュレット付き

一通り部屋をチェックし終わったので、今度は外に出てみましたが、行ける場所は限られているのと、景色も暗くてみえないためさっさと中に入ってしまいました。
今度は公室を見てみようと、まず6甲板の右舷にある「展望ストリート 」を通ってみました。個室でない場合には、乗船したらまずここを占有してしまうのが良さそうです。ただ、夜間航行なので展望という訳にはいきません。
5甲板のエントランスホール付近からレストランを眺めた所です。
そこでまわれ右をしたら売店があるので、ここでおつまみ類を買って部屋に戻ることにしました。オリジナルグッズも売っていたので、携帯ストラップを購入しました。
缶ビールは部屋のだけでは足りないので、自販機で追加購入しました。左端に今回初めて持って行った、GPSのデータロガーが写っています。これで30秒毎に本船の現在位置を記録して、一番下の地図を作成しました。

定刻の19時50分ちょっと過ぎに出港しました。どんな船でもバウ・スラスターの水流を見ると気分が盛り上がります。右は船尾のランプウェイだった部分です。

新門司港を後にしました。毎度のことながら、定期運航のフェリーの出港は無駄がなくスムーズです。GPSの航跡を見ると、右舷付けだった本船がスラスターで横すべりして岸壁を離れた後、左に回って出ていった様子が良くわかります。
レストランは19時からオープンしており、出港まで見守ったのでそろそろ空いているだろうと行ってみた所、外まで列がはみ出ていました。夫はとにかく列を嫌うので、二度も部屋に引き返しましたが、最終的には「並ばずんば夕食を得ず」と言うことで20時40分頃列に加わりました。カフェテリア方式なので、トレイを持って順番にお皿を取って行きます。効率よく色々食べてみるためには夫婦の連携プレーが重要です。まずは200円〜300円の小鉢コーナーがありました。
左奥はズバリ「600円コーナー」角を回って揚げ物コーナー最後に400円のコーナー
と、言うことで夫が本能の趣くままに左の写真の料理を取り、私は本船で一番高いメニューであるステーキだけは食べたいと注文しました。ステーキはコーナーに置いておらず、注文したら席まで持って来てくれました。
左から
冷奴 150円
ワイン 450円×2
サラダ 400円
白身魚のフライ 600円
さつま揚げ 400円
ライス(おかわり自由) 180円
そしてステーキ 1,000円

ステーキには拘りましたが、しょうゆベースのソースが美味しかったです。すっかり満足して21時半頃部屋に戻り、上級船室の特権であるお風呂にゆっくり入りました。22時22分の本船は、山口県が瀬戸内海に一番突き出たあたりを航行しているようでした。
船内に置いてあったパンフレットによると、本船の来島海峡大橋通過時刻は1時10分、瀬戸大橋は3時20分と真夜中であるため、最後の明石海峡大橋6時40分だけは見ることにして、目覚ましをかけました。が、少し寝過ごしてしまったらしく時計を見たら既に7時でしたが、慌ててカーテンを開けるとまさに通過しようとする所でした。
主塔の高さは海面から290mもあり、横浜のランドマークタワーと同じ位あるのです。
身支度を整えて、デッキに出ました。20ノット超で走っているのでわずか4〜5分でこんなに離れてしまいました。客船ならわざとゆっくり走るでしょうが、毎日通るフェリーは「定刻に着かなくちゃ」と言った所でしょうか。
7時10分頃本船は左に舵を切り、ようやく橋の全景が見えるようになりました。主塔間の距離は約2kmもあります。日本船籍を示す国旗がいい感じです。
8時過ぎには大阪港の防波堤の中に入ってきました。ちなみに、朝食は6時40分から8時まで900円でバイキング形式にて供されていましたが、ワッチで忙しいため割愛しました。
かもめフェリーターミナルには、2月に「おれんじ8」に乗船した時と同じ組み合わせで「さんふらわあ さつま」と「みやざきエクスプレス」が停泊していました。交互に運航している「さんふらわあ きりしま」と「おおさかエクスプレス」が九州にいることになります。
左舷に見えたコンテタナターミナルに、MOL「Oasis」(2,214TEU)がタグボートを従えているのが見えました。日本と東南アジアを結ぶコンテナ船です。
琉球海運のRORO船「わかなつ」が停泊していました。配船表によると那覇から入港し、東京に向かう所でした。1996年出来なので気のせいかまだ綺麗です。

と、船舶ワッチをしている間に見慣れたオレンジのファンネルがどんどん近づいて来ていました。本船より2時間も前に到着している「おれんじ8」の懐かしい姿です。一度乗ったフネは旧友に会うような感じがします。

ほぼ定刻どおり大阪南港に着岸しました。2月の「おれんじ8」乗船時には、ちょうど下船した時に本船が入港する所を見たのでした。それから一年もたたずにそのフネに乗るとは思ってもいませんでした。

「おれんじ8」乗船記(2008年2月)

下船前に利用しなかった大浴場を見にいくことにしました。快適そうですが、時間を選ばないと混雑しそうでした。
下船時にタラップから見た本船と「おれんじ8」の姿です。本船は5甲板の下船口からタラップの階段で降りるスタイルでした。
乗船前からわかっていたことですが、このフェリーはやはり移動手段と割り切るべきと思います。雰囲気は良く言えば庶民的ですが船旅を楽しむ感じはあまりありません。これは九州−大阪間は夜間航行区間のため、フェリーは寝ている間に目的地につく乗り物、長距離バスみたいな位置づけだからだろうと思います。同じフェリーでも昼に出発する「おれんじ8」や、名古屋−仙台間の太平洋フェリーはもうちょっと公室が多く雰囲気も違うと思いました。案内所やレストランのサービスクルーが大変良くやっているのは印象的で、これは今まで乗船したどのフェリーにも共通することですが、サービス精神的には客船のクルーにも負けじとも劣らないと感じました。
7月に別府・大分行きのフェリーが乗り場変更になったようで、さんふらわあの姿がなくなった南港のフェリーターミナルはちょっと寂しい感じがしました。
(おまけ)あとは東京に戻るだけですが、まだ朝早いので弁天町の「交通科学博物館」に行くことにしました。間もなく引退となる0系新幹線の企画展をやっていてラッキーでした。父の舞鶴の実家に行く際に、物心つく前から毎年京都まで乗車していた思い出深い車両です。【2009年4月記】

新門司〜大阪の航路

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